う、うむ、そうか、そうか……
良かった。
突然霊力に目覚めて、何がなんだかわからない事だらけ……などと考えながらも、私は結局内心ワクワクして浮かれていたのだろうと思う。
家族に危険が及ぶ可能性など、全く思い浮かばなかった。
「それは仕方ないじゃろ。おぬしが妖精ではなく、ただの巨大な霊力の持ち主というだけならば、恨みでも買っておらねば家族が狙われるなんて事態は起こりにくいのじゃ。霊力の無い者への霊的攻撃はかなりの重罪であり、国や敵対組織の人間だけでなく、我ら神域の者とも敵対することになるでの。」
え!?
それじゃ……!
「いや、妖精を手に入れる為ともなると、それでも犯行に及ぶ可能性が十分にある。」
そっか……。
「妖精になってしまった事、残念に思うかの……?」
いや、そんな事はないよ。
……そりゃあさ、怖い事も家族への害の可能性も、嫌なことは何も無いに越したことはないけどね。そんなどうしようもない事を嘆くよりも、春姫ちゃん本体とここでこうして出会えた事が嬉しいよ。
「う、うむ、そうか、そうか……くふふっ。」
心も読んで貰えるしね!!
「なんでおぬしが、先に言ってやったぞ!とか考えとるんじゃ!!」
ありがとうございます。
すぐに反応してくれるの嬉しい。
そうそうそう、家族と聞いて思い出したんだけど、私が実家で暮らしていて、家族が私の影響で霊力が目覚めるといった事態が起こる事ってあるのかな?……あ!しかもそうなった場合『霊力が無い者』に当てはまらなくなるから、私の家族に手を出しやすくなってしまう?
「あぁ、なるほど。言い忘れておったが、今まで話していた霊力の器についての話は、霊力に『目覚めている器』の事じゃ。『目覚めておらぬ器』は基本的に霊力を排出も吸収もせぬのじゃ。じゃから、おぬしが家にいるからといって、家族が霊力に目覚めてしまう、という事態にはならぬのじゃ。現在おぬしの家族を含め、この近辺において霊力に目覚める可能性のある器の持ち主はおらぬ。おぬしの存在の報告を受けて土地神の力を用いて調べたから間違いないのじゃ。ちなみに、目覚めておらぬ器は加齢と共に成長していくのじゃ。あと、霊力があろうとなかろうと、犯罪行為は当然犯罪じゃぞ。」
そっか、それならば良かった。
「結局は妖精の存在がバレてしまった時、その組織がどれだけ『妖精を欲する』のかと『我らと敵対する』のを天秤にかけ、どう動くかじゃな。もしも何かの切っ掛けでおぬしの家族が霊力に目覚めたとしてもそれは変わらぬ。もちろんどんな場合でも我らはおぬしの家族を護るから、安心するが良い。」
キュン。
ありがとうございます。
私自身も何かあった時に対処出来る様にしなければ。
「そっちも任せるのじゃ。いや、ボンテージ姿の妾を想像する様な事を言わなくても良……するでない!!!」
そんな事言うから想像しちゃったんじゃないか!
まったく!春姫ちゃんはホントにまったく!
「ぐむむ……今のは妾から振ってしまったのは確かにそうじゃが、なんか納得したくないのじゃ……。」
ごめんなさい、言い過ぎました。
まったく、春姫ちゃんは最高だぜ!!というのが正しいです。異論は認めない。
「お、おう。見た目的にも小学生というわけでもないのじゃが、照れるのじゃ。」
それでその、相談なのですが……。
「なんじゃ?バスケットボールはやったことないぞ?」
いや、さっき家族は霊力に目覚めるという事はなさそうだというのは聞いたけど……、私が霊力に目覚めた事は家族に伝えても良かったりするのかな?
それを家族が信じる信じないは別として、私としてはただ隠し続けるよりも気が楽になるかなって思って。いわば、まあ、「俺は言ったぞ?ちゃんと言ったからな?」という、言い訳というか、責任逃れの様なものかもしれないけれど……。もしも信じてくれたならば、いつか何かの力になれるかもしれないし。
「う〜む……。」
やっぱり、ダメかな……?
「いや、ダメという事はないのじゃ。そういった事については特に決まりはない。我ら神域の側にも、人間側にも。家族や親しい者に伝えるかどうかは霊力を持つ本人が決める事じゃ。じゃが……。」
霊力というものを『知っている』という事が危険になったりする……?
「霊力を持っている事がバレただけでは特に大事にはならんじゃろう……通常は。じゃが、おぬしは妖精じゃ。ほんの僅かなものだとしても、妖精へと繋がる可能性は排除したいのじゃ。今のおぬしは存在がバレるだけでも大事になるのじゃ。例え、家族に伝えるのが霊力の事だけだとしても、そしてその事を絶対に秘密にしてくれと伝えたとしても、家族もそれを守ろうとしてくれたとしても……、ふとした瞬間に、例えば心霊関係のテレビ番組を見て独り言で言ってしまうかもしれない。家族しかいないからとポロッと漏らしてしまうかもしれない。他の困っている人がいたら助ける為に伝えてしまうかもしれない。おぬしの家族は霊力がないから『視る』ことができぬ。その時、もしかしたら近くに他の神域の者がいるかもしれない。人間の組織の式神がいるかもしれない。霊力がある人間、特に一定以上の強い霊力を持つ人間は珍しいからの、業界ではある程度知れ渡っておる。そこに未だ世間に知られていない強力な霊力を持つ人間が現れたと知られたならば、接触を試みてくる可能性は高い。そうなればいつ『妖精』であることが露見してしまうかわからぬ。」
……確かに、無いとは言い切れない。いや、あり得ると納得できるものだ。
たぶん、春姫ちゃんは私に気を使ってくれて言わなかったのだろうけれど、家族が霊力の事を100%信じてくれるとは思えない。家族から私への信用度……は置いといて、見えないものを信じてくれと言われて、はいそうですねと信じるのは難しい。
普段のオタク会話も相まって、最初は確実にふざけているのだろうなと思われてしまう。絶対に。断言する。
真剣に説明し続けたとしても、とくに姉なんかには「いつまで続けんだよそのネタ?」と思われてしまうだろう。父は「うーん、そうかそうか。」と右耳から入ってそのまま左耳から出ていく感じとなるだろう。母と妹は、もしかしたら本当にそうなのか?くらいには思ってくれる可能性もあるが、あくまでも『もしかしたら』だ。
私が怒ろうが泣こうが、100%信じられる事はないだろう。この場合、私が『霊力』を信じてくれないから激高しているのではなく、『私』を信じてくれないから激高しているのだと受け取られるだろう。子供扱いすんなよ!?と言いたくなる事態だが、この場合霊力という単語を出す事こそが子供扱いの原因となってしまうのだ。




