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神域に名字は存在せぬ

「どの娘も可愛いしのぅ?」


 ぐふっ、それは……、うん、可愛い。

 そこは否定できない絶対的な事実であるけれども……。


「では、起きた後にラスとクロを呼び出すとするのじゃ。まずはそれとなく話を振ってみるからの、おぬしは別室に控えていてくれんかの?色よい返事が期待出来そうなら、そのまま夕餉に招待するからそこで妖精の事を伝えればよかろうの。伝えるのは自分の口で伝えたいじゃろ?」


 うん。そうだね。自分で伝えたい。

 場を設けて下さり、ありがとうございます。


「うむ。あとは、先程伝えたが、おぬしとおぬしの家族には護衛をつけたいと思っておる。その為に里の幹部連中にはおぬしが妖精じゃと明かさねばならん。妾はあくまでも土地神の代理を引き受けているだけで、本来は里の運営に関与出来ないのじゃ。秘密裏に人を動かす事はできん。」


 はい。構いません。

 と言うよりも、むしろ、どうかよろしくお願いいたします。

 ……あ。その、幹部の中にはトライさん?の一族は入っているのかな?初対面であれほど睨まれたのは初めてなので、事情も分からないし、その、妖精の事がバレたらどうなるのかな、と……。


「あぁ、虎威電人(とらいでんと)じゃな。やつの一族の長は警邏隊の幹部ではあるが、里の運営には直接関わってはおらぬ。今回おぬしの事を打ち明けることになる里の運営幹部はそれぞれの部門の長とその補佐だけじゃ。あとは神使であるイズナじゃな。皆それぞれの立場はあるが、タマモの名で命令すれば絶対に逆らわぬ。そして護衛につくことになるのは直属の部隊じゃからそちらも安心するがよい。……ちなみに虎威電人は、虎威が名字ではなくての、『虎威電人』で名前じゃ。神域に名字は存在せぬ。虎威さん家の電人くんではなく虎族の虎威電人じゃ。」


 ありがとうございます。

 それから、トライデントさん、ですね。今後絡まれる可能性がありそうなので、覚えておきます。


「あの馬鹿者に『さん』付けは不要じゃろ。」


 ……まぁ、確かに、いきなり睨んで来た相手をさん付けしなくてもいいか。


「あぁ、その、じゃな。虎威電人がおぬしを殺意の籠もった目で睨んでおったのはじゃな、やつ個人の問題じゃろうから、やつの一族がおぬしに攻撃してくる事はないじゃろう。そしておぬしはタマモの股間襲撃事件によりすでに自身の霊力を感じ取れる様になっておる。あの馬鹿者の攻撃手段は単純暴力だけじゃ。もうおぬしをどうこうする事はできまい。」


 あぁ、そういえば、イズナさんが“自分の霊力を実感できる様になったら、あとは呼吸する様なもの”みたいな事を言っていたよね。そうか、私もうカッチカチやでカッチカチになっていたんだ。


「とりあえずは、今できる対策はこんなもんかの。妾たち、里側も妖精対応マニュアルは無いからの、手探り状態じゃが、出来る限りの事はするのじゃ。」


 ありがとうございます。心からの感謝を申し上げます。


「む……。」


 ???

 どうしたんですか?


「むむむ……。一度決まった後に言うのも何じゃが……。」


 はい。


「いや、あのじゃな、別に隠したわけじゃなくてじゃな、ちゃんとおぬしの意に沿うように気を配ったつもりじゃぞ!?」


 はい。

 春姫ちゃんが私の事を真剣に考えてくれている事は、心が読めなくてもちゃんと感じています。

 本当にありがたいと思っております。


「……おぬしからの感謝が真っ直ぐ過ぎての、おぬしが選べるはずの選択肢をきちんと伝えておらぬのは、居たたまれなくなったのじゃ。」


 は、はぁ……。良く解らないけれど、本来自分で考えなければならない事を、親身になって考えてくれているのだから、感謝しかないよ。

 それにきっと、春姫ちゃんがその時に言わなかったと言う事は、その選択肢を提示されていたとしても、私が選ぶことのない選択肢だったのだろうと思う。私が選ぶ可能性を持つ選択肢ならば、きっと伝えてくれていたでしょ?


「まぁ確かに、その通り、なのじゃが……。」


 じゃあ全く問題ないよ。


「む、むむ、む……。信頼が強過ぎるのじゃ……。ぬぅ!はぁ!ふぅ!もう耐えきれん!」


 耐えなくてもいいよ!耐えるくらいなら教えてよ!

 って言っても、その選択肢ってさっき言ってた、国のそういった機関やその他の組織を頼るって事じゃないの?大変な事になる可能性もあるけれど、そこまでの事にならない可能性もあるわけだし。


「まあ、そうなのじゃが、最初に『契約』の術を用いて、自分と相手の魂に約束事をしっかり刻み込むなどの手段もあるのじゃ。場合によっては契約条件に縛られて行動に融通が効かなくなる場面も起こりうるが、やり用はあるのじゃ。」


 何かすごそうな術だけど、素人がプロと契約しても、専門用語出されたら解らないし、相手の方に抜け道とかあったりしたら怖いなぁ……。


「その場合は妾も立ち会うのじゃ。」


 ありがとう。でも、結局そこで春姫ちゃんを頼るならば、どこか別の所ではなく、信頼する春姫ちゃんとこの里にお世話になりたい。

 この地は私の故郷だし。

 最初は手間をかけさせてしまうけれども、いずれ貢献出来る様になってお返しをしていきたい。

 どうか、よろしくお願いいたします。


「う、うむ。ま、任せろなのじゃ。」

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