年賀状
今年も年賀状が届いた。
所有してる車のディーラーさん
いつも買ってるメガネ屋さん
一度指輪とネックレスを売りに行ったことがあるだけのジュエリー専門リサイクルショップ
一度もお会いしたことのない県会議員さん
ふふふ……、どうでもいいのだよ。
こんなどーでもいいものは郵便受けから出して即、ゴミ箱にシュート!
スマートフォンでインターネットにアクセスする。
行き先はいつもの小説投稿サイト。
活動報告で年賀状を送り合う。
『あけましておめでとうございます』
私があげた活動報告に、色んなひとがやって来る。
『おめでとう!』
『あけおめ〜』
『本年もよろしくお願いいたします』
『今年もよろしくね』
『昨年は色々楽しかったね!』
『今年はお互いに昨年以上のヒット作品、出せるといいですね』
やきにくさんも、ポン酢ソースさんも、ピンクのゆうれいさんも、ただの通行人さんも、広野しもさんも、最後のひとさんも──
みんな顔も声も知らないけど、年賀状をやり取りする心の友だ。
私もそれぞれのひとの活動報告へお伺いして、年賀状を送る。
『今年も生きて、小説を書きます!』
『おー』
『生きろ、生きろ』
『書き続けてくださいね』
『いなくなったらただじゃおかないからな!』
『あなたの小説、好きです』
『ずっとずっと、読ませてね』
笑顔になって、そっとスマートフォンを閉じた。
私の余命はあとどのくらいだろう──
働くこともできて、入院はしなくていいものの、いつこの命が消えてもおかしくはない。いつ心臓が停まってもおかしくはない病気を患っている。
きっともうあと10年も私はこの世にいない。そんな予感がしている。
人見知りが過ぎて、それどころか一人でいるほうが好き。
聴覚に障害があり、まともに喋ることもできなくて、リアルでは誰もから『他人をバカにしているわけのわからんやつ』と見られている私が、ここではそこそこ人気者だったりするのが不思議だ。
小説家になろう──この場所があるから私は笑って毎日を送れている。
きっと私は、ほんとうは人間が好きなのかもしれない。
リアルではそれを表に出せないだけで、ほんとうはみんなと仲良くなりたいのかもしれない。
それを叶えてくれるこの場所に、感謝。
もしたった一通だけ年賀状を送れるとしたら、私はこの場所に送るだろう。
あけましておめでとうございます
本年もどうかよろしく、お願いいたします
小説家になろうさまへ──




