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ご、ご、ごめん

 クロがしょぼんとしている中、こんな事ばかり考えているわけにはいかない。元気に笑って欲しい。


「大丈夫だよ。クロなら次はきっと大丈夫だから。」


「うぅ、クロは周りを見ろってよく怒られる。次も失敗しちゃうかも……。ケイに嫌われたくない……。」


 クロはさらに落ち込んでしまった様子。この時ようやくホールドが弱まった。

 ならばここしかない。常日頃、自分の顔面レベルに見合った言動を心がけてきたのだが……今こそエクゾディアを封印から解き放つ時である!あ、ごめん、下ネタじゃない。クロの頭を撫でるだけだよ。


 ぽにゅ


 あっ!!!

 ヤバい、クロの頭を撫でる為に手を上へ持っていくときに、手がクロのお胸へと触れてしまった……。マジごめん。完全に事故です。本当です。


「ご、ご、ごめん。ごめんなさい。」


 私はクロに謝るが、クロはそれを気にしていない、というよりそんな場合ではないという様子。しょんぼりしている。

 これについては後回しにしよう。落ち込むクロに元気になってもらう方が先決だ。それに事故とはいえ触れてしまった事を、落ち込んでいる状態に付け込む形での謝罪は卑怯だろう。

 さあ撫で撫でだ。あ、頭をですよ。


「大丈夫、大丈夫。クロを嫌いになんてならないよ。」


「でも、他にもいっぱい失敗しちゃうかも……うぅ。」


 クロの頭を(狼耳に手が当たってガッとかグリッとかしない様に細心の注意を払いつつ)撫でながら大丈夫だと伝えてみたが、思った以上に落ち込んでしまっている様子だ。撫で撫で程度ではしょんぼり継続。どうしてこんなにも落ち込んでしまったのだろうか?……私にはわからない。


 ええい、ここはいっちょ覚悟決めるか。

 今だけは自分をイケメンだと思い込む。私はイケメン私はイケメン私はイケメン!!!

 さあ、やれ。


 ぎゅっ。


 今度はこちらからクロを抱きしめる。

 事案!

 うるせえっ!そんな事よりクロの元気の方が大切だ。

 今の私はイケメンだから無敵なのだ。


「大丈夫。クロを嫌いになんてならないよ。絶対に、絶対に。それに僕もクロたちに何か失敗しちゃうかもしれない。僕もクロたちの事、昨日初めて視えたんだ。知らない事だらけなんだ。だから、一緒に失敗しよう。そしてお互いの事を知っていこう。ね?」


「……そっか。ケイもクロたちの事、わかんないんだ。……居なくなったりしない?」


「うん。ずっといるよ。」


「そっか……。そっか。良かった。」


 クロはホッとした様な表情になり、その後にようやく笑顔を見せてくれた。

 私の事、というか人間の事がわからなくて、わからないから不安になった、ということなのかな?

 居なくなる可能性まで考えた様だが、前に何かあったのだろうか?それか、私が昨日突然現れたから、逆に突然いなくなる事を考えたのかもしれない。

 まあ、何にしろ、クロの不安をやわらげる事が出来たのなら良かった。

 あ、抱きしめるのはもうとっくに止めておりますよ。私はイケメンじゃないもの。イケメンの特権はイケメンじゃないと享受できないものなのだ。


 クロがまたグリグリと頭を擦り付けて来た。また私の事を抱きしめて。そう、またあたっているのだ。


 ……さっきの事、改めて謝った方がいいだろうか。私の手がクロのお胸に触れちゃった事を。でも、現在押し付けられている様な状態だし、今さらなのだろうか。

 いや、でも、ケジメはつけなければ。よし、謝ろう。


「クロ、あの、さっき……」


「あ!妹!!ケイは妹と一緒に来たって言ってた!もう行かなきゃいけない?」


 クロは、思い出した!っと、バッと顔を上げた。近い。私の顔とクロの顔は5cmもない距離である。


「そ、そうだね。先に行って待ってるかもね。」


「そっか。じゃあこれで我慢する。」


 クロはそう言うと、もう一度私の胸にグリグリと頭を擦り付けてから、ようやく私から離れ立ち上がった。

 いざ離れてしまうと、やっぱりちょっと残念には思ってしまう。

 続いて私も立ち上がる。そして今は大き目の上着を着ていたことに感謝する。裾でカバーされている為、これならバレない。


「また一緒にお話しようね、ケイ。またね。」


 私が返事をするやいなや、バイバイと手を振って走り去って行く。私も手を振り返すがすぐに見えなくなってしまった。

 手が触れてしまった件を謝りそこねた。


 ……


 ……


 妹はもう墓地に着いて待っているだろうし、急がなきゃ。あ、花とか持って来てないし、ススキでも採っていくか。






「すまん、ちょっと遅くなった。」


「ん〜?いいよいいよ。軽く掃除してたし。」


 墓地へ着くと妹はお墓の掃除をしていた。私もすぐさま掃除を開始。周りの落ち葉や枝などを集めていく。周りにポイポイとするわけにはいかない。周りは他の家の墓だもの。墓地の奥に落ち葉の山があるのでそこへ持っていくのだ。

 両手に集めた枯れ葉を持って往復。お腹に抱える様に持てればもっと大量に運べるのだが、上着が汚れちゃうので出来ない。三往復分はあるか。う〜ん、軍手を持ってくるべきだったな。あ、妹は軍手してる。用意がいいな。この辺は経験値の差が出たか。


 掃除も終わったし、チャッカマンでロウソクに火を点す。その火で線香にも火をつける。花は持って来なかったのでさっき採ったススキを供える。

 そして手を合わせる。

 ただいま帰って参りました(ただいまと言っても昨日ですが。)。これからもよろしくお願いします。みたいな報告をする。

 あと、なんか普通だと視えないはずの人と物が視える様になっちゃいました。もついでに報告。こんなん言われても、なんじゃそりゃ?としか返せないかもしれないけれど。

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