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ガチャ勇者  作者: 名前はまだない
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一章 第一回救世会議②

「よし、決定。じゃあ、ちょっと話を戻ろう。あの化け物についてだ」

ああ、そうだったな。そういえば始めはあの化け物について話し合っていたな。

「あの化け物の出どころが天界へブメスかもしれないってことは固まった。じゃあ次にあの化け物自身のことだ」

すっと指を二本伸ばすカイ。

「わかっていることは二つ。一つ目は、あの化け物の攻撃手段。赤い点から放たれる光線と、足による押しつぶし。これらは同時に流行ってこない。二つ目は、あいつらの倒し方。あの宝石みたいな水晶みたいな濁った青色の中心にある赤い球を破壊すること。これをするためにはその周りの宝石部分を削る必要がある」

そうだな、それに、あの宝石は固い。村の人たちが総出でも傷一つ溶けられなかったし、カイの国の騎士団でも結果は同じだったらしいのだから。

「なら、分からないのは、化け物の数と目的ってところかしら?」

「うん、あいつらは明確に僕たちの、人類の敵だ。これからもぶつかることになるだろうね。だからこそ、少しでも情報を共有したい。あの化け物の数については、一体じゃないことはわかっているけど、それがどれだけいるのか見当もつかないんだ」

「確かカイの町には、一体どころじゃない数が来たんだよな」

ガノス王国、カイが暮らしていた、その国はここマルクト王国のちょうど南、海を挟んだ向こう側にあったはずだ。

「ああ、数十体物大軍が襲撃してきた。他にもアベルさんのいた地域なんかは、ここらの国からだいぶ遠いみたいだし、あの怪物の歩行速度とアベルさんがあの怪物と遭遇した日から考えても、同じ個体だとは考えられない。おそらく僕らが見たもの以外にもたくさん、しかも様々な地域に現れているはずだ」

「つまり、総数はわからない、何体倒しても終わるかどうかはわからないってことか」

「そうだね、だからあの怪物を倒しつくす、という目的はとても難しいと思う。それに、あいつらが新しく現れないとも限らないしね」

「ならどれだけ倒せばいいかもわからない化け物に対抗するためには、その目的、根本を知る必要があるわ」

なるほど、そうすればあいつらがどう動くかもある程度予測できるかもしれない。それに、そもそもの根本を取り除く方法なんかもあるのかもしれない。

「で、あいつらの目的なんだけど、僕は単純に人類の抹殺なんじゃないかと思うんだ」

大げさな話……では全然ないのか。もうすでにあいつらが一つの国を滅ぼしていることは確かなんだ。

「どうしてそう思うんだ?」

「それは、この家が無事だから、かな」

この家、村長の家。確かに、この部屋を含め、先ほど少し見て回った村長の家は殆ど荒れた様子もなく、何一つ壊れたものもなくなったものも内容だった。あの時、家の中にい赤った村長を除いて。でもそれがどうしたっていうんだ?そんな疑問の目をカイにぶつける。

「もっと言うと、あいつらは人間だけを確実に殺してるんだ。昨日この村の惨状を見て回った時、村には壊れている家と壊れていない家があった。で、壊れている家と壊れていない家、それぞれにある特徴がったのさ」

昨日の夜、俺とカイがしたことというと、墓づくり、その時に気づいたことっていうと……

「もしかして、壊れていない家の中には人がいなかった?」

「ああ、そうさ。昨日キミの村の人たちの体を、探しているときに気が付いたんだ。そして、壊れている家の中やすぐ周辺には、必ず死体があった。つまり、あの化け物の狙いは人間だけだったんだ」

「……確かに、みんな、村のみんなはみんなあいつに殺されちまった。それも俺を除いて一人残らず……」

「そう考えると納得できるわね、私が死んだときも、私をどこまでも執拗にねらってきたわ」

人類を殺すことを目的としたもの、確かに人類に対する悪意の塊のような存在だと思う。

「これで目的に一応見当がついたと思う。他に何か知っていることはないかい?」

そういえば、あの化け物そのもののことじゃないけど、一つあったな。

「あの化け物が村に襲いに来る前に、商人さんが教えてくれたんだ。南の国が滅びたって」

それは、カイのいたガノス王国。あの時のあの警告を聞いていれば、今と違った未来があったのかもしれない。そんな思いが頭を過る。けれど、今はそんなことを考えている場合じゃないだろ、俺。

「それから、何回か来て教えてくれた。海沿いの町が滅んだ、国境の砦が破られたって……」

「ガノス王国から、マルクト王国海沿いの町、国境の砦に、マルクト王国の山村であるここ。うん、地図がないからはっきりとは言えないけど、化け物たちは、僕の国をつぶしてから次第に君に村の方へ来た、と言えると思う」

「そうだな。商人さんの口調も、次第にこの村へ近づいてきてるっていう警告って感じだった。そう言えると思う」

「となると、僕の国に来た大軍がこの国にも入ってきていると考えられるな……じゃあ、その大軍はどこに?少なくともあと数十体はいるはず」

港から、この村まで来た、あの化け物……、次に向かうとしたら。

『このみちをずうっと進んでいけばこの国の王都につくよ』

それは、かつて商人のおじさんに聞いた言葉、俺が化け物から逃げているときによりどころにしていた、あの言葉。

「この村の先には、王都がある」

屈強な騎士団や、老獪な魔法使い、富を築き上げた商人たちに、たくさんの、その日の生を謳歌する人々、そんな王都の様子を聞いたことがある。こことは比べ物にならないほど人の多い場所。

「……!それだ。ガノスの王都には大量に来て、この村には一体しか来なかったことを考えるに、あいつらは、人が多い所に集まっている。このことから、あいつらが次に襲うのは、この国の王都だと考えていい」


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