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君が世界から消えたとしても  作者: 春野コウ
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2話 青色の世界

彼女と一緒に電車に乗り、映画館がある最寄り駅にたどり着いた。気温もどんどん高くなって来ていて、頰に汗が流れる。とっさに彼女の誘いをokしてしまったのはいいが、僕は肝心な事を忘れている事に気付いた。

「あのさ、……僕あまりお金持ってないんだけど」

「ああ、それなら私が出すよ。無理やり連れて来ちゃったしね」

無理やり連れて来た自覚はあったようなのでホッとした。でも簡単に人のお金を借りるわけにはいかない。……いやでも、無理やり連れて来た彼女が悪いと言う気持ちが先立だってしまう。

「じゃあそうするよ でも今度ちゃんと返すから」

「いいんだって!私、あまったお金使い切らないと──────」

そこで彼女はハッとなり、中途半端に会話を終わらせた。使いきらなきゃいけない?どう言う事だろう。僕は不思議な顔をする。

「使い切らなきゃって、どう言う事?」

「ううんなんでもない。よくあるでしょ、お腹空いてないのに「お腹空いた」って言っちゃう奴。それだよそれ。」

目が泳いでいる。本当にそうなのか?

「そう…なんだ」

「そうなのです」

彼女はそう言うと、じゃあ行くよと、映画館まで歩き出した。僕は彼女にしぶしぶついて行く。

今から行く映画館は中学の時、友達と何回も行った映画館だ。勿論斗真とも何回か言ったことがある。映画館までの道のりを2人で歩いていると、彼女がスマホの画面を見せてきた。その画面に映っていたのは、今上映している映画の一覧表。

「ねね、何見る?」

「君に任せるよ」

「おっ、じゃあこれ見ようじゃないか」

彼女が指差したのは、今話題のアニメ映画だった。物語の内容は特に知らないが、斗真情報によると、かなり迫力がある映画らしい。音楽と映像美が見事に合わさり、胸の高鳴りが止まらなかったと専門家じみた事を言っていた事をおもいだした。本当だろうか。

「いいよ」

「やったね これ見たかったんだ」

「どういう話か知ってるの?」

「男女が夢の中で入れ替わる奴でしょ?」

そんな映画の話をしながら、僕らは映画館まで歩いて行く。



此処の映画館の中は、赤い絨毯と赤めな壁が特徴的な所だ。空気はちょっとだけモアっとしてて、甘いキャラメルポップコーンの匂いがする。当たり前だが、平日のこの時間に僕達のような高校生がいるわけもない。周りには子供を連れたお母さんの姿や、カップルの大学生たちが大半を占めている。こんな時間に制服姿の高校生2人がいて悪目立ちしないだろうかと、僕は周りの視線を気にしながら、彼女と共にチケット売り場でアニメ映画のチケットを買った。まだ上映時間まで1時間弱あるので、僕らは映画館の向かいにあるゲームセンターに寄る事にした。



ゲームセンターの自動ドアが勢いよく開くと、一気ににゲームセンター特有の爆音が鼓膜に流れ込んできた。コインゲームのコインが落ちてくるチャリチャリチャリと言う音がとても印象的で、彼女はコインゲームの方向ではなくクレーンゲームの方へ歩いていく。

「さーーて何取ろうかなあ」

「え?やるの?」

「当たり前じゃん!ゲームセンターに来たからには景品一個ぐらい取らないと」

彼女は相変わらずゲームセンターの音に負けないくらい元気一杯だった。耳がおかしくなりそうな程の爆音の中で、彼女の話によると、彼女はクレーンゲームが大の得意なのだそう。

「君代君はさ、クレーンゲームとかするの?」

「しないよ、向こうの方のバスケのゲームとかならするけど」

「ほえー結構男らしい事もやるんだね、ねえ、後でやろうよバスケ」

「構わないけど、お金は」

出してくれるのだそう。人のお金を借りてゲームをやるのは気がひけるが、まあ仕方ない。

僕はそのまま彼女がクレーンゲームをしている所を眺め続けた。彼女が小さい熊のぬいぐるみが取れるufoキャッチャーの前で足を止め、お金を入れた。彼女はじっくり気持ちをゲームに集中させ、アームをゆっくり動かして行く。そしてボタンから手を離し、アームがぬいぐるみをめがけ降下していった。まあ取れないだろうなあと思った。でも予想外の展開に僕達は驚いた。何故なら。ぬいぐるみが2つ取れてしまったからだ。僕たちは思わず顔を見合わせる。


「え!え!ねえ二個取れた!!えーー!!ねえすごくない!?」

2個取れた興奮で荒ぶる彼女がちょっと面白かった。うおーー!と嬉しみに浸り景品を取ろうとしなかったので、僕が景品出口に手を入れ、2つのぬいぐるみを鷲掴みにして取り出す。その熊のぬいぐるみは男の子と女の子の熊だった。まあどうでもいいので彼女に2つとも手渡す。でも彼女は女の子の熊のぬいぐるみしか取らず、ニコニコしながら僕に言った。


「1つは君にあげるよ」

「…え?いやいいよ 君が取ったんだし、」

「いいから持ってて、ほら学校サボった記念として!」

「何その記念日」


でもまあくれると言うのだからお言葉に甘える事にする。僕はその人形をリュックサックの中に入れる。次は約束通りバスケのゲームをやる事にした。ルールは簡単で、時間内にどれだけボールをゴールに入れたかを競うものだ。バスケットゴールの距離は2、3メートル先にあるので男子女子平等に楽しめる。 お金を貸してもらい、

ボールが出てくるのを待つ───


そして────



「うわあああああ!!負けたああああああ!!!!!!」

この声の主は勿論彼女だ。彼女は頭を抱え本当に悔しそうな姿を見せる。あまりに顔を歪ませるもんだから、女の子なんだからもっと上品な顔をして。と心の中でツッコミを入れてしまった。ゲーム中見ていて分かったが、彼女はどうやら運動が苦手らしい。ボールを投げる時かなりヘンテコなフォームをしていたし、ボールなんてゴールにかすってすらいなかったからだ。すると彼女は後ろにあるテレビゲーム系、まあキャラクターを操作する普通のゲームも苦手な事を白状した。

マリオカートでアワアワする彼女を想像するとちょっと微笑ましかった。


「てゆうか君全部入ってなかった!?しかも満点だし何事!」

「僕、中学の頃バスケ部だったからね」

床に置いていたリュックを右肩に掛け、彼女の顔を見ると驚いた様子でこちらを見ていた。

「え?運動部だったの?」

「馬鹿にしてる?」

「してないしてない。 へえーバスケ部ねぇ、え、じゃあ今何の部活入ってんの?」

「美術部だけど」

「真逆じゃん なんで美術部に?」

「絵は得意な方だからね。それに人とも関わらなくて済むし」

その事を言った瞬間、彼女の印象的な穏やかな顔から、ふと冷たい目線に変わった。どうして?と問いかけてくるような目線で。彼女はその目線のまま僕の心をえぐるように見つめてくる。

「人と関わらないって、そんなのつまんなくない?」

「え?」

「だって、人生は一回きりしかないんだよ?色んな人と関わってさ、色んな事を知っていく方が人生絶対に楽しいじゃん」


心臓がギュッとなったような気がした。それは心に絡みついている鋼鉄の鎖のせいではない。

彼女の言葉で胸が締め付けられたと理解するのに約5秒程かかった。〈人生は一回きり〉その言葉がやけに重く感じた。何故かは分からない。数秒経った後、彼女は落ち着いたトーンで結論を言った。


「人間は、1人じゃ生きていけないんだよ。 君代翔君」


ゲームセンターの中だと言うのに、周りの音が何も聞こえない感じがした。ただ、誰もいない教室にいるような感覚が全身を包み込む。冷たかった彼女の目線が、いつもの穏やかな瞳に戻る。

「でもま、私は君の友達第1号になるって決めたから、関係ない言葉だと思うけどねー」

だから覚悟しといてよ君代君!と彼女は僕に指をさしその言葉を付け足した。今の彼女の顔はなんて表現すればいいのだろう。分からない。だって彼女の顔には色々な想いが込められているような、そんな感じがしたから。そろそろ入場準備だから行くよと彼女に促され、僕は小さな後ろ姿を見ながら、ゆったりと間を開け彼女について行く。


映画館内の売店では、彼女がMサイズのコーラを奢ってくれた。別に大丈夫だよと断ったのに、彼女は「ジュースなきゃ映画館来た意味ないでしょ!」と眉尻を突き上げながら言い返された。

「映画館と言ったらポップコーンじゃないの?」とツッコミを入れてあげたら、

「お昼ご飯ちょっと贅沢するからポップコーンは無しで」と顔をニヤつかせながら言った。


売店の人に、なんで高校生が?と不審な顔をされながらも、なんとか映画が上映される5番

ホールにたどり着く。案の定人は少なく、高校生なんて1人もいなかった。僕たちは目的の椅子を見つけ、その身を預ける。スクリーンにはまだあの長い予告映像は映し出されていない。

「いやあでも、真逆君がバスケ部だったとは思わなかったなあ」

「そう?」

「うんうん 文化系ってかんじするもん。 試合には出てたの?」

「うん。ポイントガードで。」

「え?ポイントガードって声出す人がやるんじゃなかったっけ?」

「よく知ってるね」

「バスケ漫画はよく見るんだ、でも君、声出せるの?ポイントガードって、ぶっちゃけキャプテンみたいなもんでしょ?」

「僕も昔は……」

そこであの事故の記憶が蘇り、言葉が詰まってしまった。何も言えないまま時間が過ぎ去ってく。彼女の視線を感じたが、どうする事も出来ず、僕はただスクリーンだけを見つめた。いや、見つめることしか出来なかったのが正しい表現だと思う。

映画は人が10人ほど着席した後に始まった。

冒頭の意味深なシーン。人気ロックバンドの歌の迫力、写真かと思うほどの映像美。思いもよらぬ衝撃の展開に、僕はどんどんと引き込まれていく。そして最後に互いの記憶を失ってしまった主人公とヒロインが再び出会い、そこで全てが終わった。



「いやあーー面白かったねえ」

「そうだね」

「でも、なーんで主人公はヒロインの事好きになったんだろうね」

それは僕も疑問に思っていた。何故なら互いに惹かれていくシーンがまるで描かれていなかったからだ。でもまあ、描かれてない以上考えてもどうもならないので、僕は当たり前のこと彼女に言った。

「時間の都合もあったんじゃないかな。 結構壮大な話だったし」

「でも青春映画だし、惹かれ合う所は普通描写するよね?」

と彼女は険しい顔をする。でも面白かったからいいや!とすぐに穏やかな笑みに戻った。そのままたわいもない話をしながら、映画館、クレープ屋、服屋、フードコートを通り過ぎて行く。

「そういえば、さっき贅沢するって言ってたけど、何を食べるつもりなの?」

彼女は、待ってました!と言わんばかりの反応を見せた。

「なんだと思うね?」

「…焼肉?」

「ぶー」

「じゃあ何?」

彼女は一歩を大きく踏み出し、僕の方にくるりと振り向き僕の前に立ち塞がる。

「しゃぶしゃぶです!」



目的の店は、文房具屋や日用雑貨、服屋などがそれぞれの階に立ち並ぶ、9階建てのビルの中にあった。丁度駅から10分程度の場所にありそのしゃぶしゃぶ屋は最上階にあるらしい。生憎エレベーターが故障中だった為、エスカレーターで9階まで登るっことになった。登ってる途中、彼女がテストどうだった?と聞いて来たので、僕は昨日斗真と話した事をそのまま伝えた。数学45点だと知った彼女は、笑いが混じった声で45!?と馬鹿にしてきた。そのまま話を聞いていると、彼女は斗真と同じ位頭が良いと知り少し驚いてしまう。性格が明るくて頭いい人は本当に憧れる。


9階にたどり着き、僕らは店の中に入る。店の中はお昼だというのに、人はあまり人は賑わってはいなかった。日本人らしい和風な作りが外国人受けしそうだなと感じさせる店で、微かに香る畳の匂いが僕の嗅覚を安らかにする。レジにいた女性店員に促され、僕らは空いているローテーブルの前に向かい合わせで座り込んだ。どうやら此処は椅子に座る方式の店ではなく、畳の上に座り込むよく居酒屋である方式らしい。おじいちゃん家の居酒屋と同じ方式で少し落ち着く感じが心を満たす。

「メニューは普通の食べ放題コースでいいよね?」

「任せるけど、安いので大丈夫だからね」

気にしなくて良いのに、と彼女は笑う。彼女が店員さんを呼ぶと、すぐさま黒い店の服を着た筋肉質なお兄さんがやって来て、その体格とは相待った爽やかな笑顔で注文を聞いて来た。彼女が一番人気の食べ放題コースを注文すると、店員がタレはどうなさいますか?と穏やかに問う。彼女は数秒悩むも直ぐに「じゃあゴマだれとポン酢でお願いします」と笑顔で言い放った。かしこまりました。とお兄さんは運動部っぽい走りで厨房の中に入っていく。正座していた彼女が足を崩しゆったりとくつろぐ。


「いやーー楽しみだね しゃぶしゃぶ」

「僕しゃぶしゃぶ初めて来たよ」

「えっ勿体無い、しゃぶしゃぶ食べたことないんて人生の100分の90は損してるよ」

「それは流石に盛りすぎだと思うけどね」


クスクスと彼女は笑う。本当に感情豊かな人。すると彼女はバックから昨日持ってたミラーレスカメラを取り出し、9階から一望できる景色を色んな角度から取り始めた。

カシャ、カシャ、

と乾いた音が、静けさが残る店の中に響き渡る。そんな彼女を見て僕は問う。


「昨日も写真撮ってたけど、君って写真部なの?」

「ううん 帰宅部だよ」

つい自分の耳を疑ってしまった。部活にも入ってないなんて意外だったからだ。

「って事は趣味って事?」

「それも違う、かなぁ」

「じゃあどうして?」

彼女は外を見つめながら

カシャ、カシャと

丁寧にシャッターを切って行く。そしてこちらを向かず空を見上げ、彼女はそのまま呟いた。


「思い出は、残しておきたいからね」


彼女の愛嬌のある瞳が、太陽の光によって宝石のように光り輝く。

そっとした、落ち着いた声。

そして、自由奔放の性格とは正反対の、何処か寂しさが残る表情を一瞬だけ見せた。

すぐに明るい顔に戻り、今度は店内の様子を撮り始める。


一瞬見せた悲しげな表情を思い出し、僕は思った。

その顔はまるで───心に傷がついた今の自分の様だと。


するとその考えを遮る様にさっきのお兄さんの手によって、鍋と美しく盛られた薄い肉達が運ばれてきた。その肉は花の様に美しく盛られ、かすかに香る甘い肉の香りが、育ち盛りである僕達の食欲をわき立てる。学校の机4個分位のテーブルに全ての肉を並べ終わると、お兄さんは「ごゆっくりどうぞ」一礼して帰っていった。


店の中を撮っていた彼女が今度は肉達にカメラを向け、特に並べ直す事もなく一枚撮って、ササっとミラーレスカメラをスクールバックにしまった。彼女は腕に付けていたヘアゴムを使い、髪をギュッと縛る。すると綺麗な首の曲線が姿を現した。透き通った白い肌。僕はその綺麗さに思わず見とれてしまう。ふとメラメラとした視線を感じ、僕は視線をずらした。そこには彼女が猫が人間の威嚇するかのような顔で僕を見て居ることに気付いた。

「今いやらしい目で見てたでしょ!!」

「えっ、あ、いや、…見てません。」

「い!い!や!絶対見てた!!あーやだやだ男の人って、やらしい人ばっかり」

「いや、あみ、見てたけど、決していやらしい目で見て、ません。」

僕のあまりの焦りように彼女は下にうつむき、鼻から笑いをこぼす。

「焦りすぎだから。顔真っ赤だよ?」

彼女はニヤニヤしながらこちらを見つめていた。僕をおちょくっていた事に気付き、悔しさと恥ずかしさが同時にこみ上げてきた。くそう。


「さーー食べよ食べよ むっつりすけべくん」

「ちょ、やめてよその呼び名」

「わかったわかった もう言わないよ」

ニヤニヤしている彼女は沸騰して来たお湯に、肉をサッと色が変わるまで漬け込み、肉を大事に口の中に放り込んだ。


「んーー!!美味しい!」

彼女は嬉しそうに目を細め、君代君も食べてごらんよ 美味しいよ!と僕に勧めてくる。ので、僕も薄い肉を箸でつまみ、鍋の中にサッと漬け込む。最初は何のタレも漬けずに肉を口の中に放り込んだ。ゆっくりと噛んで行くと、肉の甘みが口の中にどんどんと広がって行く。


「どう?」

「…美味しいよ」

「でしょ!よかった 口に合わなかったらどうしようかと思ったよ」

「肉をそんなに嫌う人なんていないと思うよ」

「君、食細そうだからさ 逆に志賀君はもりもり食べるイメージ」

「まあ、間違ってはないかな。でも僕は人並み程度には食べるよ」

斗真ん家が貧乏。大切な人が傷つく言葉は絶対に言わないと、心に決めている。

「それはいい事だね。でも育ち盛りなんだからもっと食べないと」


そう言う彼女は親戚によく居る元気一杯のお父さんの様に、僕の皿にどんどんと肉を乗っけていく。焼肉じゃないんだから、と心の中でツッコミを入れるも、僕は彼女が置いてくれた肉を大切に、ゆっくりと味わいながら食べて行く。視線の先には、嬉しそうに肉を頬張る彼女の姿。


その顔を見て僕は思った。

きっと君にはこれまで辛いことが何もなかったんだろう。

だからそんな目を輝かせ、どんなに当たり前な事でも、1つ1つの事を楽しそうに反応する。

何かを初めて行う好奇心溢れる子供のように。

何かを初めて知る好奇心溢れる子供のように。

そんな彼女を見て、僕は心の中で問いかけた。


ねえ、君の目には、世界がどんな風に映ってるの?


答えは帰ってくるはずもなかったので、その答えを自分で考えた。

でも、さっきからふと見せる悲しげな顔や、冷たい瞳。

その印象的な部分の記憶がよぎり、僕の思考を混乱させる。

そう考えていると彼女と目が合い、口をもぐもぐさせながら、たべろたべろーー!とジェスチャーをして来た。肉をつまみ、お湯、ポン酢の順に漬け口の中に運ぶ。肉の甘い味と、ポン酢の酸味がいい感じに合わさりとても美味しかった。でもちょっとポン酢付けすぎたかな。


「また、”最後”にやりたい事が叶ったよ」


彼女の声が聞こえた様な気がした。でもうまく聞き取る事が出来なかったので、

「なんか言った?」と聞き返す。でも彼女は首を横に振り

「ううん 独り言」と笑みを浮かべながら言った。

すると彼女は手に持っていた箸を置き、吠え杖をつきながら僕に話しかけてきた。

「所で君代君よ」

「ん?」

「君はさ、」




「透明病って言う病気を知ってたりする?」




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