表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秒速200m  作者: 楼榮 槐
3/18

陸上×連行

「てなわけで、お前陸上部決定な」

「は?」

 部活見学1日目の我心に押し寄せる理不尽な現実。

「ここの中学入ったんなら必然的に陸上だろー」

「だから入らないって……」

「とりあえずもう合宿登録メンバーに入れといたからな。ここの学校はスゲーぞー。なんたって県レベルしか来れないような合宿で、全員来れるんだからなー。ま、流石に地域ベスト16はないといけねーが。お前はクリアしてるんだしな?」 そしてニヤニヤと笑う陸上顧問。我心の話には聞く耳を持たずというところだろう。

「その合宿行かなかったら?」

「そん時は、キャンセル料と俺への説明料金、俺への謝罪料金、俺の思考料……」

「それ、自分の都合代じゃん」

「見学だけでも行けばいいんじゃね?」そこに柘榴が通りかかってそう言った。

 やれやれとでも言うようにため息をついた我心はようやくその首を縦にふった。

「柘榴までそう言う?」

「じゃ、これ入部届けなー」顧問から差し出された入部届けを見てまたため息をつく。

「いえ、合宿の見学ってだけで入部はしませんから」そう言ったにも関わらず、顧問は

「考えとけよー」と去って行った。どうやらこの顧問の耳には“入部しない”が“考えとく”に変換されるらしい。もともと入らないという選択肢は無いのだ。

「おい桐生ー。お前よくやったなー。宮城に合宿行かせるってだけでも相当な手柄だぞ」

「いや先生、我心はお前より頑固だから合宿行かせたところで入部しねーだろ。っていうか先生に助け船出すために、我心に行くように勧めたわけじゃないんで。これで終わらせればって思いで言っただけだから、あまり自惚うぬぼれんなよ」と、心で言ってみるものの、声に出しては言わなかった。その代わりに、

「そんなつもりないっす。見学させるだけなんで」と、 ついて出た言葉は無難な回答でしかなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ