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あ゛~?

 狐耳巫女さんと狸耳巫女さんも乗るかな?どうするかな?とチラリと伺う。

 二人とも犬耳巫女さんほどじゃないが、尻尾が揺れてる。興味があるって事で良いのかな?


「二人……」


 とまで声を発してしまったが、この後どう続ければいいのか。

 「二人はどうする?」と言えばいいだろうか。これだと狐耳巫女さんをお願いする立場にさせてしまうか?散々謝らせてしまったので、さらなる負い目というか立場を下げる様な事はさせたくない。

 「二人も乗る?」ならば、どうすると聞くよりもだいぶ軽く応じてくれるかもしれない。

 いっそのこと、「二人も乗ってもらってもいい?」などと私がお願いする形で聞いてみた方が良かったりするか?だが、車に乗るのが嫌な場合、断ることを申し訳ないと思うかもしれない。普通なら断る事に申し訳なさなど感じる必要もないのだが、狐耳巫女さんは何度も謝ってきた事もあり、さらなる負い目とかにならないか心配にもなってしまう。どうしよう。

 この間5秒以上かかっている。


 私が何と言おうか考えている間に、狐耳巫女さんと狸耳巫女さんが顔を合わせて頷き合い、


「私たちも車に乗せて貰ってもいいですか?」


 と言ってきた。

 うわ、迷った挙句に結局お願いさせちゃったよ。本当、ダメなやつだなぁ……と自己嫌悪に陥りがちながらも「うん!いいよ!」と、せめて明るく返答する。


 落ち込んでいても仕方ない、さあ出かけよう。……の前に、短い時間とはいえ車を出すのだから家族に一言だけ伝えてくるか。


「ちょっとそこら周って来るー。夕飯までには帰って来るから、先に呑むなよー!」


 玄関から四つん這いで上がり、靴を床に着けない様に数歩のハイハイ。居間の障子戸を少し開けて姉に伝えた。

 姉は「あ゛~?」と返事してきた。「先に呑むなんて事しねぇよ!」的な返事ではないだろう。「今酒見て楽しんでんだ、邪魔すんな」か「俺様を待たせるたぁ良い度胸だ」的な意味だろう。姉だもの。


 さておき、それだけ伝えて車に戻る。あ、後部座席には荷物が載ったままだった。急いで家に運び込まなければ。

 後部座席のドアを開けたところで、犬耳巫女さんが隣にピッタリくっついてきた。おっふ。


「荷物預かるよー!」


 と言い、犬耳巫女さんは荷物にタッチ。するとその荷物がシュンッと消えた。

 ……えっ!?

 続け様に奥側にある荷物や足元に置いてある荷物も次々にタッチ。それらもシュンシュンと消えていく。

 犬耳巫女さんはそのまま「お邪魔しまーーす!」と言いながら後部座席に嬉しそうに乗り込んだ。


 突然の超常現象に呆然としてしまった私に、狐耳巫女さんが近付いて来た。


「今のは異空庫へ収納したのです。取り出すことも出来ますから安心して下さい。」


「な、なるほど……驚きました。」


 あれか。異世界ラノベでいうストレージってやつか。

 狐耳巫女さんは犬耳巫女さんに「人の物を仕舞うときはちゃんと許可とらないとダメでしょ。」と注意している。犬耳巫女さんは「あっ!そっか!!」からの、私に向かって「ごめんね〜」と謝ってきた。私は「いいよいいよ、助かったし。ありがとね。」と感謝。


 狸耳巫女さんは車の反対側から、


「私もお邪魔して宜しいですか?」


 と声をかけてきたので、「どうぞどうぞ〜」と許可する。狸耳巫女さんも後部座席に乗って来た。犬耳巫女さんの向こう側だ。すぐさまシートベルトもしっかり着用。あ、スラッシュ。あまり見てはいけない。

 その後、犬耳巫女さんのシートベルトも着けてあげていた。なかなかのスラッシュ。あまり見てはいけない。

 犬耳巫女さんと狸耳巫女さんは後部座席、そしてすでにシートベルト着用済。狐耳巫女さんも後ろで、三人並んで座るのかなとも思ったけれど、後ろの真ん中は空けてある。となると、狐耳巫女さんが助手席に乗るのかな。

 助手席に女の子が乗るのかと考えるとだんだん緊張してきた。

 

「あっ、では私は助手席にお邪魔してもよろしいですか?」


 と狐耳巫女さんに聞かれたので「どうぞ!どうぞ!どうぞ!」と三回繰り返してしまった。繰り返しながら私も運転席に乗り込む。

 ここでまずは助手席側に回り、ドアを開けて「どうぞ」とかやれたならば、紳士的なのか?とか考えるだけはするのだが……。私がやったら気持ち悪い案件になってしまうのではないか。

 彼女は良い子の様なのでそんな事は思わないだろうと思う。

 でもこれは彼女がそう感じるか疑うからではなく、自分を信じられないから。いや、ある意味自分を信じる、認めているとも言えるか。自分がおっさんでありイケメンではないという事実を。


 まあすぐに普通に助手席に乗り込んできた狐耳巫女さん。シートベルトをどうしたら良いのかよく解らない様子だったが、手伝った方がいいのかな?でも目の前でのスラッシュは露骨に視線が向かってしまうのでなかろうか。

 そんな事考えてないでさっさと教えてあげろよと自分に言い聞かせているうちに、後ろから狸耳巫女さんが狐耳巫女さんに教えてあげていた。

 またこれだよ。もはやさす俺か。

 ちなみにスラッシュ感はかなり控えめ。


 うまくできない自分に少し落ち込む……かと思いきや、私はハッとした。

 それどころでない!

 今、尻尾はどうなっているのだ!?

 横から出しているのが私的本命だが、上に出して背もたれと背中の間や、もしかしたらお尻の下に敷いて前の方へ出すなんて事もあるか!?いかに!?

 つい、バッと横の狐耳巫女さん、それから後ろの二人の尻尾を確認してしまった。

 あ、皆さん横から出す派なのね。なるほどなるほど。

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