まさかの異世界
「危ないっ!!!」
つい、だった。
これと言った取り柄のない私。
そんな私がいなくなっても大丈夫だろう。
目の前にいる男の子がトラックに轢かれて死んでしまう方が悲しむ人も多いだろうし。
体が勝手に動いていた。
気付けば右半身に強い衝撃。
一瞬で意識を失った。
あぁ、死んだんだ。
すぐに分かった。
そんなときだった。
「まぁ、あなた見て!とっても可愛いの!」
「あぁ、見ているよ、アリシャ。」
「可愛い、、この子は僕の妹?」
「えぇそうよ。名前は、、アリアーテ。アリアーテにしましょう!」
「アリアーテ!良い名前だね。じゃあ愛称はアリアだ。」
「アリア〜!お兄ちゃんのレオシアだよ。」
、、、、、はい?
「きゃっきゃ、、きゃう、、」
私、、、赤ちゃんになってるぅぅぅぅ!!!
それから私が分かったこと。
ここは日本でもなく、そもそも地球でもない、異世界であること。
まず今のヨーロッパに行ったってこんな煌びやかなドレスを着ている人はそうそういないだろうし、
おそらく兄だと思われるレオシアがこの前魔法がどうとかなんとか言っているからして、
ここは私の知っている世界じゃない。
私は異世界転生や異世界トリップ系の漫画はよく読む方なのだが、、
これ、私、、、物語の主人公、、じゃない?!
あれから5年後。
順調に成長を遂げている私、アリアーテ・レイ。
レイ侯爵家の長女。
前世の記憶があるからか、勉強も捗っている。
5歳になると「祝福の儀」というものが行われ、自分の魔法属性が分かる。
ちなみにお父様、ルイシア・レイは火属性。
お母様、アリシャーテ・レイは水属性。
お兄様、レオシア・レイは火属性。
そして私は、、水属性。
いやなんかさ、期待してたわけじゃないんだけどさ、、
ごめんなさいかなり期待してました。
だって!!
属性の種類は6つある。
火・水・風・土・光・闇
光と闇が極端に少ない。
皇族は必ず光属性を持っているんだけど、、
異世界転生してきた私としてはね?
私にも特別な力、、まぁつまり、光属性のことなんだけれど。
宿ってたりしないかなって期待していたのに。
でも、やっぱり良いと思った。
私を沢山愛してくれるお母様の力を受け継いだのだし、
平凡な21年間という短い人生を歩んできた私が大きな力を持ったって上手くは使いこなせないだろう。
この世界で静かに、幸せに暮らしていくのも良いと思った。