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私、ご飯を作っている途中なので

 言い方ぁぁぁあああっ!!!

 ぶっ込んできた事よりも言い方!何だよヤリまくってもって!

 タマモちゃんのロリフェイスロリボディでそんな事言わないの!

 タマモちゃん、聴いてないよね?今の会話聴いてないよね?……聴いてない場合って、また眠らされちゃったということなのかな?それはそれで、私関連でさっきから眠らされてしまって可哀想だな。


 春姫ちゃんの言葉の内容としては、その、非常にドキドキしてしまうものであった。

 というか、今も絶賛抱きしめ中であるので、たぶん、私の鼓動がバックバクになっているのも聴かれてしまっている。さっきまではトゥンク、トゥンク、といったものだったはずなのに。


 一方春姫ちゃんは、言ってやたぞ!と大満足の笑顔。可愛い。

 春姫ちゃんはずっとこれを言いたかったんだな……。今まで言わなかったのも、全部この瞬間の為だったのか。

 だが、今はそんな事を考えている時間はない。


「春姫ちゃん、ずっとそれを言う機会を狙っていたの?」


 とりあえず発言する。今はどんな事でもいいからとにかく言葉を発する必要があったのだ。ハッスルハッスル。

 発言と同時に僅かに体制を変える。春姫ちゃんの方向へと気持ち身体を捻り、それをカモフラージュにして下半身を引く。これが重要である。今は最優先事項なのである。


 だってね、さっきまでは、イズナさんと恋人になれたけれど、そういった事をするつもりがなかったわけなので、抱きしめても、こう、純粋な幸せを感じていたのだ。ピュアなものだったのである。幼稚園児が、大好きな人と抱き合って、あははと笑い合う様な、そういったものに近かったのかもしれない。……まあ、そういった事をするつもりがなかったと言っても、耳と尻尾はもふりまくるつもりだったので、神域的にはエロエロなのだが。

 しかしながら春姫ちゃんの話を聞いてしまった為、なんと言うか……生々しく、そういう行為をする相手として認識してしまったのだ。その相手のことを今、抱きしめているのだ。一度そう思ってしまうと色々と変わってしまう。イズナさんから感じる体温も、温かい、ただそれだけでエロく感じてしまう。

 幼稚園児から思春期中学生へと一気に成長してしまった。いや成長か?まぁいいや、なんでも。


 だからと言って抱きしめるのを止めるという選択肢もとりたくない。

 そうするのが名残惜しいというのもあるが、今離してしまうと、恥ずかしくてイズナさんの顔が見れなくなる。どんな顔で向き合えば良いのか解らないのだ。今は抱きしめているので顔を見られる心配がない。ヘタれているのだ。だが抱きしめている。強気なヘタれなのだ。


「まあまあ、許すのじゃ。妾としても考えがあっての。しかしの……その動き、どうしたのじゃ?なんじゃか腰が引けておるのう。ん〜?」


 あっ!バレてるし!しかも春姫ちゃん、皆の前で堂々と指摘してきたし!なんてこった!!!

 イズナさんは一回だけビクっと動いた。ごめんね。

 クロは……なぜかその時私の後ろから私の事を抱きしめてきた。なんでだ?


 あっ!!!ビクン。


 その時、事件が起こった。

 イズナさんは私に抱きしめられてからずっと、自身の前で両手を組んでいたのだ。お互いに抱きしめ合う形ではなく、私が一方的に抱きしめていた形だ。イズナさんが私をガチ噛みしていた事を謝ろうとしていたタイミングで、私が突然行動に移したのでこういう形となったのである。そしてそのままだったのだ。イズナさんは私の背に手を回して来なかったが、照れや緊張の為である、はず。決して嫌だったとか気持ち悪がっていたわけではない、はず。

 そこへ、私の背中から抱きついてきたクロの手が、イズナさんの組んでいた手に当たったのだ。そこでイズナさんはようやく組んでいた手をほどいたのだろう。そして手のやり場に困ったイズナさんは少し手の力を抜いて位置を下げた。

 その下げた場所には、いたのだ。先住民というか、先住私が。先程までは全く目立たない一般人だったのだが、突如ゴリマッチョとして存在をアピールしはじめた先住私が。

 「遅刻遅刻〜!」と食パンをくわえて走っていたイズナさんが曲がり角を曲がった先に突っ立っていたのが先住ゴリマッチョ私である。

 そういう事である。どういう事だ。

 もう少し腰を引いていれば良かったのかもしれないが、あまり不自然な動きをするわけにはいかなかったのだ。


「すみません!私、ご飯を作っている途中なので失礼します!」


 イズナさんは私からするりと抜け出し、走って行ってしまった。

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