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ショートショート6 旅は道連れ

「ワタシ、旅に出ます! 寂しくなっても探さないでね♪」


 そう置き手紙を残し、ワタシは一人旅に出た。理由は特になかった。

 真っ青な空にまったくあてのない旅路。なんの不安もなかった。

 村を出て、林道を歩いていく。木に囲まれた所って、とっても空気が美味しい。肺のプラズマクラスターやぁ(声高)。

 やっぱこういう一人旅には、行く先々の出会いが醍醐味よね。町に着いたら、素敵な人に出会わないかなぁ。


「やぁ、こんな所でなにしてるんだい? 迷ってるんだったら、僕が案内してあげようか?」


 木陰から突如現れたのは、やけに小綺麗な服を着た人型の猪、オークだった。しかもドヤ顔。


「うーん、ノーセンキューでーす!」


 だって猪だからね! ワタシは野生だったらワイルドに狼さんの方がよかった!


「いや、そんなに嬉しそうに断らなくても! やっぱりオークだから駄目なのかい!? そりゃあ、一部の界隈じゃ姫騎士の天敵みたいな扱いされてるけど、それは偏見だからね! オークは昔から紳士的な一族だから! だから、僕を道案内してください!」


「落ち着きなよ、さっきと言ってることが違ってるよ」


 なんだか、このオークは悪いヤツじゃなさそうな気がする。紳士を装ってはいるが、あまり女子の扱いに慣れてない感じ……。


「そっか! アナタ、ドーテーなのね!」


「ブヒッ!? ななな何を言い出すんだよ! そそそそんなわけないじゃないか!」


 この動揺ぶりは、間違いない(低音ボイス)。カモがネギを背負(しょ)ってきたとは、このことよ!


「ドーテーだったら逆に安心かもねっ。気が変わった、やっぱり街まで案内してほしいなぁ」


 ここぞとばかりに小首を傾げ、オークをじっと見つめる。みるみるうちに、彼の顔が赤くなっていく。熱湯に入れた温度計みたい。


「わ、分かった! 喜んで案内させてもらうよ!」


 彼はフン、と鼻を鳴らし、先導するように歩き出す。妙に張り切ってる姿がなんともドーテーくさいね。

 でも、なんだか不思議。この旅が楽しいものになりそうな気がする。なんでだろう……? まっ、いっか!

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