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第1部 転生のアメリカ編 VOL29「DANGER ZONE?」(1990年)

ー転生のアメリカ編 VOL29ー

「DANGER ZONE?」

ニューヨーク 1990年3月


ヒコーキでニューヨークを目指す。

「あと1時間くらいか、、、、。」

俺はちょっぴりビビっていた。

アメリカの西の端のロスアンゼルスから

始まったこの旅はサンフランシスコ、

ラスベガス、グランドキャニオン、

ニューオーリンズを経て、

遂に東の端にまでたどり着くことになる。

2週間余り前、

日本からロスアンゼルスに着いて

空港から一歩外に出た俺は

大阪とは全く違う3月の暖かい風と

日本人がまったくいない空間に

モノスゴイ違和感と不安を感じて、

そのまま回れ右して帰ろうかと

チラッと思った。


それから毎日いろんなものを見て、

食べて、体験してきて、

それなりにこのひとり旅に

慣れてきたつもりだった。

でも最後の街になるニューヨークだけには

強い興味を持ちながらもどうしても

不安感を拭い切れないのだった。

毎日多くの人が襲われ、

レイプされ、殺される!

そんな恐ろしいイメージが頭から離れない。

凶悪犯罪が渦巻く未知の大都市を

海外旅行初体験の日本人が

ひとりで歩くということは

ちょっと無謀なことやないんやろか?

とずっと考えていた。

今まで映画の中だけの世界みたいにしか

思えなかった銃を突きつけられるような

出来事が現実に俺の身に起きたら、、、、?


隣の席のおばちゃんが話しかけてくる。

「あなたひとりなの?」

「はい。初めての海外旅行です。」

これまでにどの街を訪ねたのかを訊かれて

答えると、

「素晴らしいルートを廻ってきたのねえ!

全て自分で手配して?スゴイわー!」

としきりに感心して言う。

彼女はマンハッタンに住んでるそうだ。

マンハッタンではどこを訪ねたいのか

を訊かれて、

いくつかの名所を挙げて

セントラルパークにもぜひ行きたいと言うと、

おばちゃんの銀縁のメガネの奥の優しい目は

とても幸せそうに空中を見つめ、

夢見る少女のような表情で話す。

「あそこはとおーってもステキな所なのよー。

日曜のお昼なんかはねえ、

家族連れや若い人達がいっぱい集まって

いろんなことをして楽しんでるの。

BBQ、ジョギング、サイクリング、

フリスビー、野球、野外コンサート、、、、。

とても広い公園で、湖ではボートに乗れるし、

劇場や美術館もあるわ。でも、、、、」


そう言って俺の方を振り向いた

彼女のその目はまるで別人のように

険しくなっている!

な、なんだっ!?

ぐぐうーっと顔を近づけてきて

俺の目を覗き込むとおばちゃんは言った。

「ゼーッタイに夜には

あそこに行っちゃダメよっ!!

そうでないとあなたは殺されるわよっ!!」

「わ、わかりましたあっ!!」

あーびっくりしたあ。

彼女はまたすぐに元の優しい目に戻って

窓の外を見下ろすと

「ほら、マンハッタンよ。」

と微笑んだ。



ー「ココロの眼を鍛えるのじゃ」に続くー

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