食事満足度
料理のメトリクスは食事満足度が重要である。空腹と共に心も満たしてくれる料理は値段では決められない。値段が高いだけで食べた気にならない食事は満足度が低い。食事満足度という概念は、久部緑郎作、河合単画『らーめん才遊記 3』(小学館、2010年)が提示した。腹いっぱい食べたという満腹感が得られる食事である。女性を意識した、お洒落を意識したラーメンは満腹感が足らない。実は当の女性からも不満に思われている。
これはグルメの本質を突いている。お高く止まった高級グルメは値段が高いものを食べたという世間的な見栄は満足させられるかもしれないが、心からの満足は得られない。食事満足度は、それを説明できる概念になる。
この問題は「奥様は食いしん坊」でも描かれた(久部緑郎作、河合単画『らーめん才遊記 2』小学館、2010年)。主婦層が客層のエリアでカフェ風のお洒落なラーメンを出したが、流行らなかった。主婦層はボリュームを求めており、カフェ風のお洒落なラーメンでは物足りなかったためである。ここには健全な消費者感覚がある。スイーツよりガッツリしたものを食べたい女子大生を主人公とした漫画もある(沖野ユイ『すいとーと!』集英社)。
寺沢大介『ミスター味っ子』は料理漫画の古典である。主人公の味吉陽一は大衆食堂・日之出食堂で料理を出す。値段と味が比例しないことを実践している。「高けりゃ良いってものじゃないぜ」との台詞もある(寺沢大介『ミスター味っ子II 1』講談社、2004年)
同じ材料を使っても料理人の腕次第で出来上がりの質は変わる。「高いから美味い」という論理自体が成り立たないことは言うまでもない。「安い=質が低い」とは限らない。無駄に金を使って金を回すことが経済発展という昭和の発想を否定する。値段が高いものが良いものではなく、消費者に価値を提供できるかが問題である。
コストパフォーマンス(コスパ)は重要な指標である。低価格路線を打ち出して知名度を上げ、多くの消費者に利用されるチェーン店がある。安くて沢山売れる。これは他の飲食店にも応用できる成功体験である。外食産業の多くはこの手の手法で成功し、業界最大手となった企業も少なくない。
商品やサービスを提供する事業者は消費者にどのような価値を提供するかが問われる。これが出発点であり、価値を実現するために様々な工夫を重ねることになる。マーケティングではパッケージデザインを変えるだけで売り上げが上がるかもしれない。あるいは、キャッチコピーをつけることで購買意欲を刺激することができるかもしれない。このようなことを考えていくとしても、そもそもその商品を使って得られるメリットが何なのかは明確にしておかなければならない。それによって何を訴えるかも大きく変わってくる。
何を購入し、何を購入しないか、不買するかは消費者の投票行動である。ロシアのウクライナ侵攻は食生活にも影響を及ぼした。ロシア産のカニ・ウニ・紅ザケは購入しないようにする。




