10
感じない筈だった。
ビキリ、とサージタリウスの首筋に突き刺さるような感覚が走った。
刹那的に思われたその感覚は鎮まらず、次いで怒涛のようにあらゆる感覚が流れ込こんできた。
右顔面から血が吹き出した。潰れた眼球が地面に落ちた。顎が砕かれて口が動かない。強打した腕があらぬ方向に歪曲。足の肉が削がれ灼熱した何かが身体中を駆け巡って暴れ回り頭蓋まで上り詰め熱い熱い苦しい、違ウこれは────いたい。この感覚は「痛い」だ。いたいイタイ痛痛痛痛痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛 痛
「う、あ、がq、あytあ、zvあああああああああああああああgあああaaaaaあああ――――!!!!」
壮絶な叫び声が辺りに木霊する。
全身を電気のように駆け巡る痛覚。約三ヶ月、電脳世界で生きてきたサージタリウスは許容を超えた痛みに、地面をのたうち回る事しか出来なかった。
「――ぐが、rkpあ、ろ、グアウト!!」
この世界において最強最速であるはずの言葉を吐き出すも何も起きない。




