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ツナグモノ  作者: 放課後デイズ
4/7

『次はぁ永田町駅ぃ、永田町駅ぃ…』

地下鉄有楽町線に揺られること20分ほど。

目的の駅が近付いてきた旨を伝えるアナウンスが流れた。

とりあえずふてぶてしくも俺の右肩に頭を乗せて寝ているリッキーに肘鉄を喰らわせておく。

「ふぐっ…いったぁ」

「起きろ、着いたみたいだぞ」

「わかったわかった」

右脇腹を擦りながらぶつぶつ文句を言っているリッキーを横目に今度は左肩に頭を乗せて眠っていた秋華の方を揺する。今更だがとんでもない状況だな…..

「おーい、着いたぞ」

「……ふにゃ?」

寝起きで呂律が回ってないのだろう。可愛らしい声を上げながら目を瞬かせている。

そしてそれとは対照的にこちらをジト目で見てくる人物が約1名。

「何かご用で?」

「いや、お前のその秋華に対する優しさを少しでもこっちに分けてもらってもいいと思うのだが?」

「え?やだ」

「なんでやねん」

ちょっと声大きい。電車内だぞ

「いやぁ、お前のせいでこっちは寝れなかったんだが?」

「そうだけどさ、それでも限度というものが….。というか秋華は?」

「軽いからノーカン」

「どういう理屈だよ!」

「軽いし、異性だし、邪魔では無いし、優しいし。」

「俺が優しくないみたいに言いやがって」

「それって私の前で言うことじゃなくない?」

おっと、起きてたのか。気づかなかった。

ちょっと顔が赤いのは肩に頭を乗せて寝ていたことに関してかな?俺としては別にいいのだが。

「まあ、とにかく次からは….」

「着いたみたいだ。行こうか、秋華」

「うん」

「ちょっと待てぃ」

リッキーの反応がちょっと面白かったのでしばらく放置してみることにした。

改札を抜けほかの駅よりなんとなく長く感じる階段を登り外に出た。30分ぶりに目に入る陽の光が眩しい。

ふと右手を見てみるとあるひとつの大きな建物があった。

大理石のように磨きあげられた外壁に中庭に見える東洋風の噴水。そしてある種の荘厳さを感じる左右対称の作り。

日本人なら1度は見たことがあるだろう国会議事堂だ。

俺たちがやっているバイトというのはこの中で行われる執務….

ではなく、その隣にひっそりと佇む小ビルだ。

掲げる看板には「漆原法律事務所」という如何にもと言った感じの文字が書いてある。

「なんで俺たちこんなところでバイトしてんだろうな」

「仕方ないだろ、スカウトされたんだし。じゃあ、行くぞ」

自動ドアをくぐり受付の人に会釈してからエレベーターに乗る。

三階に着いてすぐのドアを開けた。

「よぉ、晴真。社長出勤とはいいご身分じゃねぇか」

部屋に入った途端投げかけられた言葉に少し顔をしかめる。

「なんだ、来てたのか大村。てっきり今日もサボるのかと思ってたよ」

「昨日サボってたやつには言われたくないね」

一般的に見てイケメンと言われる部類の整った顔を意地の悪そうににやけさせながら言い返してくる。

大村は何かと怠惰で雑な性格をしており、入ってきた当初から気の合うような合わないような微妙な関係が続いている。

俺としては同じ部の仲間として仲良くしたいのだがあいつが何かとつっかかってくるのでちょっと手をこまねいている。

あと個人的に普通にイケメンなのにひん曲がった性格というのが気に食わない。

アメリカの血が混ざっているらしく髪の色が日本人には似つかわしくない完全な金色だ。そのうえでその性格なのでヤンキーにしか見えない。

「ところでどうして今日は来たんだ?」

「ああ…あいつに引っ張り出された」

バツの悪そうな顔をうかべ視線を別方向に向けた。

その方を見てみると、肩までかかる長い髪を鬱陶しげにはらいながら書類に目を通す十七ほどの女性ー角田紗絵がいた。

一見知的にも見えないこともないが、彼女の本質は絵に書いたような委員長系だ。

多分というか絶対小学生の頃に「ちょっと男子ぃ」とか言ってる感じの人だ。

そんな角田と大村の相性が会うはずもなく、度々喧嘩している。

「サーちゃんの用事ってこれの事だったんだ」

ああ、そういう事ね。角田、グッジョブ。

秋華の呼び掛けでこちらに気づいたようだ。手元にあったチョコを机の中にしまいながら返答してくる。

「あーちゃん来てたんだ。そうだよ、アイツが最後に来たのいつかわかる?」

「えっ、そんなになの?」

「1ヶ月よ。流石にアタマ来たから学校から逃げようとしてたところをとっ捕まえてきたのよ」

「へぇ、そうなんだ。お疲れ様」

クスクスと笑い合うふたりを横目に大村に同情の視線を送る。

対する大村は真っ白にもえつきたように明後日の方向を向いている。

うん、わかるよ。その気持ち。

「あっ、氷浦先輩。来てたんですね」

ひょこっと言った具合に奥の部屋から顔を出してきたのは後輩の天海だ。

彼は1年ほど前にここに来て、指導員として色々見てあげるうちに仲良くなり、俺としても歳の近い弟ができたみたいな気がしてちょくちょく目をかけている。

「先輩、すいません。ここがよく分からないんですけど」

「おっと珍しい。どこだ?」

いつも自分だけでなんでもこなす天海にしては珍しいことだ。まぁ、ここは先輩として一肌脱ごうではないか。

しかし、そんな日常は次の瞬間変わる

こんにちは放課後デイズです

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

これからも書いていくので応援していただけたらありがたいです。

ほかの2作もぜひ見ていってください。

では

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