表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/259

い、あ、あ……ごっ……

 違うのですイズナさん!


「違います、違います!」


 私は慌ててイズナさんへ弁明をする。

 そういえばここへ来る時は手を繋いでいたが、自分の霊力を自覚出来る様になってからはまだイズナさんと身体の物理的接触をしていない。あ、意味深な感じじゃなくて、まだ手を触れてすらいないという事です。

 霊力を自覚出来る様になった切っ掛けが切っ掛けだけに、少し伝えづらいところがあるが、そんな事気にしていては大変な事態になりかねない。

 クロは私が慌てだしたのを、どうしたんだろう?という様な表情で見てきている。今はちょっとごめんね。


「カッチカチになったんです!触ってみて下さい!」


 イズナさんに手を差し出し、触ってみて、身体強化出来る様になっている事を確かめてみて!と必死に伝える。

 ……って、あれ?イズナさんはキョトンとした顔をしている。

 あっ、変な勘違いはしなかったらしい。良かった。勘違いどころか、私が何を慌てているのかもピンと来ていない様子。本当に良かった。

 よくわかっていない様子だけれど、差し出した私の手を両手でにぎにぎしてくれた。そして、「あっ!」と身体強化のカッチカチに気付いてくれた様だ。


「本当ですね、カッチカチです。ふふっ。」


 私の手を握って、笑顔を見せてくれるイズナさん、最高すぎる。好きだ!!!

 クロはうんうんと頷いている。

 私の魂が飛んでいくか留まるのかどうかのせめぎ合いを繰り広げていると、そこへ誰かがトトトッと静かに急ぎ足でやって来た。


「ナニをしているんですかっ!!!!!」


 ラスさんだった。まさかのラスさん激おこ乱入である。


「クロに抱きつかせてカチカチにしてっ!さらにはその、硬くなったものを!モノを!!違う違うと言いながらイズナにも触らせて喜んでいるなんてっ!!!」


 はわわわわわわ……おっさんのはわわに需要なし。

 てぇへんだてぇへんだ!!このまま勘違いされたままなら変態扱いされて大変どころか底辺だ!……ちょっとくらいならそれもありか?いや、ちょっとで終わらないだろうから大変なのだ。


 イズナさんに勘違いされずにすんで助かった、良かった良かったと思ってたら……ラスさんに勘違いされてしまった。まさかの展開である。

 だが私は何と言葉を発すればいいのか解らずにいる。とっさに言葉が出てこない。

 助けて、クロ!

 クロは首を傾げている。クロはラスさんが何の事を言っているのか解っていない様だ。

 イズナさん!

 イズナさんも首を傾げている。イズナさんもよく解っていない様だ。

 やはり自力解決しかないか。何か、何か言わねば……!

 いや、でも、この状況を見てもらえば、変な状況ではない事は解ってもらえるはずである。誤解は解けるはずである。今もクロに抱きつかれているのは間違いないのだが、抱きつか『せて』いるわけではないのも解ってもらえるはずである。はず、はず、はず。

 私は目でラスさんに訴えかける。違うんです!違うんです!


 するとラスさんもようやく今の状況を理解しだした様だ。自分が勘違いをしてしまったという事を。

 そう。

 つまり。

 詳しく言うならば。

 自分が『エッチな』勘違いをしてしまっていた事を。


「い、あ、あ……ごっ……」


 理解と同時にどんどん真っ赤になっていくラスさん。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃっっっ!!!」


 ぺこり、ぺこりと何度も何度も私に頭を下げるラスさん。腰を100°くらい曲げて頭を下げてくる。

 恥ずかしがりながらも、何度も謝る美少女。そして揺れる狸耳。腰を深く曲げた時に見える狸尻尾。はぁ、良いものですね。大変素晴らしい。

 って、いやいやいやいや、いつまでも謝らせておくものではない。

 確かにヒドい勘違いではあった。ヒド過ぎる勘違いであった。だが、私自身もイズナさんに必要のない弁明までしてしまったのだ。ラスさんは私の同類と言ってもいいかもしれない。いや、もはや同士と言っていいだろう。……ないな。いくらなんでも可哀想である。ラスさんごめん。


「ラスさんラスさん、大丈夫です、大丈夫ですから!」


 大丈夫です。解っておりますよ。

 どうしてもラスさんを見る目が温かい目となってしまう、たぶん。決しておっさんのいかがわしい視線ではない、たぶん。


「あっ!そういぅ……。」


 イズナさんが突然声を出し、そして尻すぼみな感じで声が小さくなってしまった。

 チラっとそちらを見ると、ビクっとして目をそらされてしまった。その可愛いお顔はちょっぴり赤く、恥ずかしさを我慢している様な表情だ。

 もしかしたら、今になって、さっき私が違うと弁明した事やラスさんが何を勘違いしたかについて気がついたのかもしれない。

 その表情をずっと眺めていたいのだが、今はラスさんだ。


「ラスさん!解って貰えればそれで十分ですから!その、友達を心配しての行動なのですから、それ自体は素晴らしい行動です。私は良いですから、そんなに謝らないで下さい!」


 同士なんですから(違う)。

 クロはまだキョトンという表情。解ってないの、癒される。ただ、まだ当たっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ