第1部 転生のアメリカ編 VOL13「奇跡のギャンブラーを見た!!!」 (1990年)
ー転生のアメリカ編 VOL13ー
「奇跡のギャンブラーを見た!!!」
ラスベガス 1990年3月
ー前回からの続きー
あれを奇跡というのだろうか?・・・・
その時カジノはけっこう混んでいて
俺のいるルーレットテーブルの
4つの席も埋まっていた。
席の後ろにはプレイを見物する人達も
けっこういて賑やかだ。
ディーラーが慣れた手つきで
ホイールのレールに沿って玉をシュパッ!
と入れた直後、
俺の肩越しにチップのカタマリを持った腕が
スッと伸びてきた。
ん?「黒い」チップ?あ、あれはっ!?
ええええーーっ!!?
その男は100ドルチップ8〜10枚!ほどを
無造作に「35」の上に置いた。
ルーレットテーブルによって
掛け金の最低最高金額が
定められているのだが、
通常、世界の富豪やゲーノージン対象ではない
一般的なレートのテーブルで
赤か黒かなど当たる確立が半分近いものでなく
数字の上に置くのは1か5ドルである。
100ドル、しかもカタマリで、、、、。
しかし、これはこの後に続くショックの
ほんの序章にすぎなかったのだ!!
男のコーゲキはこれだけではすまなかった。
腕を引っ込めるとまた100ドルチップの
カタマリを今度は「34と35の間」に置く。
そしてさらに「35と36の間」に、
最後に「32と35の間」に置いた。
俺も他のプレイヤーも周りの見物人も
ディーラーさえもが唖然とする。
「No More Bet.」
ディーラーがグリーンのテーブルの上を
静かに手を横へ振る。
やがて運命の白い玉が赤黒交互に整然と並ぶ
スロットの上に落ちて跳ね回りだした。
そこにいる全ての者は固唾を飲んで
玉の行方を見守る。
カランカラン、、、、カララン、、、、
カラララララ、、、、、、、、
止まった、、、、。
「!!!!」
場がどおおおっ!!!とざわめく。
「Oh! My Goodness!!!」
「It must be joking!!!」
「Unbelievable!!!」
背筋に戦慄が走った。
その時俺はもう自分が賭けたものの
当たり外れさえどうでもよくなっていた。
玉は「35」のスロットに入っていた、、、、。
38分の1の確立ー。
この男は今から出る数字を
まさに知っていたかのように
「35」を囲んでチップを張ったのだ。
大金をしかも冷静に。
浅黒い肌。どこの国の人やろう?
100ドルチップを10枚ずつ置いていたとして、
元金は合計4000ドル(当時約60万円)。
そして彼が受け取る額は(1000ドルx36倍)
+(1000ドルx18倍x3ヶ所)
=なんと90000ドル(約1450万円)!!!
ほんの1分足らずで60万円が
24倍以上になったのだ。
チップのカタマリを
俺が数えたわけじゃないから正確ではないけど
少なくとも8枚以上ずつは置いたと思う。
さらに考えられないことに
男は玉が「35」のスロットに入っても
飛び上がりも、叫びもせず、
たいして反応しなかったのである。
やっと男への大量のチップの清算を終えた
ディーラーがプレイを再開する。
皆がチップを置き始めてしばらくすると
白い玉をホイールに入れる。
するとなんという事だろうか、
目の前でまったくさっきと同じ光景が
展開したのだ!!!
男はまたも100ドルチップのカタマリを
「35」を囲んで置いたのだった。
そして、、、、、、、、、、、、。
信じられない現実に呆然とする人々を残して
たった2回のプレイで
「2千数百万円」を手にしたその男は
静かに去っていった。
アイツは一体何者なのだ?
俺は幻を見ていたのだろうか?
(実話だってばっ)