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アフター*ダーク  作者: えむ
第一章 日常茶飯/街の風景②
39/48

07

 扉の隙間から出てきたのは、ゆるいパーマが掛かった紫髪の眼帯メイド服少女。……なんだか色んな文化やカルチャーのポイント商品をごちゃ混ぜにしたような風貌である。

 その眼帯少女は店を出るや、開口一番、ものすごく憂鬱そうに言葉を紡いだ。

「なんで私がテンチョーの代わりなんだ。うぅ……お腹痛くなってきた」

 ――あいつは確か……

 マ王は思い出す。

 ピンクネオンの少々危ないNICE☆GUYという店には、運悪くテンチョーに目を付けられた一人の少女がいたという事を。俗にいうゲイ・バーに勤務(強制)するたった一人の少女の存在を。

「よう。アキラ」

 片手を挙げてマ王は少女に呼び掛ける。

 その声に頭を垂らしていた少女は視線を持ち上げ、次いで視界に捉えたマ王の姿を認識したと同時に一瞬フリーズ。そしてすぐさま動きを取り戻し、口の端をひくつかせながら、わざとらしいくらいの作り笑いで応える。

「ま、マ王。来てたんだ。早かったね」

 振り返す手のひらが手首で折れてへにゃりと力なく落ちる。

 この独眼竜メイド少女、伊月アキラ(いつきあきら)もまた、マ王の友人だった。

「ああ。テンチョーに呼ばれてな。まだ出てこれ……なさそうだな」

 アキラの後方。

 僅かに開いた鉄扉の隙間から、尋常ではない音量の声と斬撃音にも似た鋭いそれが飛んでくる。

「う、うん。だから私が代わりにって訳なんだ」

「そうか。……で、どうした? 何かヤバい事でもやらかしたのか? 言っとくが、テメエ等の尻拭いだったら何が何でも断らせて貰うぞ」

 ほんの少しだけ冗談混じりでマ王は言う。実は半分本気だったりする。

 そんなマ王の内心を知ってか知らずか、アキラは一拍置いてからゆっくりと言葉を放った。

「うん。それが……マ王の名前に関する情報を保管してたUSBメモリが盗まれた」

「………………………………………………………………………………………………は?」

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