まさか……ヒロイン?
私、如月美夜は今、ひっじょーっに困っている
なぜなら今、認めたくない事実が目の前に存在するからだ
その事実とは何か?
それは私が生きているこの世界がーーー
乙女ゲームの世界だということだ
なぜ気づいたかと言うと、理由は簡単
目の前にゲームを始めた時と同じ、スチルまんまの光景が広がっているから
私は今日、この学校に転校してきた
そこで、先生が生徒会の人たちと顔合わせしといた方がいいだろうと、その生徒会面々を目の前に呼び出したのだ
いやいや、ちょっと待て、色々おかしいだろう
なぜ生徒会面々と顔合わせしないといけないのだ
乙女ゲームは私は基本知らないが、妹から散々話は聞いた
……嫌な予感がする
このポジション…ヒロインではないだろうな…?
………………よし、考えるのはやめよう
無心だ無心
さぁってと……現実逃避はやめるか…
「てなわけで、君は僕と同じクラスらしいから、一緒に行こうか」
……やめろ、それはなんのフラグだ
あ?こいつのファンクラブに目をつけられるためのフラグか?くそったれ
今目の前でにこやかにそんなクソみたいなこと言い放った野郎は、攻略キャラの一人、黒井真琴
見た目は黒髪黒目の美青年
和服が似合いそうだなコラ
性格は真面目で優しい
が、まあ乙女ゲーム然り、こいつにも攻略されるための嫌な過去があるわけで
そんな私の心情は……絶対関わりたくねぇ
「ここが君のクラス、2のAだよ」
ちなみに、今目の前にいる先生は既婚者で、攻略キャラではないらしい…顔は整っているがな
ロリコンではないようでよかった
ガラリとドアが開けられ、先生が入って行く
それと同時に真琴も教室の席へと戻る
「えー…今日はみんなに転校生を紹介するぞ」
その先生の言葉にざわつくクラスメイトたち
「では、入ってきなさい」
さて、行くか
私は教室へと踏み込んだ
その瞬間静まり返る教室
違和感を覚えつつも、教卓まで行き、黒板に名前を書く
振り向くとみんなじーっと自分をみていて居心地が悪い
さっさと終わらせよう
「えーっと、本日転校してきた如月美夜です…仲良くしてくれると、嬉しいな」
気まずくて、にっこりと笑って終わらせた
あー本当苦手だわ。こういうの
何故かみんな無言だし…はぁ
「……で、では、如月さんの席は、白石美羽さんの隣です。美羽さん、如月さんを後で学校案内してください」
「は、はい//」
あ、マジか
ライバルキャラじゃん
あ、でも、この人の好きな人は別のクラスだったっけ?
どうでもいいし、仲良くなれればいいな
「これからよろしくね」
「こ、こちらこそ!」
あー、このこ癒されるわぁ
ニコニコ微笑んでると、顔を赤くして俯いてしまう
あれ?私、なんか怒らせるようなことしたかなぁ?嫌われたらどうしよう…
いやいや!
まだまだ時間はあるんだし、ゆっくりと仲良くなって行けばいいよね!
頑張ろう!