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いやいやいやいやいや!

「九尾のことじゃが、昔は何人かおったんじゃがの……。まぁ、いろいろあったんじゃ。それで今はタマモだけじゃ。ただ、たま〜に隠れ九尾もおる場合もあるので注意じゃ。回りに隠している場合だけじゃなく、本人すら気付いていない場合もあるのじゃ。」


 人妻の事は深く追求することはないらしい。

 クロが珍しく少し恥ずかしそうな顔をしていたのが非常に印象的だった。


「ど、どういう事?」


「九尾というのは霊力が高いという証拠だからの。面倒な事に巻き込まれない様にするためじゃ。」


「あぁ、なるほど……。」


 あれだね、異世界ものでよくあるやつだ。

 ……違う。私も今まさに妖精なの隠そうとしているじゃないか。そうか、そういう事か。


「後はの、例えば馬族とかじゃと、尻尾が長い毛で見えないじゃろう?ものすごい毛の量だと思っていたら、中に尾が九本あったという事もあったのじゃ。」


「そんな……そんなアレな事ってあるの?」


「そんなアレな事が実際あったから話したのじゃ。」


「そりゃそうか……。」


「まぁ普通は気付くがの。そんな間の抜けた九尾もおったという事じゃ。」


「はい。」


 今こうやって私が返事しているが、クロもちゃんと聞いていて、うんうんと頷いている。


「他にも、兎族の九尾はの、尻尾が小さいじゃろ?九個もあると、小手鞠の様に小さな花が集まって咲いているみたいでなかなか面白かったぞ。」


「ほほう……!」


 尻尾を花に例えるなんて、春姫ちゃんも解っているじゃないか。ふふふ。


「違うぞ!」


「えっ?」


「何かおぬしが変な目で見てきたを感じたのじゃ。」


 何、だと……?


「まぁ、そんな事より続きじゃな。昔の九尾たちはじゃな、あまり土地神にはなりたからなかったのじゃ。」


「それは、どうして?」


「今では先天性の九尾は最初から土地神候補として育てる事となっておるが、昔はそんな決まり事もなく本人の自由じゃったのじゃ。強くなる事を目標にして修行する者、日本各地を巡る旅へと出る者、外国へと旅立った者、自分の興味の赴くままに研究する者、いろいろな者がおったのじゃ。権力と共に責任を負わねばならぬ立場に魅力を感じなかったのもあるかもしれぬがの。あぁ、あとは龍穴との相性もあったの。産まれながらに『持っている』側として生きてきたからの、我の強い者も多かったのじゃ。そうなると、龍穴との相性もはっきりと出てしまっての。」


 そうなのか。ただ、それだとタマモちゃんは……


「そうじゃ、タマモの将来はすでに決められておる。」


 また心を読んできた。私は顔に出やすいのだろうか。顔といっても、春姫ちゃんは私の抱っこ状態から見上げてくるので、私の鼻の穴が丸見えな形で見られているわけだが。


「最近は以前に比べると、神域の者たちの霊力が弱くなってきておる。全体としての。霊力の強い者が生まれる確率は今後も下がる一方じゃと考えられておる。じゃからの、仕方がないのじゃ。……『仕方がない』と一言で片付けられることではないのじゃが、今後を見据えると他にどうしようもないのじゃ。」


 ……霊力とかそれ関連についてド素人もいいとこの私にとって、土地神の役目も何もわからない。今現在無事平穏に暮らせているのも、土地神様や神域の人達の働きがどれほど関わっているのかもわからない。『何も知らず』に甘受しておきながら、『何も知らず』にタマモちゃんは選択の自由が無くて可哀想だなんて言う資格はないよな。

 それに、春姫ちゃんはタマモちゃんを可愛がっているし、しっかりと配慮などもしているのだろう。私が何か言うのもおこがましいだろう。


「そう言ってくれると助かるのじゃ。」


「いやいやいやいやいや!『言って』はいないよ!!!」


「あっ……。」


 春姫ちゃんが上を向いて見上げてくる。つまりは私の鼻の穴が丸見え状態。

 私も首を曲げて下を向き春姫ちゃんと目を合わせる。これで鼻の穴を覗かれるのは角度的に大分マシになっただろう。


 ……。


 …………。


「よくわからないけど、二人で楽しそうだね!」


 あ、クロを放置して二人でいちゃいちゃしてしまった。

 クロは純粋にそう思ったからこその言葉で、二人にしかわからない事言ってんじゃねぇよと言ってきたわけじゃない。が、二人の世界に入ってしまったのは事実である。


「ごめんね。」


 クロに謝ったが、これは完全に私の気持ちの問題である。クロは何で私が謝ったのかわかっていない様子である。


「……すまんのじゃ。じゃが、タマモには分からんじゃろうから、安心するのじゃ。」


 そっか、なら安心か。

 私の心がタマモちゃんの心を汚染してしまわないのなら安心安全。


「注意事項としてはじゃの、尻尾が多いのは霊力が強い証にはなるのじゃが、霊力が強ければ尻尾が多くなるというわけではないのじゃ。例えば、クロはこの里では上位の霊力を持っているのじゃが、尻尾は一本のままじゃ。」


 一気に話を戻したな。


「うん、クロは消してない。増えてない。ケイに喜んで貰えない。」


「違う違う!!クロ、違うよ!確かに尻尾が多いのはもふ感増して素晴らしいものではあるけれど、それが全てではないんだよ!尻尾は一本でも素晴らしいものなんだ。尻尾は多くても、一本でも、尻尾は尻尾であるだけで、ただそれだけで素晴らしいものなんだよ!」


 クロに勘違いされてしまったら大変だと思い弁明してみたが……我ながら何を言っているのだろうか。

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