03
よく見てみれば、送信元はGUILDだという事が分かる。
これがもし登録した覚えもない有料サイト等からの物であったなら、問答無用で無視だったのだが、送信元が送信元である。
――配信メール……かな?
多少疑心しつつも、少年はファイルをクリックした。
圧縮されたそれが、内臓データである解凍機能で一瞬の内に展開され、機械的なアナウンスが――
ハロー_
ユーザー名を確認中_
***************
認証完了_
チュートリアルを開始します_
「え……?」
スマートフォンの画面を見つめながら、少年は間抜けな声を吐き出した。
耐傷機能に優れた特殊な液晶画面には、こんな文字が紡がれている。
『ユーザー認証*** 桐島猛 チュートリアル実行中』
いや、と言うかそれ以前に。
よくよく考えれば猛は、画面タッチ式の如何にも高価そうな携帯に機種変更した覚えは一切なかった。
自分が所持していた携帯は折り畳み式の普通の型だったし、音声案内が流れる事もなかったはずである。それに加え、アフター*ダークへログインしたばかりで設定も何もできる状態ではなかったにも関わらず、いきなりのユーザー名表示。確かに起動時に少しばかり弄り回したが。
おろおろと慌てふためく猛。
しかし、真夜中の電脳世界は彼の順応を待ってはくれなかった。
「――──!?」
画面を見つめていた猛の肩に、突然何かが当たったかのような衝撃が走った。




