ふもっふ
紳士としてキターーー!っと喜ばなければならない場面だろうか?
いや、親しい間柄ならば尻尾触っていいんだったっけ?
私がイズナさんの父親の尻尾を触る場合はアレな事になると春姫ちゃんが言ってた。男同士だとそういうお誘いになると聞いた覚えはあるのだが、女の子同士、しかも片方はロリの場合は、どんな感じなんだろう。変な意味ではなく微笑ましいものと思って見ればいいのだろうか?
……微笑ましいものだった場合も、おっさんがニヤニヤ見てはいけないとかもあるかもしれない。
尻尾については、また詳しく聞かねばならぬだろう。
しかし今はそれどころではない。
私も、私もクロの尻尾を触りたいぃぃいいぃぃぃいぃぃいいいいっ!!!
見ているだけではなく、私もクロの大きくなった尻尾を味わいたいのだ。
もっふもっふとクロの尻尾を楽しんでいる春姫ちゃんがなんとも羨ましい……。いや、もはや怨めしい、妬ましい!……きっとね、頼めばクロはいいよと言ってくれるだろうけれども、それはダメなのだ。ぐぐぐぐぐ……。
「春姫様、もっと優しくして。」
ぐふっ!
私に言ったわけではないが、攻撃力の高い台詞である。
「おっと、すまんのじゃ。大きくなってるのを調べてみたくてのぅ。骨ごと大きくなってるのかどうなのか調べたいから、少しの間我慢してくれんかの?」
「うん、わかった。いいよ。」
あぁ、なるほど。大きくなるという事を不思議現象とひとまとめにして興奮するだけの私と違って、春姫ちゃんはそういった事も気にしなければならないのか。
確かに、大きくなったとして、その種類もいろいろあるだろうしね。骨を含め全部が大きくなっている場合もあれば、骨はそのままで肉付き(?)がよくなった場合、尻尾本体はそのままで毛量が増えた場合、などなど、様々なパターンが考えられる。また、骨ごと全部大きくなる場合、境目で一気に大きくなっているのか、徐々に大きくなっているのかなどもあるかもしれない。
「ふ〜む……。確かに大きくなっておる様に思う。」
えっ?
『思う』?
思うって、どういう事なんだろうか。
「クロよ、尻尾を元の大きさに戻す事は出来るかの?」
春姫ちゃんはクロの尻尾をニギニギしながらそう言った。
「わかんないけど、やってみる。う〜ん、う〜ん、こうかな?」
クロが目を瞑ってうんうん言ってる。
せっかく大きくなった尻尾を、私に触らせることなく小さくしてしまうなんて!と叫びたい。叫ばないけど。
「おおっ!変わった変わった!!小さくなったぞ!触っていれば解り易いのう!クロ、また大きくしてみてくれんか?」
「うー!にゃー!」
それ、這いよるやつじゃない?
「大きくなったのじゃ!クロ、その調子で、もっと大きくする事はできんかの?」
まさか……SAN値ピンチがくるのか?
「ぅわお〜〜〜んっ!!!」
違った!これは狼の遠吠えかな。
……って、おお!!!すごい!直径が元の二倍くらいになっただろうか。
これは、飛びつきたい。飛びつきたさも倍増だ。
「おおお、すごいのう!長さも太さも元の二倍ほどになったかの?重さも大分増えたじゃろ?八倍くらいになったんじゃないかえ?」
「やったあああ!!!変わったよ!!!!やったやったやったああああ!!!!!」
春姫ちゃんがクロに質問しているが、クロはそれどころではない様子。
春姫ちゃんもクロの様子を見て、うむうむと頷いている。質問の返事よりも、クロが喜んでいる様子が嬉しいみたいだ。
てか、なんでさっき喜ばずに、今喜びだしたのだろうか?
「ケイ!やったよ!!ありがとうっ!!!!!」
ガバッ!
クロは嬉しさのあまりに私に飛びついて来た。
助走距離はほぼ無いというのに、何という速度だろうか。これが、手加減を忘れたクロの真の実力というやつなのだろうか。クロが身体強化した全力ならば、立ち幅跳び(助走無しで飛ぶ幅跳び。スポーツテストだかなんかでやった事あるっけ?立ち三段跳びだったっけ?いや、普通に走り幅跳びだった様な気もする。うろ覚えです。)で10mとか記録だしちゃうんじゃないだろうか。
とっさに片足を引いて、「総員、衝撃に備えろ!」と心の中で叫ぼうとしたが、そんな猶予はなかった。
どたーん。
私はカッチカチなのでダメージは受けなかったが、突っ立ったままではその勢いを受け止めきれずに倒れてしまった。
「ケイ!ケイ!ありがとう、ケイ!」
大変な事態である。大変な事態である。
春姫ちゃん、春姫ちゃん、応答せよ!応答せよ!
……くっ!春姫ちゃんは届かない距離にいる様だ。だがしかし、救助要請を諦めるわけにはいかない。右手を春姫ちゃんがいるだろう方向に向けて助けてと合図を送る。左手はクロの背中にタップして降参だという合図。決してクロの身体を連続タッチだグフフ、というわけでは無い。
今、ヤバい状態なのだ。
「ふも、ふも、ふもっふ。」
決してボン太くんの真似ではない。




