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あぁもう!

「それでじゃの、霊力に目覚めるのを拒否しているはずのおぬしの器が、何故霊力に目覚めたかじゃ。」


 はい。ついに核心へ迫る!


「ファイアーボールじゃ。」


 ……へ?


「最初にも言った、海でファイアーボールを撃とうとしておったアレじゃ。しかもかなりの真剣にやっておったじゃろう?」


 は、はい。その、通報されない様に、周りを気にしながらですが。


「それじゃ!おぬしの場合それが良かったと思うのじゃ。」


 どういう事?


「おぬしは元々、魔法や霊力などの神秘を信じとらんかったじゃろ?」


 直に見た事無かったですからね。見た事無いものを心から信じる事は、私には難しいかな。

 ただ、見た事無いからこその、期待や憧れの様なものはあった様に思う。


「神社への参拝を真面目にしておったのは、それらの表れかの?」


 う〜ん、それもあるかもだけど、文化とか風習とかそういうのかな。いや、それが入口かな?

 神様がいると信じているから願いや誓いをするんじゃなくて、願いや誓う対象として神様がいたら都合が良い、という感じかも。その時だけ神様がいると仮定している、みたいな。

 バチ当たりだね。申し訳ないです。


「良い良い、見えないのじゃからそんなもんじゃ。それでじゃな、もしおぬしがファイアーボールだけに集中しようとしていたら、逆にもっと雑念が生まれていたんじゃないかと思うのじゃ。なんでこんな事をしているんじゃろう、とかの。」 


 ……確かに!!!


「ファイアーボール以外に『周りを気にする』という事をしたからこそ、その他の事を考えている余裕がなかったと思うのじゃ。」


 私の事を深く理解してくれている。嬉しい。鷹山慶わかりて選手権優勝間違いなしです。


「記憶全部見てるからの。チートじゃチート。まあそれが結果的に深い集中へと繋がったのじゃ。おぬしの精神のリソースの7割ほどをファイアーボールに、周囲警戒に残り3割ほどじゃな。それをほぼ損失無く実行できているのじゃ。」


 えっと、それは、つまり、私はもうすぐファイアーボールが使えていたって事?


「ふふふっ、そんなわけなかろう。霊力を他のエネルギーに変換して体外に射出するには、きちんと霊力の使い方を習わないとの。」


 そ、そうだよね。ちょっとドキっとしちゃった。……習えばファイアーボール使える様になるのかな?


「似たようなものなら可能性はあるの。おぬしのセンスと努力次第じゃな。」


 お、おおっ!!!可能性があるのか!


「その気があるなら、そのうち手取り足取り教えてやるぞ?」


 やった!!!是非お願いします!うひょーっ!!


「おぬしに教えるのは妾も楽しみじゃ。話を戻すのじゃが、おぬしが深い集中でファイアーボールしていた事はじゃな、あれは霊力に目覚めていたならば霊力を動かし放出するという事までならば出来ていたはずじゃ。」


 おお!風丸の霊気砲みたいな感じかな!?


「いきなりそこまではできんだろうの。カタツムリくらいのゆっくりとした速度で霊力を動かして、掌の水分が蒸発しているかの様なレベルでの放出じゃろうて。」


 ……まぁ、初めてだとそんなものなのかな。いや、その時はまだ霊力に目覚めてすらなかったわけだけど。


「これから精進していけば良いのじゃ。」


 ご指導ご鞭撻のほどを――――


「なんでそこで妾がおぬしを鞭で叩く姿を妄想するのじゃ!妾にそんな趣味はないぞ!!」


 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!

 ご指導頂きたい気持ちは本当なのです!変な事が思い浮かんでしまって大変申し訳ございません。


「あぁもう!あまりの衝撃映像に、どこまで話していたのか忘れてたしもうたのじゃ!!まさか妾のボンテージ姿を妄想されるとは思ってもみなかったのじゃ……。」


 圧倒的に目上の御方に教えを乞おうという立場なのに、不謹慎極まりない妄想が飛び出てしまった。

 これは膝をついて誠心誠意謝らなければ。


「そこまでせずとも良い。おぬしが巫山戯ているわけではない事は解っておるのじゃ。ただ、おぬしの妄想の内容が内容だけについ反応してしもうた。許すのじゃ。」


 いえいえいえいえ!私の妄想こそが諸悪の根源なのですから、許すも何も、春姫様は何も悪くなんてございません。


「……様は止めるのじゃ。……おぬしからはちゃんで呼ばれたいのじゃ。」


 春姫ちゃん。


「うむ。それで良いのじゃ。」


 ぐうかわ。


「それで、どこまで話したんじゃったかの……。」


 ええと、たしか、もしも私が霊力に目覚めていたならば、動かせたり放出したりできていた、というところかな。


「うむ、そこらじゃったの。それが何になったかと言うとじゃの、ガッチガチに閉じ籠もっていた器の内側から霊力が溢れ出そうとしたんじゃ。おぬしの器は外側からの刺激には非常に強固じゃが、内側から暴れられたら中々に大変じゃった様じゃ。何とか目覚めずに耐え切ったのじゃが、かなりギリギリじゃったの。」


 じゃあ、あのまま更にファイアーボールしてたらその時に目覚めていた?


「それはそれで危険じゃな。霊力の器は見えなくともおぬしの一部じゃ。器に異常がある時は身体にも多大な負担がかかっているのじゃ。キノコ事件の時苦しんだみたいにの。ファイアーボールの時点で霊力に目覚めていたら、おぬしの身体がぶっ壊れてしまっていた可能性があるのじゃ。現に、霊力に目覚めなていなくとも寝込むほどの影響を受けたじゃろ?あれ、実はかなりヤバかったのじゃぞ。」


 えっ!……医者に行くべきだった?


「いや、医者じゃどうにもできんから、あの時は結局寝てるしかなかったのじゃ。じゃが、もしもあの時おぬしが更に魔法を使おうとしておったら、器が身体諸共弾けていたやもしれぬ。また、外部からの刺激も悪霊の呪いならばあの時のおぬしの器では抗えず霊力に目覚めていたじゃろう。そしてパクっといかれた上に悪霊を超強化、歴史上稀に見る大妖の爆誕じゃ。」

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