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チラチラと見てしまうんじゃ

 あぁ、いってしまった……。

 もちろんイズナさんが台所へ行ってしまったのである。私がイッてしまったわけではない。さすがに一撃必殺ではない。

 誰もそんな事聞いてねぇよ!という話だと解ってはいるのだが、股間に関わる沽券に関わる話なのだ。どうかご勘弁いただきたい。


「ありゃま!行ってしもうたのぅ。」


「……もう何を言っていいのかよくわからないよ。」


 イズナさんは何を思って去っていったのか。さすがに「ケイさんのエッチ〜!」みたいなノリではない事は分かる。

 ……やはり、気持ち悪がられたか。一応お付き合いしているとはいえ、いきなり抱きついた挙げ句こっそりおっ立てていたのだから。我ながらヤバい。

 後でまた話し合う必要があるだろう。お互いに、結婚するまで時間がある前提での話だったのだ。……いや?そういえば、妖精とか寿命の話をする前にOK貰ってたな。だったら……いいのか?あれ?まあ何にしろ話す必要はあるだろう。希望はある。


「ケイよ、重ねてすまなんじゃ。イズナが土地神を諦めなくて良いから朗報だと思ったのじゃが……。結婚先延ばしにするとは思ってなかったから、ちょっと、おかしな事になってしもたのじゃ……。妾も今日は失敗してばかりじゃ、浮かれてしまっている様じゃ。」


「あ、いえ、イズナさんが料理に戻って行ってしまったのは私の所為です。」


「……そうなのかの?何かあったのかの?」


「そうですね……ナニがあったのです……。」


「???」


 私がおっ立てていた事はバレてたが、さすがにイズナさんに触られてしまった事は気付かれていない様だ。

 そして春姫ちゃんがモジモジしだす。可愛い。


「……あとのぅ、先程のラスが乱入した時のも、妾の所為なんじゃ。おぬしたちの会話が聴こえてきたからの、おぬしが妖精である事を良い事にやりたい放題しているのかもしれぬ、などと言ってしもうたんじゃ。その後に、何て事は絶対無いじゃろうから安心するんじゃ、と続けたのじゃが、もうラスがいなかったのじゃ。」


「あ、春姫ちゃん、それ、クロのときも同じ事言ってたよね。」


「ラスよ、すまんかったのぅ。ケイは……ちょっぴり業の深い面もあるがの、基本的には悪人ではない。さっきのは冗談だったのじゃ……。」


 ちょっ!業の深いって……!?


「謝罪を受け入れます。私もお話の途中で抜け出してしまいましたし……。」


 ラスさんはあれだけの暴走をしてしまったのにもかかわらず、その原因たる春姫ちゃんを許した。

 私としては同士ラスをみいだせたのだから、それについてどうこう言うつもりはない。

 しかし業が深いとなぜ伝えたのだ。てか私の中にいるときから業が深いとか言ってたけど、それは何なのだ。


「ちょちょ、春姫ちゃん。その業が深いって何なのさ?」


「んん、あぁそうじゃの。ラスと、それからクロも、これからケイと関わることが多いだろうからの、聞いておいて欲しいのじゃ。ケイは人間じゃったじゃろ?人間は尻尾が無いし、神域の者たちと耳が違うじゃろ。じゃからの、耳と尻尾が非常に気になってしまう様じゃ。あ、気になると言っても悪感情ではなくて、触ってみたくなってしまっての、チラチラと見てしまうんじゃ。」


 ぐっはぁ!まさにその通りというか、ちょっとマイルドな感じに伝えてくれている。だが、その行為の意味を考えると、何と言うか、ねえ?


「すでにそれがどんな意味を持つのかは伝えておるのじゃが、もしもケイが、ラスやクロのものをチラチラ見てしまっても、あまり目くじらを立てないでやってくれんかの?」


 文化の違いを知り、理解しようと努めなけれだならないのは私なのだが、私が『知らない』または知っていても『慣れていない』という事を協力者に知っておいてもらえるのは、非常に助かる話ではある。切り出してくれた春姫ちゃんには感謝しなければ。

 あと、春姫ちゃん任せじゃなく、自分からも二人にお願いしなきゃ。


「あの、ラスさん、それからクロ。私はこれから霊力の扱い、それから神域の風習や文化なども学んでいくのですが、わからない点、至らない部分が多々出てくると思います。お二人に力を貸―――」


「いいよ!!!」


 クロが食い気味どころか、ガン食いで返事をくれた。満面の笑顔で快諾。嬉しい。ありがとう。


「して―――」


「私も良いですよ。」


 クロに続いてラスさんも承諾してくれた。ラスさんも私に言葉と被せた形だが、これはクロに合わせたのだろう。ラスさんはクロを見て、それからこちらを見て、苦笑いしている。ありがとう。

 私はまだ最後まで言い切れてなかったので頭を下げてすらいない。

 言葉の続きはもういいだろう。でも、頭は下げよう。ぺこり。


「ラスさん、クロ、ありがとう。どうぞよろしくお願いします。」


「先程ものぅ、ちょっとケイに探りを入れたくて、魅了の術をちらっとかけたんじゃが……耳をはむはむされてしもうたのじゃ。」


 ちょ!!!なぜ今それを言っちゃうの!?


「それは……、魅了の術をかけた春姫様が悪いのではないでしょうか。」


 おお!ラスさんは正論(だと思う)をしっかりと返してくれた。さすラス!

 しかし、何だか鼻息が荒くなり少々目が血走って見えるのは気の所為だろうか。あ、いや、うん、きっと気の所為だ。俺は同士ラスを信じるぜ!

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