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訓練行きたくない

「う〜ん、でもちゃんと付かないならダメかな……。」


 何が?いやナニがってこと!?

 これは……深掘りしてはいけない。次の話題へ転換しなければならない。クロ、ごめん。


「クロ!クロはさ、ドライブでどこか行きたい場所とかあるのかな?」


「どこでもいいよ!車に乗りたいの。」


 話題変更成功。

 そういえば、初日は車に乗って動き出しただけで喜んでくれてたもんね。どこかへ行くんじゃなくて、走る車に乗る事が目的ということなんだろう。

 ドライブ(デート)の発案者はクロだからまずはクロの意見を聞いてみたけれど、他の皆にも意見を聞いてみよう。まぁ予定を合わせるときでいっか。極端な話、当日の行きあたりばったりでもクロの目的に沿うわけだし。


「クロは電車とかにも乗ってみたかったりするの?」


 走る乗り物に興味があるなら、と思って質問してみた。


「うん。でも、車の方が好き。車の方が近いから。」


 近いってなんぞや?


「近いっていうのは、一緒に乗っている人達と?」


「それもあるけど、う〜ん、世界と近い?」


 クロは何て言えばいいんだろう?と首を傾げながら答えてくれた。

 しかし世界と近いというのは、う〜ん……。どういうことだ?まあいいか。一緒に過ごすうちに、クロの世界観とかも解ってくるだろう。


「そっか。他の乗り物とかは?船とか飛行機とか。」


「乗ってみたい!!!すごそう!」


 質問しておいて何だが、無責任な事を聞いただろうか。聞いても、乗れないんじゃないだろうか。

 ……いや、何も遠くへ行って泊まり掛けにしなくてもいいんだ。いけるか?

 飛行機も国内線で日帰りは十分可能だし、船も最近動画で見たやつは千葉県から神奈川県まで東京湾を一時間もかからずに渡っていた。飛行機と合わせて探せば良さそうなところも見つかるかも知れない。いつか一緒に行けるかもしれない。


「いつか皆で飛行機や船にも乗りに出掛けられたらいいね。」


「行く!行く!!いつ行く!?いつ行ける!?」


「あああ、ごめん!行けるかわからない!行けるとしてもずっと先になっちゃうかも!」


 やっぱり無責任な質問になっちゃった。期待させるだけさせといて、わからないとしか言えないんだもん。


「……それ、いいのぅ。」


「えっ?」


「それいいのぅ!おぬしの事が一段落ついてからになるのじゃが、妾からも頼みたいのじゃ。出来れば、一泊か二泊くらいの予定を立てて、タマモに様々な物を見せて、体験させてやって欲しいのじゃ。いわば、タマモの修学旅行じゃの。里の幹部達にも相談してからになるのじゃが……何としても許可を勝ち取るのじゃ。タマモには得難い経験となると思うのじゃ。」


 タマモちゃんは幼い頃から……今よりもっと幼い頃から土地神をしている事もあり、あまり一般的な子どもの様な経験をしてこなかったのかもしれない。『土地神』という特殊で特別な経験はあっても、それだけじゃあまりにも偏った経験だろう。

 ん?いや、神域だとお出かけや社会科見学みたいなものは皆経験無いかもしれない。

 じゃあ、土地神として、人間社会を見ておくのも良い経験となる、ということかもしれない。

 まあ、理由なんてどうでもいいか。

 『私はタマモちゃんを愛でながら撫でながらはむはむしながら旅行したい。』

 これでいいのだ。あ、ごめん、はむはむはしない。しちゃいけない。


「もし、難色を示された場合、私も説得に参戦するよ!私に出来る事があったら言ってね。」


「クロも!クロも!!」


 私もなんとしてでもその旅行を勝ち取りたいので、いざとなったら説得に参戦すると表明。するとクロも春姫ちゃんの方へ身を乗り出し右手をはい!はい!と高く上げて参戦を表明。


「うむ、ありがとうの。ケイの元人間という事と、クロの護衛としての力はかなりのプラス材料となるじゃろうの。」


 護衛か。クロは舗装されていない急な坂を駆け下りてきたり、危なくないけど危なく見えるあの道から飛び降りると話していたし、身体能力が優れているのだと思っていたが、やはりこの神域基準でもすごいのかな。


「クロは巫女見習いじゃと聞いておるじゃろ?」


「うん。帰って来た日というか、出会った初日に自己紹介でそう言ってた、よね?」


 最後はクロに向かって確認。クロはコクリと頷いてくれた。


「クロはの、前衛能力は天才的での。警邏隊の総隊長に入隊を懇願されておるほどの逸材じゃ。クロ本人の希望が巫女じゃから入隊は断っておるがの。月に数度だけ組手の訓練に参加させられておるが、隊長クラスでないとクロの相手は務まらんくらいじゃ。」


「おお!クロはすごいね!!」


「えへへ……。でもクロは家で十分。訓練行きたくない。虎威電人いるし。」


 出た!トライデント!!クロにも嫌がられているのか……。


「クロの家は狼族でも特殊での、一子相伝の武術が伝わっておるのじゃ。家の中に武道場があって、クロは幼い頃から曽祖父と祖父と父から武術を叩き込まれておるんじゃ。一族期待の星なんじゃ。」


 一子相伝とか、超かっこイイんだけど!

 でも、そうか。イズナさんもそうだったけど、クロも幼い頃から頑張っていたんだなぁ……。

 それと比べて私の幼い頃は、何をしていたかな。いや、ナニはしてないよ?幼い頃の事だよ。


「じゃからの、クロの存在も大きなプラス材料となるのじゃ。」


 これは私にクロの説明をしてくれていたのだ。

 いや、クロが説得に参加しても……なんて思ってなかったからね!?

 クロがそこまですごい人物だとは思っていなかったけれどさ、他の参加予定者からの協力体制があるという事はそれだけでプラス材料だと思ったもの。

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