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ご無事で何よりです

 そうか。一子相伝と言っても、秘した物とかじゃないのか。門戸も開いているのなら、特別に見せてくれるとかではなく、普通に見せてもらえばいいのか。

 ……それにしても『気』か。気とは一体何なんだろう?


「『気』って一体どんなものなの?さっき戦闘時の使い方は聞いたけど、どこからきたものというか、どこで作られるものなの?霊力の器みたいに、気の器があるとか?」


「気はね、霊力の器から出てくるよ。」


 ん?霊力の器から出てくるけれど、霊力とは別のもの???


「妾もヒトカゲに聞いた事があったのじゃ。やつが言うには、霊力の器の一部を変質させて、その部分から生成されているのが気なんじゃそうじゃ。そう言えばおぬしは変質者じゃったの。もしかしたらおぬしにも気が使える様にもなるかもの。」


 ちょっ春姫ちゃん、クロの前でなんて事言うのさ!確かに春姫ちゃんは私に「変質者」の称号をくれたけどさ、クロに勘違いされちゃったらどうするの!


「ケイ!!!ケイは、変質者なのっ!?」


 なぜかクロはものすごく食いついてきた。なんで変質者に食いつくの……。


「いや、あの、クロ、あのね―――」


 トトトトトッ、ズサーーーッ!!誰かが走ってこちらへやってきた、そして勢い良く奥の襖を開けた。


「なんですって!ケイさんは変質者なのっ!?」


 同志が、同志ラスも食いついて来た。さす同志。クロが大声で私に変質者と聞いてきたのが台所まで聴こえてしまったのだろう。ラスさんは興味津々といった表情で……じゃなかった、きっと変質者と聞いてクロや春姫ちゃんの事が心配なのだ、きっとそうだ。

 二人から見つめられ、変質者かと問われているので、私もきちんと答えねばならないだろう。誤解を招く事はない様に気をつけなければならない。

 春姫ちゃんのお腹に回した両手からは、春姫ちゃんが笑うのを堪えているのが伝わってくる。このイタズラっ子め。お腹を撫でてしまおう。


「あ、いや、あのね、私は人間だった頃に、三、四回くらい霊力の器が変質しているらしいんだよ。ん?あれ?その内一回は元に戻ったってやつだったかな?その結果妖精になったから、春姫ちゃんがね、“何回も器を変質させるおぬしには変質者の称号を与えるのじゃ”って言ってきたんだよ。だからね、その、変態とかそういった事ではないんだよ。」


「そんなに変質したの!?」


 クロはさらに食いついてきた。さっきよりも目を輝かせている。

 反対に同志ラスはクロとは逆にちょっと引き気味といった様子。あと、ちょっと残念がっている様にも感じる。


「普通はそんなにコロコロ変質すれば器が保たずにぶっ壊れるのじゃ。実際おぬしの器も二回ぶっ壊れる直前までいってるしの。」


 二人の反応の意味が良く解っていない私に、春姫ちゃんがどういうことか説明してくれた。ありがとう。お腹なでなで。

 霊力の器がぶっ壊れる直前って、あれか、キノコ事件の時と、ファイアーボールの時か。悪霊の時は呪いで高負荷がかかったけれど、殻に閉じこもっていたから何とか耐えきったんだっけ。


「でも私は霊力に目覚めていなかったから、全く自覚も何も無かったんだけどね。さっき春姫ちゃんに記憶を見て貰った後に、年代順に沿って説明して貰ったんだよ。そしたらね、幼い頃と、つい先日の二回がヤバかったみたい。」


「それは……、ご無事で何よりです。」


 と同志ラス。この言葉は残念がられての言葉ではない。


「ありがとう。その、それで、ですが、私が変質者というのは、台所まで聴こえてしまったのでしょうか?……イズナさんの耳にも届いてしまったのでしょうか?」


 イズナさんにも聴こえてしまったのかを聞くと、同志ラスは一瞬少しニヤッとしたが、すぐに真顔に戻った。


「イズナにも聴こえてしまったかもしれませんが、大丈夫です。台所に戻ったらちゃんとどういう事か伝えておきますから、安心して下さい。」


 ほっ……。

 ありがとうございます。ありがとうございます。と、ありがたすぎて二回頭を下げておく。今の体制だと、春姫ちゃんの頭を二回クンカクンカする様な形である。


「ありがとう。助かります。」


 ラスさんの持ちネタはここで使っていいのか解らず、結局使わず普通にお礼を伝えた。

 ラスさんはニッコリ笑顔を見せてくれた。それからラスさんは視線を少し変えて、春姫ちゃんの方を見た。


「春姫様、お食ににょ………………噛みました。」


 なん、だと……!噛みましたから入らずに、いきなりの噛みまみた、だと……!?


「よいよい、わかったのじゃ。良い時間じゃしの。そうじゃの、この部屋で食べようかの。運んで来てくれるかの?」


「はい、噛みこまりまみた。」


 ご飯ができたよというお知らせだったのだろう。春姫ちゃんにもちゃんと伝わった様で、この部屋で食べる様だ。

 そして、ラスさんの最後のやつは、「かしこまりました」と言ったつもりだったのだろうか?

 ラスさんは謎の言葉を残し台所へと戻って行った。


「ラスの真に恐ろしきは、アレを素でやっているところじゃ。本人は全くふざけているつもりではなく、真面目にやっておるのじゃ……!」


 ラスさん、恐ろしい子……!!

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