(登場人物紹介)
登場人物紹介
■王国側
▼トール少尉
主人公。二十二歳。士官学校を卒業後、北部方面大隊に従軍。北の国境の要衝、ホーク砦に赴任する。
▼彼女
主人公の幼なじみで彼女。流れるような美しい金髪をしている。脳天気な楽天家だと周囲からは見られている。医師免許を持ち、軍医として北部方面大隊に従軍、主人公とともにホーク砦に赴任する。軍医は士官待遇なので階級は主人公と同じ少尉。帝国の侵攻に対し自ら居残り組を組織し、司令官代行となる。
▼マックス准尉
退役間際の老兵。男性。あごひげが似合っており、その声は低く深い。自ら進んでホーク砦の居残り組に志願し、司令官代行の彼女を補佐する。准尉は下士官としては最高位で、王国では四人しかいない。有能な現場参謀として北部方面大隊の上層部に信頼されている。
▼ウォーレン曹長
北部方面大隊の兵站を一手に担う事務方。三十代男性。銀縁眼鏡の痩せた風貌をしている。マックス准尉に請われ、ホーク砦の居残り組に加わる。祖母が山の湖の部族出身で、山の民との交渉役も務める。物資を調達する手腕に優れているが、軍の中には彼を快く思わない者もいる。
▼ガトー軍曹
歴戦の強者。二十代後半の男性。ホーク砦の居残り組の一人。鋭い目つきとボサボサの黒髪、赤いマントと堅い靴音が特徴。大胆不敵な行動力と、それを裏打ちする剣の実力の持ち主。聖王国出身の元騎士。帝国からは炎剣鬼の異名で恐れられている。
▼ニクソン一等兵
熟練の砲兵。二十代半ば男性。酔っ払って寝ている間に、居残り組に加えられていた。大砲マニアで、王国屈指の砲術の達人。失恋中で弱音ばかりを口にする。
▼レダ二等兵
南方出身の女傭兵。年齢不詳。見た目は十二歳くらいの少女にしか見えないが、戦場での経験はかなりのものらしい。お金に目がくらんで居残り組に志願する。砲術の心得が有り、ニクソン一等兵を補佐する。
▼フォスター二等兵
入隊したばかりの新兵。二十二歳男性。愛国心に駆られ、居残り組に志願する。育ちの良さそうな風貌だが、何かと理屈っぽい。常に戦局や戦略について一家言がある。司令官代行の彼女の作戦手腕を見て、彼女に心酔するようになる。
▼エル爺さん
謎の老傭兵。ホーク砦をうろついていたところをガトー軍曹に連れてこられ、居残り組に加わる。百年前の魔道大戦を生き残った最強の傭兵という噂がある。少なくともタダモノでないことだけは確か。帝国軍に対し、化け物じみた活躍を見せる。
▼ザグモ
ホーク砦の地下牢に捕縛されていた山賊。三十代男性。山の岳の部族らしい。筋骨隆々たる大男で、長弓の名手。牢からの解放を条件に、居残り組に加わる。
▼ベルト少佐
北部方面大隊第六ホーク砦駐屯中隊隊長兼ホーク砦司令官。四十代男性。ホーク砦からの撤退を決断し、帝国軍の足止めを彼女に託す。その後は国境近くの町バーレンを巡る戦いで歩兵隊を率い、奮戦する。
▼モリス大佐
退役間際の老将。今年でちょうど六十歳になる。北部方面大隊の大隊長。マックス准尉とは歴戦をくぐり抜けた仲で、個人的な親交がある。
▼フィリオナ伯爵
王国北部の名門貴族。帝国との戦いの裏で、外交交渉を行う。
▼フィリオナ准将
フィリオナ伯爵の次男。帝国との戦いの最中、王都からの勅命を受けて統合軍を創設、その司令官に着任する。手堅い作戦指揮で帝国を追い詰める。
■帝国側
▼ウルバン
帝国の強硬派に魔砲を売り込み、王国への侵攻をそそのかした張本人。老婆の魔来人から、帝国に富をもたらす英雄になるだろうという予言を受けている。
▼クルーズ
聖王国出身の元騎士。今は帝国の傭兵に身をやつしている。四十代男性。顔を負傷しており、その左半分を包帯で覆っている。騎兵を中心とした帝国軍は属国出身の傭兵を歩兵として使い捨てるため、不満を抱いていた。ガトー軍曹の説得に応じ、王国に寝返る。
▼『隻眼の魔女』黒巫女
聖王国出身の巫女。二十代前半の女性。魔道を操り、残虐非道な作戦で王国を攻める。ガトー軍曹とは過去に因縁がある。
■その他
▼猫の姿の魔来人
魔道具を売り歩く商人。夜のバーレンの町に現れ、エル爺さんに高額な魔晶石を売りつける。主人公にも魔道具を買うよう誘う。
▼老婆の姿の魔来人
ウルバンに予言を与えた謎の魔来人。彼女に予言を与えた老婆の占い師と同一人物との疑惑がある。王国と帝国との戦いを、裏で操り、自身の目的を果たそうとしているのではないかと言われている。
▼山の民
王国の北、帝国の南西にある巨大なカルデラ盆地に暮らす民。岳の部族、湖の部族、森の部族など、いくつかの部族に分かれている。山の民はいずれも長弓の名手で、十年に一度の弓比べで決まる『一番弓』を部族をまたがる権威として信仰している。二百年前の大災害で周辺各国に散り散りになり、王国にもその血族が暮らしている。王国では預かり屋を生業とし、実は裏で国内の物流のほとんどを担っている。