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チェーン店の良さ

チェーン店が好き。いつもと違うメニューを選ぶこともあれば同じものを繰り返すこともある。チェーン店の利用は「値段と味は比例しない」の実践である。美味しさは値段で決まらない。値段と味や品質は比例しない。高かろうが安かろうが、チェーン店だろうが何だろうが、自分が気に入ったものを選択する。チェーン店の効率よく美味しい料理を提供しようとする工夫や挑戦には脱帽させられるし、その価値がある。


チェーン店は消費者の生活を豊かにする存在であり続けている。美味いものを食べれば心も体も生き返ってくる。そしてまた仕事にも精が出るし、生活そのものを楽しくしてくれる。食は人間の生命力のもとであり、人間にとって大切なものである。


日本は産業革命こそ起きなかったが、江戸時代から資本主義的な食のスタイルが発達していた。寿司も蕎麦うどんも立派なファーストフードである。日本はアングロサクソンよりもヨーロッパ大陸諸国に近いと考えられがちである。しかし、それは明治以降の国家主義の誤った方向性の結果で、チェーン店の普及が示すようにヨーロッパ以上に米国流合理主義と近いものが元々あると言えるだろう。


新型コロナウイルス感染症のパンデミックでStay at Homeでおうち時間、おうちごはんを楽しんでいるが、チェーン店の味が無性に恋しくなることがある。チェーン店はシステマティックであり、同規模の店舗を比べるとSocial Distanceが保たれやすく、外出時の選択肢になる。


ステレオタイプな感覚はチェーン店を「おいしくない」と言うだろう。「安くて便利だから仕方なく使うだけ」「時間も金もないからこんなところで飯を食べている」などネガティブに捉えるだろう。しかし、それは勿体ない。チェーン店は宝の山である(稲田俊輔『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』扶桑社新書、2019年)。


何もチェーン店のメニューの全てが優れていると主張するつもりはない。チェーンと個人営業の料理の違いというものはあるはずだし、違いがなければ不自然である。チェーン店の魅力はメニューの選択肢が多いことだろう。かなり安価でありながらも高級志向なものまで提供している。個人経営店はその性質上、どうしてもメニューの幅が狭まってしまうことがある。個人経営の店舗に慣れた消費者は、出されたものをそのまま食べる受動的な感覚になってしまいかねない。それを有難がってグルメ意識を持っているならば滑稽である。


大河原遁『王様の仕立て屋 下町テーラー 12』「老舗の味」で織部悠はチェーン店を「いつ行っても同じ味が食えるってのはお客さんとしちゃ安心する」と評価する。織部悠はオーダーメイドの仕立て職人である。チェーン店はオーダーメイドの反対のレディメイドの世界である。オーダーメイドの職人がチェーン店を評価することに味がある。

『王様の仕立て屋』はオーダーメイドの良さを描く漫画であるが、織部悠は一般のオーダーメイドではない。超特急で仕立てるという通常のオーダーメイドにはない特徴がある。これによって顧客の急なニーズを満たしている。これは普通のオーダーメイドでは期待できないことである。

反対にレディメイドのメリットである。レディメイドのメリットをオーダーメイドで実現した仕立て屋である。故にオーダーメイド絶賛一辺倒にはならない。チェーン店の持つメリットも正しく評価する。納期という現代ビジネスのニーズに適合している。


飲食店の商品開発において、最も大事なことは何だろうか? それは美味しくすることである。飲食店は、まず客に満足感を与えなければならない。人間は一度おいしいものを体験すると、それをもう一度味わいたいと願うようになる。消費者に「また食べたい」と思ってもらえるような工夫は健全な企業努力である。売ったら売りっぱなしよりも健全である。


他の店で食べられないものを提供する。そうすることで、顧客に新鮮さと驚きを与えることができる。私はかつてあるファーストフードチェーン店で働いていたことがある。そこでは季節ごとに限定のメニューを出していた。冬場に期間限定で販売するチョコレートパフェは、毎年人気だった。


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