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ダメ!!

「クロは実家の道場での稽古もあるからの、あまり夕餉までは共にする事はできぬが、ラスと一緒によく遊びに来るのじゃ。ラスもさっき言ってたじゃろ?じゃから、どこに何があるのかほとんど知っておるのじゃ。」


 そっか。ラスさんだけじゃなく、クロも勝手知ったる、なんだ。


「というか、おぬしも今後しばらくはこの家が職場になるのじゃぞ?妖精の事を外部に漏らさぬ為にの。とりあえず基本を仕込むまではこの家の中じゃ。」


「あぁ、なるほど。お世話になります。」


 またお邪魔したいなと思っていたけど、そうか、そうだよね。特に妖精関連の事を習うときとか、あとは私の中でまた春姫ちゃん(本体)と会うときとかも、余人の目に触れ無い方がいいもんね。


「クロも!クロもここ来る!!ケイと一緒!」


「う〜ん……、真面目にデスクワークするなら、手を回してここに来て貰った方が護衛としても良いじゃろうか……。クロ、検討しておくが、毎日とまではいかぬじゃろうから、それは覚えておいてくれの。」


「うん!春姫様ありがとう!!」


 クロが一緒に働きたがって(?)くれた。

 私には巫女さん(見習い含む)の仕事内容がわからないが、私と一緒の場所でも出来る事もあるらしい。そっか、お祓いとか舞とかばかりじゃないもんね。……いや、そもそも神域の巫女さんと人間の巫女さんは同じ種類の職種になるのだろうか?いやいや、その前に人間の巫女さんの仕事を全然知らないや。完全にイメージだけ。

 まぁ、それらも全部ここで学んでいけば解るだろう。


「クロの一子相伝の武術も見れたりするのかな……。」


 私は戦闘訓練も受けるらしいので、クロが一緒ならクロの武術を見る機会もあるかもしれない。


「そうじゃのぅ。クロよ、ケイの戦闘訓練時にも付き合ってもらえぬかの?」


「ダメ!!」


 あ、いや、そうだよね。クロが頑張ってきた事を、軽々しく見せてだなんで、図々しい話か。

 ……ただ、クロに拒絶されたのは、なかなかにショックを受けてしまった。


 ここでショックを受けて終わりはダメだ。

 ショックを受けたのは、私はクロを「頼めば何でも引き受けてくれる」と自分の都合の良い存在だと勘違いしてしまったのではないだろうか?

 ここまで私に懐いていれている女の娘に、ダメだと言わせてしまう事を言った自分を省みなければならないのではなかろうか。


「クロ―――」


「ケイをパーンってしたくない!」


 クロは何て物騒な発想をするんだろうか。

 ……いや、待てよ?

 もちろん、もちろんだ。もちろん私はパーンってなんてされたくないのだ。ちょっとした痛みならともかく、ガチの痛いやつは嫌だ。当たり前である。

 ……だが、クロから「ケイをパーンってしたい!」って笑顔でおねだりされたら、それはそれでゾクゾクしてしまうのではないだろうか?パーンとされる事ではない。言われる事にだ。……うん、いいね。


「ケイをパーンとさせる事はないと思うから安心するのじゃ。」


 春姫ちゃんはクロの方に向きそう告げると、そのまま身体ごとねじり私の方を見てきた。

 すごい目をしている。この目は……うさみちゃんだ!名探偵のうさみちゃんが犯人のくま吉くんを見る時の目だ!!

 この目はダメだ。レア表情だけど、ダメだ。私はくま吉くんみたいに犯罪行為はしていないよ!?

 私は春姫ちゃんの腰を掴み、真っ直ぐ座る様に座り直させる。


「クロは、普通に戦うこともできるじゃろ?妾じゃケイと体格差がありすぎての、組手の稽古は難しいのじゃ。ケイに変な癖がついてしまってはいかんしの。」


「うん?そっか、そっちか。それならいいよ!」


 あぁ、最初に私が一子相伝の武術を見たいとか言っちゃったから物騒な勘違いをさせてしまったのかもしれない。


「ありがとう。」


「ケイと一緒の時間が増えて嬉しい。」


 あぁ、可愛い事を言ってくれる。撫で回したい。ワシャワシャしたい。エロい意味じゃなくて、純粋に思いっきり可愛がりたい。


「せっかくだし、かかしでも、その辺に落ちてる石にでも、一度内側からパーンとするのを実際に見せてやったらどうじゃ?」


 あ、いや、それは、いいのかな?


「うん、いいよ〜!」


「いいの!?うおお、めっちゃ楽しみだ!!」


「クロの武術が一子相伝なのはの、『気』じゃ。クロの家の道場は門下生は少数精鋭状態じゃが、門戸は開かれておるし、技も秘術も公開されておる。ただ、気を扱える者がクロの一族の中から一世代に一人だけ産まれるのじゃ。それ以外で気を扱える者は未だに出現しておらん。なぜか解からぬがの。じゃから結果的に一子相伝状態なのじゃ。」


「クロの家の道場、あまり大きくないの。」


「ん?ああ、ヒトカゲのやつが自分用に建てた道場がその当時のままじゃからな。入門希望者は多いのじゃが、道場の敷地的な理由から警邏隊の隊長格以上じゃなければ入門できぬ事になっておる。まぁ、これはクロの一族ではなく、警邏隊の連中が勝手にそうしているというだけなのじゃがの。」

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