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アフター*ダーク  作者: えむ
第一章 日常茶飯/街の風景②
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 夜道を照らす店の灯り。それに群がる人々。

「しかしなんというか、また一段と増えたのう……人が」

「まあねー。なんてったって天下のGUILD様よ? ゲームに使う機器なんて無料で貸し出しだかんね。サービスしまくりの儲かりまくり」

「発展はよいことなんだろうけども」

「うん。法に関わる事が起きやすいって実態もねー」

 この世界、現実に近すぎるという観点から、警察──いわゆる公的機関が何かと介入する場合がある。

 分かり易い例で言えば、先ほどの女子高生補導の件。

 もっと分かり易いところでいくと薬物系のいざこざであったり、強姦、窃盗などの事件である。

 たかが電脳世界といって侮っていては泣きを見る。薬物は現実のモノと寸分違わず精神を壊すし、罪を犯せば現実と変わらず法で裁かれる。

 ここは確かに電脳世界だが、蔓延しているのはただの人間だ。要は、大都市がもう一つ存在しているようなイメージである。しかもログアウトという、ある種、最強最速の逃げ足があるから安易な考えで犯罪に手を染めてしまう者も多い。それでもログイン・アウトの形跡で足がついてしまうので、結局のところ無駄足といった感じではあるが。

 前年の国会では認知度が高まりつつあるアフター*ダーク内の世界を、現実世界の政令指定都市として定めようという案件まで出されたぐらいだ。

 これは政治的な面としてではなく、仮想の世界に住みだす国民を管理するためといった理由からだ。

 実際、国家権力の一部は試験的に動作を開始しているようで、

「最近じゃ警察もついに電脳世界に拠点作ったらしいよー」

「なに? そうなのか?」

「法の適用がされてるくらいだもん。そんくらいやるよー。でもさ、そんなの蹴散らしちゃう人もいるわけじゃんここには」

「まあ、一部、のう」

「どうすんだろうねその辺フヒヒ」

「というか、既に自警団があったからのう。そっちとモメんか心配だ」

 幼児の言葉に名綱は、「ああ」と短く相打ちをして、

「国士無双とかいう中国人系の奴らねー。そういえば最近見ないけど」

「ふむ。まあなんだ? その、古参のわっちたちは街が変わっていくのが寂しいんだろうな」

 インディーズ性というべきか、秘匿性というべきか。

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