侯爵家のハズレ令嬢、もしくは侯爵家の出来損ないと言われている妹ですが、何もかも優秀な姉と比べ、出来損ないの私は何もできないと言われていましたが本当は…。それは…
「……エメリー・ラウンダート、お前との婚約をここに破棄する!」
私は王太子殿下が姉との婚約を破棄するという宣言を舞踏会で聞いていました。
私のせいでもあるんですけどねこれ。
「ルーリー、お前のせいよ、お前が私のおおお!」
あ、お姉さまがすごく怒っているのがわかります。私はただお姉さまのついてきた嘘を嘘だと皆にばらしただけですわ。
この婚約破棄騒動を起こしたのはまあ原因は私の一つの行動からでした。
私はラウンダートの家の出来損ない、ハズレ令嬢というあだ名がある人間でした。
お姉さまは国一番の知性、魔法力を持ち、美貌にふさわしいといわれた優秀な人でした。
まあ外面はよかったです……。
「ほら、この宿題、明日までにしないとだめなんだから、早くやってよね!」
「お姉さま、さすがに宿題は自分で……」
「あんた、勉強だけが取り柄でしょ? 早くやってよ!」
魔法学園において私たちは同級生でした。年齢は1歳違いですが、お姉さまが事故でひどいけがをしたせいで、進級が遅れたという言い訳をもって同級生とめでたくなったのですよ。
本当はおバカすぎて進級できなかったのをごまかしたのですけど。
お姉さま、魔法の腕はいいですし、見かけはいいのですが真正のバカでした。
何人家庭教師をつけてもどうにもならないほどのバカでした。
しかしバカが侯爵令嬢にいては名折れだと、お父様がごまかし続け、私が一番被害を被っていました。
出来損ないと言われているのはお姉さまの勉強までやらされて、自分の勉強が追い付かず、一時期、学園入学が危ぶまれたからでした。
今はなんとかお父様に泣きついて、自分の勉強時間は確保しています。
でもバカなのはばれると思われます。
外聞を取り繕う父、馬鹿なのがばれたくない姉が結託してこの状態を維持していました。
そして、私はやはり自分の勉強時間がとれそうもなく、このままだと同級生となったお姉さまのしりぬぐいで終わると思い……一計を案じました。
そして、このたびの騒動につながる出来事になったのです。
「魔法の四大要素とは別に違う二大の属性がある。それはなんだラウンダード、妹のほう答えろ」
「光と闇です」
私が答えるとエクセレントと教師が頷きます。
お姉さまが質問されたときは魔法の念話で答えを教えることとなっていました。
だがそれは今はできません。
なぜなら、今は口頭で答える試験でして、私は念を入れて魔法結界を張るように教師に進言したからです。
念話を使ったカンニングがあるらしいと密告しました。まあ主に私とお姉さまだったんですけどね!
「では光と闇の属性についてだ、この属性を持つ人間は主にこの国では10人いたらその中におおよそ何人いる計算になる?ラウンダード、姉。答えろ」
答えは「わからない」が正解、100人いれば1人いるかいないかといわれている珍しい属性。
10人いれば何人いる? というのはナンセンスでした。ひっかけ問題です。
いるかいないか判定してみないとわかりません。
「え、えっとあの……」
「何人だ?」
「えっとあの2人ですか?」
「不正解だ」
こんな感じで問答は続き、姉はめでたく0点、私は満点。
そして私は姉のカンニングペーパーにでたらめな回答をかいてさしあげて、それを丸写しにしたお姉さま。めでたくオール0点でした。
教師に呼び出され具合が悪かったのどうのと言い訳をしていました。
私?私はお姉さまから逃げるために、雲隠れしてました。だってカンニングの片棒を追試でかつがされたら今までの苦労が水の泡ですわ。
そしてお姉さま、めでたく赤点となり、2度目の進級がダメになりました。
バカということがばれまして、バカは婚約者にしておけぬ。というか2度も進級できなかったバカは王太子妃にふさわしくないと婚約破棄を宣言されまして。
私はオール満点で、首席となりましてね。
私が婚約者となることになりました。
お姉さま、おバカということがばれて、学園にいられず退学しまして、私はお姉さまへの復讐はこれで終わろうはずはありません。
だって生まれてからこのかたカンニングの片棒を担がされ続けましたもの。
そしてお父様! 手のひら返して、私にすりよろうとしたあなたへ復讐もしますわ。
ええ、見てなさいお姉さま、お父様!
あと、私のこと地味顔眼鏡と言い続けたお姉さまの悪口は忘れませんことよ!
読了ありがとうございます。
☆に色を塗るなどで応援いただけたら嬉しいです励みになります。