ここはタマモ専用の特等席じゃ
「クロ、もう抱きつかなくても良いんだよ?」
抱きついてて欲しい気持ちがないといえばウソになるが、私にはやはりイズナさんがいるというか、私はイズナさんに決めたから、これを喜んでばかりはいられないのだ。
「あのね、ケイは気持ち良いの。」
!?!?!?
さっきのアレか!?手が、クロの、あの部分に触ってしまったやつか?
いや、触ったんじゃない、当たっただけ。事故で当たってしまっただけなのだ。
謝るべきか?
謝るってどう謝るんだ?クロの大事な部分……いや、大事な部分って表現はどうなんだ?デリケートな部分って言った方がいいか?そこを触ってしまってごめんって?
……変態か!
もはや謝る方がセクハラじゃねぇか!!!
どうすれば良いんだよ!?
「それは妖精からの霊力を吸収しているんじゃの。」
あ、な〜るほど!あ〜なるあなる。
そうか、そうだよな!そうに決まってるよな!!
春姫ちゃんナイス。
春姫ちゃんはジト目でこちらを見てきている。私が全く違う事を考えてしまっていたのを読まれたのかもしれない。
そんな視線を受けられるのも、とても心地よいものです。
「そっか、実利があるわけだし……私が手助けして貰う見返りして差し出せるものではあるし、ダメとはちょっと言い辛いか。たぶん、皆そういうつもりはない事は解っているけれど、一方的に助けられるよりは良いのかも。どうしようか……。そういえば最初に会った日、良い匂いとか言われたけど、あれも妖精の霊力が心地よかったということかな。」
「そのへんの事はまずは妾がイズナと話し合ってみるわい。イズナも妖精の事は基礎知識として知っているはずじゃが、詳しくはないじゃろうしの。知識と意思の共有やすり合わせが必要じゃろう。」
「そっか。ならば、お願いします。」
ぺこり。
下手に私が参加すると、知識が足りな過ぎて一々質問したりで話しが進まなくなるか、ついていけなくて私は何しに来たの?状態になってしまうだろう。結局おまかせするのが一番早くなる。その一回で絶対の決定となるわけではないのだがら、そこに私の意見や実際に回してみての修正を加えていけばいいのだ。現場と上司が直結って素晴らしい。
それはそうと、私達はずっと立ちっぱなしで話している。……下ネタではない。私達だからね。タマモちゃんも春姫ちゃんもクロも女の子である。
「春姫ちゃん、座ってもいい?」
この家の主、の身体を使っている春姫ちゃんに確認をとる。
座ることでひとまずクロも離れてくれるだろう。
「そうじゃの、ずっと立ちっぱなしじゃったし、いい加減に座るとするかの。」
春姫ちゃんはそう言うと、チラッと私の下半身を見た。
そう、チラッとではあるが、『確実』に見た。
私は温かい目で春姫ちゃんを見る。ナカーマ。
あっ、春姫ちゃんが私の温かい視線に気付いた!春姫ちゃんは一瞬、ぐぬぬ……という顔をしたが、すぐに普段の顔に戻ってしまった。ふふふふふふ。
私は炬燵のさっき座っていた場所へ移動する。
クロはその隣の場所(すぐ横に座るんじゃなくて、90°曲がった場所というか、まあ隣)に座った。
ん?春姫ちゃんは座らないの?身振り手振りで座っとけ座っとけとされる。はい。奥へ行っちゃった。
言われた通り座って待っとこ。
すぐに春姫ちゃんは戻って来た。ケトルと急須を持って来た様だ。あ、お茶を飲むために持って来てくれたのか。でもクロの湯呑がないけど、クロはいいのかな。あ、そこの戸棚に置いてあるのか。
って、お茶を注ぐ事くらい私がした方が良かったりするのかな?気安く接してしまっているが、立場がものすごく上の人物である。神域企業的にも上司となるわけだし。でも客が手を出すというのもあれか。上司のお宅へお邪魔した経験がないからこのへんが全くわからん。
などと考えているうちに春姫ちゃんがお茶をついでくれた。いつも通りの私である。
「春姫様、ありがとう!」
クロはニコニコで春姫ちゃんにお礼を言う。私もそれに習おう。
「ありがとうございます。」
「うむうむ。」
春姫ちゃんはそう言うと私の胡座の上に座ってきた。安心してください。もう硬くはないのだ。半分くらいの勢いである。
春姫ちゃんは執拗に座る位置を調整してくる。わざとだ。これ絶対わざとだ。タマモちゃんの身体なんだから、そんな事しちゃダメでしょ!
私はそっと、しかしながらしっかりと、春姫ちゃんのお腹に左手を回して抱き寄せる。そして右手を尻尾に……危なっ!!!!!この尻尾は春姫ちゃんじゃなくてタマモちゃんの尻尾じゃんよ!触っちゃダメだよ。右手も春姫ちゃんのお腹に回して抱きしめる。いや、抱っこですね、抱っこですよ。
「あっ!良いな良いな〜!!」
クロは春姫ちゃんを羨ましがる。が、さすがにクロを抱っこして座るのは無理だよ?
「ここはタマモ専用の特等席じゃ。タマモももうすぐ起きるじゃろ。」
私はタマモちゃんの専用席。……良い!




