焼き鳥
焼き鳥は一口大に切った鶏肉を串刺しにして、直火で焼いた料理。焼き方一つで美味しさが変わる。焼き鳥は、おかずにもおやつにもなる。複数人で食べる時は串から外してシェアして食べるが、むしろ一人で一本丸ごと食べたい。
小説には「一緒に焼き鳥が食べられるって一緒に生きていけるくらい大きなことかもしれない」との文章がある(島本理生『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』幻冬舎、2017年、31頁)。
焼き鳥の味付けには塩とたれがある。私は塩かタレかで言えば塩派である。素材を味わうことが好きなためである。塩の方が部位の味が分かる。食材の持つ本来の美味しさに心が打たれる。逆に下手な店はタレで味付けをごまかすところもある。べとつかない点も塩を好む。
塩の方がヘルシーとの指摘がある。「実は塩分量はタレの方が上で、しかもカロリーも多い。その差は20キロカロリー以上にもなります」(柴田真希「焼き鳥屋で食べるなら「塩」か「タレ」か」2016年12月12日)
私は素材を味わうことが好きなため、七味唐辛子や山椒をかけることは好まない。しかし、付いている場合は使用する。
タレには丸大豆醤油を使ったものがある。醤油の原材料の大豆は丸大豆と脱脂加工大豆に分かれる。丸大豆は丸のままの大豆で、丸大豆醤油はまろやかである。脱脂加工大豆は大豆から脂肪分を取り除いた。
焼き鳥は鶏の様々な部位が使われる。鶏肉の全身の部位が食べられる料理である。代表格はモモ肉。モモ肉は足のつけ根から先の部位である。鶏がよく運動する部位。鉄分が多く含まれている。食べ応えがあり、肉を食べるという感覚がある。肉をしっかりと味わうことができる。モモ肉は安価で美味しい定番の人気食材である。価格と味が比例するという情報弱者の拝金主義を否定する。
鶏肉は胸肉とモモ肉で味が違う。胸肉は速筋という瞬発力があるものの、疲れる筋肉である。モモは遅筋という疲れにくい筋肉である。速筋の方が食べるとパサパサしている(蛇蔵、鈴木ツタ原作、たら子作画 『天地創造デザイン部 1』講談社、2017年)。江戸川区船堀の天然温泉まねきの湯の大山どり焼き鳥もも塩は、モモ肉ながら皮のような脂っぽさがあった。
皮は鶏の首の皮である。鶏皮にはコラーゲンが多く含まれている。普段からコラーゲン豊富な食事を多く摂るようにすれば、減少したコラーゲンを補い、骨を丈夫にできる。鶏皮は高カロリーであるが、糖質はない。鶏皮の脂質は高いが、脂質には善玉コレステロールを減らさず、悪玉コレステロールだけを減らす効果があるオレイン酸が含まれる。何か肉を食べるとしたら、意外とヘルシーな選択になる。
皮は焼き鳥の中でも手間をかけている。鶏皮を一枚一枚巻きつけ、下焼きし、タレに漬け、焼き、寝かせるという工程を繰り返す。
雛皮は雛鳥の皮である。雛皮はカリカリに焼かれたものもあれば、プリプリしたものもある。濃厚な旨味が口の中で炸裂する。
ハツは心臓である。英語のheartsに由来する。英語由来の点ではタン(tongue)やレバー(lever)と共通する。心臓であることから「こころ」とも呼ばれる。
独特の食感を持ちながらクセが少なく栄養価が高い部位である。筋肉の繊維で構成されていて、歯を押し返すようなしっかりした歯ごたえがある。鉄分を多く含み、貧血気味の方に向いている。一羽に一つしか取れない希少部位である。




