ひゃうんっ……!
私はイズナさんとお付き合いを始めたばかりなのである!
あ、いやいやいや、付き合った時間が長ければ他の女の子とも……とかそういう意味じゃないよ?
私はイズナさんという恋人がいるので、……ダメなんだよ、クロ。私はイズナさんに独り占めされたいのだ。
というか、クロに抱きついちゃダメと言っている時に硬くなってるとかラスさん乱入事件とかあったから、抱きつきについて何も解決しないまま今も続いているわけである。そう、今も弾力を感じているのだ。すごいのだ。
このままではいけない。クロは墓参りに行く途中で会った時も、失敗をしてしまったら私に嫌われてしまわないかと怖がっていたなぁ。
「クロ、あのね、くっつかなくても、大丈夫だよ。失敗したって大丈夫だよ。昨日会ったときに、一緒に失敗しようって話をしたよね。私は今日もう二回も失敗しちゃったよ。まだ解らない事や慣れてない事いっぱいなんだ。ついさっきも注意されたばかりだよ。」
イズナさんと手を繋ぐ時のやつと、ついさっきラスさんの狸耳を見ていたらイズナさんにバレたアレの事である。
「ケイはもう二回も失敗したの!?」
おおう。クロはビックリ!という表情で私を見上げてくる。その拍子にギュッと私の左腕を掴む力が強くなった。腕を……挟まれて、それをクロの両腕で押し潰すかのごとくガッチリ締め上げてくるのだ。すごいのだ。大変なのだ。いろいろと大変なのだ。
……しかし、良い食いつきである。
失敗はさっきの二回だけだと思うが、もっとあったらどうしよう。まぁ今はそれはいっか。
失敗内容についてはクロには伝えるわけにはいかない。特にラスさんの狸耳をガン見していた件。クロに「私はさっきエッチ(神域基準)な失敗しちゃったんだよ。」とは絶対に言えない。
「うん。だからね、クロも失敗しちゃっても大丈夫だよ。」
「そう、だった。ケイはそう言ってた。うん。」
お、何か納得してくれたっぽいかな?
クロは私の左腕をがっちり掴んでいたのを離してくれた。……だがしかし!私の腕を離して、また私の両腕ごと胴体をがっちりホールドしてきた!なんでだ!?
そして一瞬私の顔の方へ向いたが、すぐに左肩をガブと噛んできた。つい、ビクッとして全身に力が入ってしまったが……痛くはない。甘咬みってやつだろうか。
「ひゃうんっ……!」
変な声を出したのはクロである。
変な声を聴き、私の思考は急激に加速し始める。キュイーン。
あっ!!!……そういう事か。ヤバいやつだ、これヤバいやつだ。やってもたやつだ。
私の左腕は、クロの正中線上に位置している。
先程までは私の左腕と胴体の間にはクロの腕がガッチリと回されていたが、今は両腕ごと胴体を抱き締められているため、私の左腕と胴体はぴっちりくっついているのだ。その分、リーチが伸びたというか、位置としてより下方へと手が届いている。
そして、クロに噛まれた拍子にビックリして手を握ってグーにしてしまった。つまりビックリした前後で、指を伸ばした状態から握りこぶしの状態へ、数cmではあるがクロ方向へと私の出っ張りが生じたのである。殴るときに使う部分というか、第三関節というのだろうか、あの硬い部分である。そこが、クロにゴツッと……いやもしかしたらグリッと当たってしまったのではないだろうか。
それで何が起こったかというと、アレだ、今日ここへ来た時に起こった、タマモちゃんによる股間襲撃事件の男女逆版を私がクロへとしてしまった様な感じである。攻撃力、というか殺傷性は大きく違うが、事件は再び起こってしまったのだ。そして事件性としてはこちらの方が圧倒的に大きいのではないだろうか。
断じて故意ではない。断じて故意ではない。断じて故意ではない。重要な事過ぎて三回繰り返しました。
ちなみに、私とクロでは身長差があるが、その差のほとんどが座高の差である。
この間0.1秒。
ど、ど、ど、どうしよう……!
クロはちょっと戸惑った様な表情となったが、それも一瞬の事。それからガブガブガブガブと甘咬みしてきた。
こ、こ、これもどうしよう!?どういう事なんだろうか。クロは今どういう感情なんだろうか。
ね、ねぇ!?誰か助けて!と周りを見る。いや、クロに攻撃されているとは思っていないのだが、状況が解らないのでヒドく混乱しているのだ。へるぷみー。
春姫ちゃんは……何かを言いたいのだけど、それを我慢して黙っているような、そんな感じである。
ラスさんは……何か、興奮した様な顔をしている。
そしてイズナさんは……




