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19 蜘蛛とムカデ

 暗い森の中。頭部がないジャイアントスパイダーがピクピクとその長い足を痙攣させている。


 どうやらボクは、いつの間にかジャイアントスパイダーを倒していたらしい。


 ジャイアントスパイダーの討伐証明部位は、大きな牙である。


 ボクは空間に入れたものを知覚することができる。


 頭上に展開した真っ黒な空間に意識を向けると、大きな牙どころかジャイアントスパイダーの頭部が丸ごと入っているのが知覚できた。


「欲しいのは牙だけなんだよね」


 ボクは手元に真っ黒な空間を展開すると、ジャイアントスパイダーの頭部を真っ黒な空間の外に出した。


 思ったよりも勢いよく飛んで腐葉土の上に落ちたのは、ボクの頭よりも二倍は大きいジャイアントスパイダーの頭部だ。八つの真っ黒な無機質な目が松明の光で輝き、ガチンッガチンッと牙を打ち鳴らしてボクを威嚇している。


 虫系のモンスターって首を刎ねてもしばらく動けるような生命力があるから気を付けないといけない。


 それにしても、さっきジャイアントスパイダーの頭が勢いよく飛んでいったのはなぜだろう?


 おそらく、樹上から勢いよく降ってきただろうジャイアントスパイダー。その勢いのまま出てきたのかな?


 これはなんとなくだけどすごい発見な気がする。心のメモ帳にメモしておこう。


「えい」


 ボクは展開した真っ黒な空間でジャイアントスパイダーの頭部を二等分した。


 さすがに頭部を二等分されると動けなくなるのか、ジャイアントスパイダーは沈黙する。


 その隙に、ボクは真っ黒な空間を使ってジャイアントスパイダーの大きな二本の牙を抉り取った。


「よし」


 ボクは一仕事終えたような気分で、回収したジャイアントスパイダーの牙を真っ黒な空間に仕舞う。


 大きな頭部をそのまま真っ黒な空間に収納してると、その分多くの魔力を消費するからね。まぁ、微々たるものだけど、こういう細かいところでの節約は大事だ。


「さて……」


 ボクはそのまま森の奥へと歩いて行く。


 ボクの魔法は、ジャイアントスパイダーにも通用した。そのことに自信を付けながら歩く。


 歩いている途中、何匹かのジャイアントスパイダーに襲われたけど、無事に倒して牙を回収することができた。この調子でどんどん狩りをしよう。


 なんだか順調でちょっと楽しくなってきた。


 その時だった。ザザザザザッと高速で腐葉土をかき分けるような音がボクの耳に届く。この音は聞いた覚えがある。ジャイアントセンチピードの足音だ。


 耳を澄ませると、どうやら右方向から迫ってきているようだ。


 ボクが右を向いた瞬間、そいつは姿を現す。


 大きな、いや、大きすぎるムカデだ。漆黒の硬質な体はまるで金属のように松明の明かりを反射している。その頭や、たくさん生えた足は鮮やかなオレンジ色。頭部からは大きなオレンジ色の湾曲した牙が生えており、その先端からはわずかに濡れているように輝いている。


 ジャイアントセンチピード。大きなムカデのモンスターだ。注意するべきはその牙である。噛まれれば大怪我確定だし、毒も持っている。ジャイアントスパイダーよりも討伐難易度が高いとされるモンスターだ。


 ジャイアントセンチピードがボクの姿を見つけると、まるでヘビが鎌首をもたげるようにその上体を起こす。ジャイアントセンチピードの戦闘態勢だ。


「ゴクリ……ッ」


 ボクは知らず知らずのうちに生唾を呑み込んでいた。


 デカい。


 『タイタンの拳』にいた頃に見たことはあったけど、改めて見るとこんなにデカいとは……。


 でも、ボクは戦う! そして、必ず生き残る!


「ショット!」


 ボクは四つの拳大の真っ黒な空間を展開すると、高速でジャイアントセンチピードの頭に向けて飛ばす。


 森の中は真っ暗だったからか、ボクの放った真っ黒な空間はジャイアントセンチピードに全弾命中した。


 頭部を完全に失ったジャイアントセンチピードは、その場でジタバタクネクネと足掻き、その動きもだんだん緩慢なものになっていく。


「倒せたのか……?」


 まだオレンジ色の足がピクピクと動いている。だが、ボクが近づいても襲ってくることはなかった。


 ジャイアントセンチピードの討伐証明部位は、そのオレンジ色の大きな牙である。


 一応、牙の状態を確認するために真っ黒な空間から収納したジャイアントセンチピードの頭部を出してみたのだが……。


「バラバラになっちゃったか……」


 四つのショットを放ったのが失敗だったのだろう。ジャイアントセンチピードの頭部は、まるで鋭利な刃物で丸くくり貫いた物が四つになってしまった。当然、討伐証明部位である牙も断ち切られてしまっている。


「まぁ、買取はしてもらえないだろうけど、討伐証明にはなるか……」


 そう結論付けると、ボクは真っ黒な空間を使って、ジャイアントセンチピードの頭部から牙だけを抉り取る。


「今度からショットサイズを大きくして、頭を丸ごと収納しちゃった方がいいかもなぁ」


 反省だ。


 反省した後は、今度は残されたジャイアントセンチピードの体へと向かう。ジャイアントセンチピードの黒い外骨格は、そこそこの値段で売れるのだ。こちらは傷もないし、普通よりも高く買ってくれるかもしれない。


「解体するのは面倒だけどね……」


 昔はよく解体したので、手順もたぶん覚えている。


 昔、冒険者ギルドの解体員さんに話を聞いて独学で覚えたのが懐かしい。

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