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14 追放の顛末

 ボクの魔法でオークも倒せるとわかった後も、ボクたちは狩りを続けた。


 もちろん、オークを倒すのはボクの役目だ。


 ダリアによると、オーク付きのゴブリンの集団が多いらしく、ボクがオークを倒せるのはとても助かるらしい。ボクもパーティに貢献できてとても嬉しい。


 誰かに必要とされることが、こんなにも心を明るくするとは思ってもみなかった。


 ちなみに、オークの討伐証明部位はゴブリンと同じく右耳だ。大きな体のオークだけど、その耳も大きい。普通はかなり邪魔な荷物になると思うけど、ボクの【時空魔法】なら空間に仕舞ってしまえば手ぶらになる。


「ペペの魔法ってかなり強いし便利だよねー。なんでパーティクビになっちゃったの?」


 みんなで集まっての休憩時間。アベルとクレトが肩で息をしている中、ダリアが不思議そうな顔でボクに問いかけてきた。その顔に悪意はない。というか、釣りで走りづらい森の中を何度も走っているはずなのに、ダリアの呼吸は乱れてもいなかった。すごい。


「ちょっと、ダリア」

「え? 何?」

「その、ダリアに悪気はないんですよ、ペペさん。ただちょっと配慮に欠けるところがあるというか……」


 セシリアが慌てたように言う。当のダリアはきょとんとした顔だ。自分が繊細な話題に触れたこともわかってなさそうだね。


 まぁ……。


「ダリアに悪気はないのはわかってるから大丈夫だよ。それに、ちゃんと説明してなかったボクが悪いんだ。ボクのギフトは【時空魔法】なんだけど、ボクはその力でマジックバッグの真似事をしていたんだ」

「マジックバッグって、なんでも入る魔法の鞄だよな? 俺でも知ってるくらいのすげーレアアイテムじゃん」

「ペペの魔法って物を入れられるし、たしかに似てるかもね」


 アベルとクレトが今にも横になりそうなだらけた格好で言った。


「そうなんだ。たしかに、ボクの魔法とマジックバッグは似ている。だから、ボクは荷物を持つ役目を求められたんだ。でも、マジックバッグはボクよりもたくさんの物が入るし、完全に中の時間を止められる。マジックバッグであることを求められたボクには、戦うための魔力なんて残っていなかった。でも、彼らがそれを求めるのならそれでもいいかと思っていたんだ。まぁ、それもボクの甘えでしかなかったんだけどね」

「甘え、というのは?」


 セシリアは真剣にボクの話を聞いてくれた。


 セシリアだけじゃない。気が付けばみんな真剣な表情でボクの話を聞いてくれていた。


「戦えない魔法使いは必要ないって言われちゃったんだ。ボクは現状でいいと甘えていて、彼らはもっと上を目指していた。それだけだよ」

「え? でも、ペペには戦うための魔力がないんだよね? それでどうやって戦うの?」


 意外にもと言ったら失礼かもしれないけど、核心を突いてきたのはダリアだった。


 そう。ボクには戦うための魔力を捻出する余裕なんてなかった。マジックバッグの真似事だけで精いっぱいだったんだ。


 でも、そのことを言ってもイグナシオはボクを殴った。


 たぶん、それすらも彼の中では甘えだったのだろう。


 もしくは、もうマジックバッグを手に入れて、ボクなんてもう用済みだったから、最後にサンドバック代わりに殴りたかったのかもしれない。


 心にちょっと黒いものが……。これじゃいけないな。


 たしかに、ボクの中にもイグナシオたちが理不尽だと思う心はある。


 でも、お世話になったのも事実だ。


 ここで『タイタンの拳』の悪口を言うのは違う気がした。


 だから、ボクはなんとかダリアへの回答をひねり出す。


「……たぶん、気概の話だったんだと思うよ? ボクは魔力がないから戦えないって決めつけて、戦おうともしなかった。戦うことを最初から諦めていたんだ。それが許せなかったんだと思う」


 それに、ボクは少しでもマジックバッグに近づこうとそれしか考えられなかった。


 だから、これまでにヒントはいっぱいあったのにセシリアに言われるまで自分の魔法の攻撃力の高さに気が付けなかった。


 我ながら間抜けだね?


 この力に気が付けていたら、ボクは今でも『タイタンの拳』の一員でいられただろうか?


 今さら考えても仕方がないか。


 もうボクは『タイタンの拳』を追放された身だ。事実は受け入れないと。


 これからはこのパーティでがんばっていくんだ。


「気概って……。やる気はいくらあっても魔力が増えるわけでもないでしょ?」

「だよね? 最初から詰んでるじゃん!」

「なんかムカムカしてきたな。なんだよ、そいつら!」

「私もペペさんが悪いわけではないと思います。理不尽な追放だと思います!」


 みんなボクのことを庇うように口々に言ってくれる。


 でも、みんなには『タイタンの拳』への悪感情を持ってほしくなかった。


 これはあくまでボクの問題だからだ。


「みんな、ありがとう。でも、もう大丈夫だから。彼らにお世話になったのは事実だし、ボクは彼らを恨んでいるわけじゃないしね」


 まぁ、今週中に金貨百枚稼がないといけないんだけど、そういうとまた心配されてしまいそうだし、内緒にするしかないな。

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