表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/35

第1部 転生のアメリカ編 VO11「憧れのルーレット」  (1990年)

ー転生のアメリカ編 VOL11

「憧れのルーレット」

ラスベガス 1990年3月


はやる気持ちを抑えきれずに

部屋に荷物を置いてモーテルを飛び出す。

周りを見ると広ーい空き地の向こうに

でっかい超豪華ホテルがズラリと並んでいる。

「あっちや!」

サブバッグを背負って走り出す。

真夏のような陽射しだ。

実際にホテル群の前まで来ると

その規模の大きさと豪華さに改めて驚く。

「うわあー、す、すっげえなあ!!!」

中に入ると冷房のせいもあるけど、

車が走ってひとがいっぱい歩いている外とは

まったく違う世界のように感じる。

この街のすべてのホテルの1階は

カジノになっているようだ。

ほのかに黄色い照明、

おびただしい数のスロットマシン、

そしてそこを抜けていくと、、、、

「おおっ!これやあ!」


キレイな緑色のテーブルがズラッと並ぶ。

ブラックジャック、ポーカー、バカラ、

大小、クラップス、そしてルーレット!!

白シャツの上にベストをきちんと着た

ディーラーが各テーブルごとに1人、

ルーレットの客が多い台では2人立っている。

迷わずルーレットの台へ行く。


直径1m、厚さ20cmほどもある

リッパなホイール。

白い玉の直径は2cmくらいある。

子どもの頃、近所のタダオちゃんのウチで

やってたのとはまったくのベツモノだあっ!

テーブルの上には1.5mほどにも渡って

1から36と0、00の数字、赤、黒、

奇数、偶数、数字の前半、後半の

表示などがあり、好きなところに

カジノ専用のチップを賭けるのだ。

(場合によっては現金でもおっけー)


空いてる席に陣取ってまずはディーラーに

現金をチップに換えてもらう。

手始めに100ドル。

100枚の1ドルチップが目の前に置かれる。

おおっ!!ホンモノやあ!

い、いよいよかあ!

いろんな賭け方があるけど

コツがわからないから適当に5ドルくらい

バラバラにチップを張ってみる。

ディーラーが白い玉を

ホイールのレールに沿ってシュッと回す。

10秒、、、、15秒、、、、。

プレイヤー達の熱い視線を浴びて

玉はスムーズに回り続ける。

まだあちこちにチップを張ってるひともいる。

ディーラーが片手をサッと前に上げて

ゆっくり横へ動かす。

「No more bet.」

この宣言の後、

もう決してチップをはることはできない。

玉が数字の書いたスロットの列の上に

落ちて跳ね回る。

カラン、、、カラン、、、

カラララララ、、、、、、

やがて玉が止まった。

「27、Red.」

隣に座る白人のおっちゃんが

小さくガッツポーズを取る。

ディーラーがテーブルに記された

27番のマスの上に高さ7、8cmくらいの

透明の円筒状のガラスのようなものを

トンと立てる。

5人ほどのプレイヤーがテーブルのあちこちに

張った何十枚ものチップは

当たったものを除いて驚くほどあっけなく

ディーラーの手によってサッと取り除かれる。

当てたプレイヤーの前にそれぞれの倍率に

見合ったチップの塊がグイッと差し出される。

ディーラーはすべての払い戻しが終わると

27番の上に置かれたマークを取る。

さあ、次のプレイが始まった。


「Cocktail!」

カクテルガールが露出度の高い

派手なコスチュームで注文を取りに来る。

プレイヤーは酒でもコーヒーでも

何でも無料で飲むことができる。

(礼儀としてチップを1ドルくらいは

渡すことになっている)

酔っ払わない程度に飲みながらプレイする。

ディーラーは数十分ごとに交替し、

周りのプレイヤーも抜けていったり、

入ってきたりするが、

勝ったり負けたりの波を感じながら

俺のプレイは何時間でも延々と続いてゆく。

食事、トイレ以外は中断することなく、

5~10時間くらいは賭け続ける。

日によっては1日トータル15時間以上

プレイすることもある。

カジノは24時間営業、年中無休。

建物の外に出ない限り、

今が朝なのか夜なのかもまったくわからない。

初めて味わう感覚。

ここには時間の概念がほぼ存在しないのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ