第二回:家の規模
その日の夕方に彰の家に着いた。
今はやたらとでかい門の前に居る。鉄製の洋風の門だ。
必要な物を詰め込んできた重いバッグを足元に置き、門の横についているインターホンを押す。
「・・・はい」
年齢の若そうな女性の声がした。
笠間さんだ。
「沙希ですけど・・・」
「どうぞ、お入りください」
そこで笠間さんの声が途切れた。
鉄同士が擦れ合う嫌な音を立てながら、自動で鉄製の門が開く。
一体この門にいくら金をかけているのだろうか、などと考えながらやたらと重いバッグを持って門を通り過ぎる。
目の前にある家は一般的に言うと、豪邸の部類に入るだろう。
洋風のこの豪邸は、有名なフランスの建築家に建てさせたらしい。たしか名前は・・・コルビュジュ・・・だったかな。はっきりとは覚えてない。
門から五十メートルほどの所に玄関があり、庭には綺麗に整った木々が生い茂っている。
玄関に着く頃には、笠間さんが扉を開けて待っていてくれた。
「どうも、ご無沙汰してます」
前に家族で来ていたので、笠間さんとは面識があった。
「お待ちしていました。どうぞ、中にお入りください」
笠間さんを歳は詳しくは知らない。見た目からいうと二十代前半あたりだろう。
でも、二十代前半にしては落ち着いた雰囲気を漂わせている。まあ、そういう性格なのかもしれないが・・・。
屋敷内に入ると、何処かの高級ホテルを思わせるようなシャンデリアが目に入ってきた。
あれだけでもかなりするだろう。
それにしても玄関が広い。俺の家の玄関とは比べ物にならないな。しかも絨毯が敷いてある。
「こちらです」
指示に従い、笠間さんの背中を追っていく―――。
二階に上がり、左に行った所の二番目の部屋に案内された。
木製のドアを開け、室内に入る。
部屋の中には、ベッドと机だけが二十畳ほどのスペースにポツリとあった。
意外と質素だ。
「七時になりましたら食堂にお越しくださいませ。では、失礼いたします」
笠間さんは俺に向かって一礼すると、ドアを閉めて行ってしまった。
はぁぁ・・・・・・、なんか疲れたなー。やっぱ、金持ちの暮らしに慣れてないせいかな・・・。笠間さん丁寧すぎるし・・・。
そう思いながらベッドに倒れ込んだ。
何も聞こえない・・・。
静かだ。
本当にこの家には、彰と笠間さんしか居ないようだな。
・・・・・・・・・・・・。
トントン。
不意にドアがノックされた。
「はい」
「沙希さん、入らせていただきますよ」
そう言って入ってきたのは彰だった。
相変わらずのニヤケ顔だ。
俺は半身を起こし、何だ? というような顔をした。
「いやー、よく来てくれましたねー」
別に来たくて来た訳じゃない。お前が来させたんだろうが。
半ば強制的にな・・・。
「何の用だ?」
「いやだなー、せっかく来て頂いたお客様を歓迎しているんですよ」
ジェスチャーで「いやだなー」て、ことを強調した。
あまり意味はない。
「歓迎なんてされたくないね」
両手を頭の後ろで組んで、再びベッドに倒れ込んだ。
「そうですか。でも、わたしは歓迎したいんですよ」
あっそ、と言いながら彰に背を向ける。
「それにしても、沙希さんがボクの家に来ているなんて、一体何年ぶりのことでしょう?」
「一年と二ヶ月だ」
即答してやった―――。
まあ、そんなくだらなく、面白味のない話を七時まで続け、飯を食い、風呂に入ってその日は速攻で眠りに落ちた。
余談をいうと、笠間さんの料理は最高にうまかった。プロだ。きっと店を出しても客が来る。来なくても俺が行く。
風呂は、どこかの豪華な大浴場を思わせる創りで、手足を伸ばしてもかなりの余裕があった。
とにかく、何もかもがすごい家だってことだ。
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