0:プロローグ
俺はどうもおかしいらしい。
それに気付いたのは小6のときだった。
同級生と
『夢』のはなしをしていた。
この『夢』は寝てる時にみる夢のことであり、将来の夢などといった青春の匂い漂う爽やかなものではない。
昨日みた夢の話。何の変哲もない世間話だ。
でもそこで疑問を感じてしまったのだ。
夢は寝ている時にみるもの。これは理解していた。
しかし、彼らの話によると夢の主人公は自分であるようだ。
それは初耳だった。
決して夢を見た事が無い訳じゃない。むしろ毎日のように見ているのだ。
なのにこれ程までに食い違うのか。
簡潔に言うと俺は俺が主人公の夢、俺視点の夢を見た事が無いのだ。
これは後から分かった事だが、一般的にも他人が主人公の夢もあるらしい。
だが、俺の場合は違うのだ。
完全な他人目線の夢。そして夢では無くて現実に起こる事だ。
それが過去の事なのか、これから起こり得る事なのかは分からない。
ただ現実である事は確かなようだった。
そんな事を考えながら歩いていると、向こうから30歳くらいのサラリーマン風の男が歩いて来た。
大学前の銀杏通りでは、風が青い葉を揺らしている。
視線を顔に向けると浮かない顔が目に飛び込んで来た。爽やかな風には少しも合って無い。そんなところまでセンスのなさが表われている。
しばらく見ていると、目が合い怪訝そうな顔を見せた。
すれ違う瞬間にコーヒーのいい香りが鼻に届いた。
今夜は彼の夢を見そうだ。と思った。
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