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秒速200m  作者: 楼榮 槐
8/18

結果×試験

 翌朝、グラウンドの中央と宿場の前の掲示板にでかでかと結果が張り出された。しかし、それを見る人は少ない。何故かというと、選手がそれを見るために殺到するだろうことを見越した主催者側が、事前に各学校ごとの生徒のグループを調べ、その結果をコーチや顧問に伝えてあるからだ。だから選手は、そこへ行けば教えてもらえる。だが、柘榴や隼都は顧問を探すよりも掲示板を見に行くことを選んだ。柘榴や隼都の名前の場所は大抵簡単に見つけられるし、柘榴たちの常識はずれな顧問が何処にいるかなんて知るよしもないからだ。



「ざっくん、俺小東のKやったで。覚えやすいやろ。なぁ、十二チーム目てどう思う?なぁなぁ聞いてるん?」いきなり走ってきた隼都がやかましい。声が高い方だから余計うるさく感じる。俺はまだ探してさえいないってのに。500人近くいると、一番端のAの掲示板見に行くだけでも大変だっつの。

「ちょっと静かにしてろって。今探してんだから」

「探さんかてええやろ、どうせAや」

「そういうわけにもいかな……」ない。俺の名前がAグループにのってない。

「嘘だろ……」

「ん?なんやて?」Aをもう一度見直す。

「あった」

「ちょ……どこ向いてるん?」

「B」

「はぁ?」

「見ろよ」自分の名前を指し示してみせた。グループ内ではあいうえお順に名前がのっているため、順位はのってないけど、明らかにB。俺がそんな……あり得ない!!

「嘘やぁ!この合宿どんだけレベル高いねん!!」

「桐生」いつからそこにいたのか、声をかけてきたのは意外にも顧問だった。

「次、頑張れや」そう言って肩を軽く叩く。そんな素振りが好きだった。厳しく怒鳴ることも、必要以上に同情することもいらない。後ろのことばっかに囚われる奴より前を見つめることのできる奴に教わりたい。この学校の陸上部が凄いのだって、面倒くさがっていても結局は生徒の心を読めるこの顧問のおかげかもしれないな。

「桐生はAにいける。お前のベストはまだ出せちゃいねー。最初はこんくらいの方がやる気出せんだろー。そう思ってやれや」にやりと笑って見せる。流石分かってるな。

「当たり前じゃないっすか」

「おう!その意気だ。だが一つ疑問に思ったことがあってなー」

「何っすか?」

「それがだなーAグループの大半の生徒に共通点があってよー。同じコーチに教わってるってことなんだが。まぁ学校の部活じゃなくて外部コーチなもんだから、生徒の学校はバラバラだがな。ところがどっこい今の今まで名前さえ聞いたことねーコーチだったんだ」しらーっとした目で隼都が顧問の顔を見る。

「それただ先生が話聞いてないだけやないですか?先生周りのニュースとかにうといところあるし」

「いやまじだって。桐生だって知らないハズだ。ま、練習とか目ぇつけとけよ。ほら、朝練始まるぞー。さっさと行けー」

 確かに。俺が知らないコーチなんてそうそういない。名前聞きそびれたけど、そのコーチだってどっかで見てるはずだ。Aグループの動きは見本にもなるし、見ないわけにもいかない。

「ざっくん。はよう行かんと」

「ああ」絶対Aグループになってやる。俺はそう心に誓った。


お久しぶりです。しばらく期末テストのために書けない状況にありました。今回の話では予想外の柘榴の試験結果と、顧問との掛け合いがメインですね。ちなみに顧問は国語の教師をしています。面倒くさがりですが読書量が凄いので、人の心理を読み取ることが上手い……という設定です。長くなりましたが、後書きまで読んで下さりありがとうございます。

 これから柘榴たちの合宿はどうなるのか!?

 それではまた次話でお会いしましょう。


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