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アフター*ダーク  作者: えむ
第一章 日常茶飯/街の風景②
33/48

01

 同時刻

 新東京市西区・テナントビル前広場


 ビル群の中にあるスクランブル交差点で、人と車が信号の切り替わりをサインに交互に入り乱れる。車はライトで列を成し、人々は夜の帳が落ちた大都市を練り歩く。

 新東京駅前の広場ほどではないにしても、街中を蠢く人間の数はやはり相当なものだ。

 そんな中、乱立するファッション系のテナントビルに囲われるように存在する場所。イルミネーションライトで彩られた豪奢な噴水と煉瓦調のタイルで装飾された広場――通称・待ち合わせ広場に一人の少女がいた。

 ──っかしいなー。まだ来てないのかなー。

 身につけているつなぎは袖を通さず腰にくくりつけ、上半身は大きな文字がプリントされた白い半袖Tシャツと黒い長袖Tシャツの重ね着。キャップも被っているものだから(しかも斜めにずらして)、とてつもなくボーイッシュな印象を受けるのだが、帽子から飛び出た艶っぽい黒髪と、そこそこ膨らんでいる胸部は間違いなく女子のそれだった。

 少女はスマートフォンの画面を人差し指で弾いて小首をかしげる。

 ──……とっくに時間過ぎてんだけどなー。……あれ? もしかしてメールの内容間違えた?

 どうやら、この少女も誰かと待ち合わせのようだ。

 ここは待ち合わせ広場と呼ばれるくらいの場所だから、少女以外にもぽつぽつと人の姿が見て取れる。

 この中にいたりして……と、一応、遠巻きに顔を確認してはみたものの、少女の待ち人はいなかった。

 到着から既に二〇分は経過している。

 女子をこんなにも待たせるなんて教育がなっていない。しかもこんな真夜中にひとりで。一人で。独りで。もし如何わしい商売をする輩に掴まってお店に出されるなりビデオを撮られたりといった状況に陥ってしまったとしたら、全ての責任は遅刻しているそいつにある。

 ――そうなった場合、さて、どんな罰を……そうならなかった場合でも罰は受けてもらうけどねフヒヒ。

 眉をハの字に寄せながら不敵に笑う少女。

 自分の身を案じるというよりは、遅刻者に対してどのような制裁を加えるかという事に関して楽しんでいるような表情だ。

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