うおっ、冷てぇ〜〜〜っ!!
その後、我が家と関わりのある家(本家とかそういうとこ)にもお参り。そちらの掃除はかなり簡単に。目立つとこだけ、みたいな感じ。なのでパパっと終わる。
それからまた自分家の墓の前へ戻り、ロウソクと線香を回収。火事になったら大変だもんね。
「墓参りに付き合ってくれてありがとう。」
一緒に来てくれた妹に感謝を伝える。
「いいよいいよ。お盆は旦那の家に行ったからこっちのお墓参りしなかったからね。その後一人でここも来たんだけど、一人だったから掃除も線香もしなかったしさ。今回は調度いい機会だったよ。」
さて、帰ろうか、どうしようか。
枯れ葉や枝を拾っていたので手は結構汚れているのだが、きちんと管理された墓地でもないここには水道がない。
少し上に進んだ所にもう使っていない我が家の田んぼがあり、田んぼなので当然水が必要で、山の湧き水を使用していた。
家に帰るだけなので手が汚れていようがどうってことないのだが、せっかくここへ来たのだし、ついでにそこへ行って手を洗ってこようかな。
「ちょっと田んぼの方まで手を洗いに行ってくるよ。あの湧き水のとこ。かなり久しぶりだし。」
「おっ、いいね!私も行くわ。」
妹も来てくれる様だ。妹は山菜採りによくこの山に来るみたいだが、田んぼ(跡地)はスルーしていたのだそうだ。なので妹も田んぼ(跡地)久しぶりなのだとか。
賢者と狂戦士のパーティの新たな目的地を設定し、さあ出発だ!
そしてもう着いた。すぐ近くなのだ。距離としては100mくらいかもしれない。上り坂なのでゆっくり歩くから数分かかってしまうが。
「いつも気にしてなかったけど、まじまじ見ると結構荒れてんね。もう二十五年使ってないもんなぁ……。でも母ちゃんがたまに来てなんかしてたからこんなもんで済んでるみたい。」
「そうなのか。」
妹の言葉にそうなのかとしか反応できない。あまりに見事な桜が咲いているのだ。妹には視えないのが非常にもったいない。綺麗だなぁ……。
「ん?ああ、ポーポ?今年のはもう食べちゃったよ。」
「そっかぁ、ちょっと残念だ。来年に期待するよ。」
我が家の田んぼ(跡地)から数段高くなった場所に、ちょっと平らになった部分がある。そこの山際から湧き水が湧き出てきている。そしてそのすぐ近くは一本の木が生えており、それがポーポの木(ポポだったり、ポポーだったり正確な名前はイマイチよくわからない。我が家ではポーポと読んでいる)なのだ。なんだかトロピカル感があるような味がする。
そして、そのポーポの木の隣、というか少し離れた場所に巨大な桜の木がそびえ立っているのだ。
これほどデカい桜の木は初めて見た。世界樹と名付けてしまいたい。いやそこまでデカくはないだろうけどさ。
高さは何mくらいなのだろうか?長さは目測だとイマイチわからない。部屋の天井とかそのくらいならばなんとなくわかるが、体育館の天井くらいの高さになればもうわからない。ましてやこの桜の木はそれを遥かに凌駕する高さなのだ。……三平方の定理だか何だかを使ってみるか。1:1:√2とか1:2:√3とかのあれ。
「どうしたの?何かいた?」
「あぁ、いや、天気良くて心地良いなぁと思ってぼぅっとしてた。」
桜の木の高さを測ろうとする行動は、視えない妹からしたら不審すぎる行動だろう。今はいいか。手を洗いに行こう。
「うおっ、冷てぇ〜〜〜っ!!」
「……本当だ、冷てっ!」
妹は冷てぇと言いつつも楽しそうだ。妹は軍手をしていたため手はさほど汚れてはいないはずなのだが、バシャバシャとしてみたり両手で湧き水を掬ってみたりと、冷たい水にずっと手を浸けている。
私はバババッと急いで洗ってすぐに水から手を出す。うへ〜冷たい。掃除で使うかもと思って持ってきていたボロ布、もとい使い古したタオル(ちゃんと洗ってあるよ)で手を拭く。
私がよーく水分を拭き取り、使い終わったやつを妹に差し出してみる。使う?
妹はようやく水から手を出し、そのタオルを普通に使って手を拭いた。
「じゃあ、帰ろうか。」
今度こそ帰宅の途につく。
賢者と狂戦士の冒険者パーティはクエスト完了しギルドへ帰還するのだ。
巨大な桜の木はもっと眺めていたいし、三平方の定理でなんとなくの高さを求めてみたいが、それはまた今度だ。ここの神域は常春で桜も一年中咲いている(植物としてどうなってるんだ?)ということだし、冬になったとしても見ることができる。まあ冬になったら雪が積もってここまで来るのが困難となるが。
帰り道は昨日飲んだ地酒の話をした。何県の何という酒が気に入ったとか。昨日私もオススメされて飲んだやつらしいが味が思い出せん。あっち方面行くことがあればまた探してみるか。
あとは、日本酒ばかり買ってきたけど、地ビールとか他の酒も買ってくれば良かったなぁ。地ワインなんてのもあるとかなんとか。それも良いね、旅行いったらお土産によろしく、とかなんとかそんな内容。
そんな会話をしているとあっという間に家に着いた。賢者と狂戦士のパーティもこれにて解散である。
おや?あそこにいるのは……イズナさん?うん。イズナさんだ。
我が家の庭の木陰に置いてある木製のベンチにイズナさんが座って本を読んでいる。なんと麗しいことか。
すごい。イズナさんがただベンチに座っているだけなのに我が家の庭が有名な庭園にも劣らぬものへと昇華してしまう。
「せっかく晴れているし、ちょっと庭を見るよ。」
「うん、じゃ先に入ってるね。ただいま〜。」
妹に先に家に入ってもらって、イズナさんの元へ向かう。土地神様からの呼び出しの件についての話かな?




