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返事をせいっ!!どうしたのじゃ!?

 優しくなんて言うなよ。

 興奮しちゃうじゃないか……!


 なんて事を考えながらも春姫ちゃんの耳を拭き拭き。


 グ…グググ…


「お、おぬし……、その、じゃな。」


「はいはい、痒いとこはないですかー?」


 クロに気付かれてはいけないので受け流す。

 さっき私の胡座の上に座ってくる時はあんな事してきたのに、実際こうなるとそんな反応してくるなんて……!

 というか、私だって無理やり興奮しているわけじゃないんだよ!?春姫ちゃんが優しくなんて意味深な事言うから、こうなっちゃったんじゃないか!

 とか何とか心の中で文句を言うが、春姫ちゃんだって今回はそんなつもりで言ったわけじゃないだろうし、責任転嫁は良くない。春姫ちゃん、ごめん。早く鎮めなければ。ひっひっふー、ひっひっふー。


 しかし、狐耳を拭くという行為。なんて至福な一時なのだろうか。

 丁寧に丁寧に、毛の一本一本を綺麗にする様に拭く。優しく、優〜しく。拭きながら毛を引っ張ったりしない様に、ゆっくりと、丁寧に、優しく。

 この時間が永遠に続けばいいのに。


 拭き終わってしまった。物事とは永遠になんて続きはしないのだ。

 だが私は諦めない。

 終わってしまったなら、また始めればいいのだ。

 今度は比喩ではなく、本当に毛の一本一本拭いていく。引っ張ったりしないよ様に細心の注意を払いながら。皮膚の部分への配慮も忘れてはいけない。


 時折、ピクんピクんと動くのだが、逃さないよ。どこまでだって追いかけて行くよ。絶対に離さない。絶対に。君はもう私のものだ。私だけのものだ。二度と離すものか。君のことは―――


「―――ケイ!ケイ!返事をせいっ!!どうしたのじゃ!?ケイ!」


「はっ!!!!!私は、私は一体何を……?」


「突然、おぬしの霊力が急激に高まったのじゃ。それから妾には分からなかったのじゃが、クロが言うには耳を拭く作業が高速化したそうじゃ。その動きはクロの目ですら追えなかったとの事じゃ。」


 クロはうんうんと頷いている。

 その顔はなんだかちょっぴり興奮気味だ。いや、これは、耳を拭くというエロ的行為を目近で目撃したからではない、たぶん。高速化したという私の動きを見てのことだろう。


「その、耳は大丈夫だった?乱暴にしてしまっていたら、ごめん。」


 耳を汚してしまって拭く立場で、さらに痛がらせてしまっては申し訳なさすぎる。

 私は身体強化というか『カッチカチ』にオートリジェネがかかっている。この効果を春姫ちゃんの耳にも効かせられないだろうか。右手は右狐耳を、左手は左狐耳を包みこむ様に優しく掴む。そして狐耳への愛を掌へと集中させる。


「うんにゃ。妾はただ心地……んんっ!!!」


 自分の掌から何か暖かくねっとりとした何かが浸透していくのがわかる。


「にゃ、にゃんでかいふくじゅちゅちゅかえりゅっ……!!」


 春姫ちゃんが「にゃ」とか言い出しちゃったからとりあえず愛を注ぐ行為を中断。


 あっ!違う違う!!そういう事じゃない!そういう行為はしていない!!!

 本番行為はしておりません。上記の通り、負傷させてしまった狐耳を包みこんで想いを込めただけです。いかがわしい行為におよんではおりません。耳を触るのも事前に許可があってのもので、性的な意味を持った行為ではありません。私は未だ童貞であり、中出しをしておりません。一方的な性的搾取ではございません!


「はぁ……、はぁ……。何でおぬしは回復術を使える様になっておるんじゃ?ねっとり……もはや、ねっちょりといった感じではあったがの。」


 ね、ねっちょり……。


「痛い思いをさせていたら申し訳ないな、と思って。私のこのカッチカチはなんか自己回復効果もあるみたいだから、どうにか春姫ちゃんの耳にも回復効果を与えられないかなって思って、どうにかこうにか想いを込めてみました……。」


「そんな適当なものでこれだけの癒やし効果を発生させたのか……。霊力ゴリ押しゆえか、はたまたおぬしが妖精ゆえか、それとも……おぬしの業ゆえか……。いずれにせよ、今後しばらくはイズナに以外使用禁止じゃ。」


 少しでも癒やす事ができたら、と思ったのだが。……って、え?イズナさんには良いって事は、どういう事だ?


「第一、妾は耳を拭いてもらっていて、心地良さを感じていただけで全く乱暴などされておらんのじゃ。そう返す前に早とちりで暴走するでないのじゃ。まったく……。」


 そう言うと春姫ちゃんは立ち上がってしまった。

 あっ……!

 狐耳から手を離したまま、まだお腹へ手を回してホールドしていなかったのだ。

 いや、がっちり抱っこして絶対に立ち上がらせないぞと思っていたわけではないが。


「ちょっと行ってくるが、すぐに戻ってくるでの。クロに変な事をするでないぞ?」


 春姫ちゃんはそう言い残し部屋から出ていってしまった。

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