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妖精じゃろうが

「……どうしてじゃ?」


 自信がない。

 覚悟がない。

 もしも、イズナさんが夢を諦めてまで私と一緒になってくれても、諦めさせてしまった夢以上の幸せを彼女に贈るなんて自信は、私には無い。むしろ逆に無理だという自信すらある。


「結婚しての幸せは、一方が一方に与えるのではなく、一緒に築き上げるものではないかえ?」


 !!!

 た、確かに……!


「いや、まぁ、妾は結婚したことないから解らぬがの……。」


 それは私も同じく。でも、その考えすごく良い!

 ……まぁ、それでも私は、『一緒に』と言えるほど何かの役には立たないだろうけれど。

 それに、神域の人は数百年とか生きたりするんだよね?


「それは霊力次第じゃ。高い霊力の持ち主は確かに数百年は生きるのぅ。」


 私は人間だからかなり早く寿命がきてしまう。

 イズナさんは夢を諦めて私と一緒になってくれても、私がいなくなってからの人生の方が遥かに長いんだ。

 というか、寿命問題どころか、私はすぐに老いておじいちゃんになってしまう。介護してもらうばかりになってしまうやも……。


「いや、おぬしは人間じゃなくて妖精じゃろうが。」


 !?

 そ、そうだったーーー!!!

 ……もしかして、私も長寿だったりするって事?


「そうじゃの。霊力だけでみても最低でも数千年くらい生きそうじゃし、さらに妖精というまだよく解っておらぬ存在だという事を考えれば、寿命という概念があるかどうかも怪しい。半永久的に生きる可能性すらあるのじゃ。過去に存在した妖精はおぬしほどの霊力が無かったはずじゃが数百年は生きたはずじゃ。」


 マジか……!

 じゃあ、寿命的に大きな負担になる事はないのか……。

 ……ちなみに、その過去にいた妖精は、最後は寿命で亡くなったの?


「それが何も伝わってきておらぬでの、解らんのじゃ。もしかしたら……いや、今はまだ言えぬの。まあ、今までは妖精を特に気にかけた事は無かったからの、きちんと調べれば何か情報はあるかもしれんの。」


 何その気になる言い方!

 誘ってるの?ねぇ!誘ってるの!?


「んっ……、やめ、い……!いきなり、尻尾を、わしゃわしゃす……るで、ないっ……!」


 あっ、ごめん!!


「……まったくおぬしというやつは、この短時間で尻尾モフり熟練度を爆上げしおってからに!」


 本当にごめん!完全に無意識だった!手を動かしている自覚は全くなかったんだ。


「なおさら恐ろしいわい……。それでじゃ、今言えないのは、神域には神域の極秘事項があるのじゃ。じきにおぬしにも話す時が来るかと思うのじゃが、今はまず神域の一般的な事を学ぶのが先決じゃろう。」


 な、なるほど……。気になるけれど、極秘事項ならば私には知る権利はないですね。

 気になるけど。

 気になるけど。

 気になるけれど。


「妖精についてじゃが、今しばらくは新たな情報の入手は難しいのじゃ。この里には妖精に関する文献はないからの、調べるなら里の外へと人を遣らなければならぬじゃろう。そうなればその動きはどうしても他者へと漏れてしまう。それで直接『妖精の事を調べている→妖精が現れたというのか!?』なんて事にはならぬじゃろうが、そういった小さな積み重ねから、どこで誰に勘付かれるやもしれぬからの。」


 そっかぁ。確かに、偶然が一つ二つ重なるならあり得る話だろうけれど、その偶然がいくつも重なっていったら……。その重なり合った中心にはおっさんがいる。猫猫も武官にそんな感じの内容の話をしていた気がする。

 それに、いろいろ知りたいと思うのは、完全に私個人の都合だもんね。


「いやいや、おぬしの存在は里にとっても非常に有益なのじゃ。本来なら里をあげておぬしの支援をしたいくらいなんじゃ。じゃが、安全のためにしばらくの間辛抱してほしいのじゃ。」


 いやいやいやいや!私が妖精だと判明する前からこうやって私の為に時間を割いてくれて、いろいろ教えてくれているんだもん。感謝しています。百万のありがとうを送りたいよ。


「いやいやいやいやいやいや!おぬしは……ってキリがなくなりそうじゃの。ならば、まあ、お互いに持ちつ持たれつという事で、話を進めようぞ。」


 うん。私の場合、今のところ、妖精として存在している事で霊力放出している事くらいしかできないわけだけど……わかったよ。


「それで、結婚が無理じゃと思う理由についてはまだ何かあるのかの?」


 ……うん。たぶんさっき言った、イズナさんを幸せに出来ないって話は、覚悟の問題もあると思うんだよね。簡単に言うと、私はプロポーズを『していない』んだ。プロポーズってすごく重要なもので、覚悟の塊なんだなぁって、プロポーズしていないのに実感しちゃったよ。


「ではプロポーズし直してしまえば良かろう。」


 っっっ!!!

 その発想は無かった!


「重く考え過ぎじゃなかろうかの?もちろん軽く考えろと言うつもりはないのじゃが、時にはノリと勢いでガツンといく事も必要じゃ。」


 えぇっ!

 そ、それは、ちょっと……。

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