第1部 転生のアメリカ編 VOL22「あかつきの大勝負!!」 (1990年)
ー転生のアメリカ編 VOL22ー
「あかつきの大勝負!!」
ラスベガス 1990年3月
ー前回からの続きー
最後の勝負が始まった!
負けたらもう巻き返しをする時間がない。
1時間で終えて、空港へ向かうのだ。
必ず勝たなければ、、、、。
カランカラン、、、、カララララ、、、、
ストッ。
玉がスロットに落ちる。
「36、Red.」
「ふうううう。」
まずは200ドルや。
まだ時間がある。
次の機会まで勝負を見送る。
すぐにまた黒が3回続いた。
ディーラーが玉を入れると
再び200ドル分のチップを赤に置く。
「Two hundreds on Red!」
明け方の静かな場を乱しに現れた
汚いジージャンとジーンズ姿の
表情を全く表さない年令不詳で
ちょっと髪ボサボサのナゾの東洋人。
マネージャーがスキのない目つきで
俺を観察する。
カラララ、、、、、、、、ストッ。
「5、Red.」
うっしゃっ!これで400!
時計を見る。あと30分、
たぶん次でラストになるやろう。
しばらくして次に赤が3回続いた後、
黒に200ドル分のチップを置く。
「Two hundreds on Black!」
マネージャーは静かに俺を見ている。
カラララ、、、、ストッ。
「21、Red.」
ちいっ!ハズレたかっ!!
ディーラーがサッと200ドルのチップを
持っていく。
、、、、そう簡単には終わらんかったか。
時計を見る。
やっぱりこれがラストや。
絶対ここで食い止めんとあかん!
ディーラーが玉を入れると俺は
残りの200ドル分のチップに
現金200ドルを加えて黒に置く。
「Four hundreds on Black!!」
ドクン、、、、ドクン、、、、、、、、。
追い詰められていく不安。心臓が高鳴る。
頼む。これが入ったら終われる。
黒や、黒、、、、、、、、。
カラララ、、、、、、、、ストッ。
「32、Red.」
合計600ドルが一瞬で消えてしまった。
そしてまた玉が入れられた。
どーする? どーする?
これで結局200ドル負けてるぞ。
でもこれ以上はあまりに危険か?
白い玉が回り続けるホイールを見つめる。
、、、、、、、、勝負や!
胸ポケットからまた100ドル札の束を
取り出す。
1、2、3、4、、、、。
掛け金を黒のマークの上に叩きつける!!
「How much!?」
「Eight hundred dollars!!」
(当時約12万円)
マネージャーがディーラーの横にまで来て
見ている。
ここでキメるでえっ!!!
ドックン!ドックン!ドックン!
カラララ、、、、、、、、ストッ。
「13、black!!!」
「よっしゃあっ!!!」
タタカイは終わった。
600ドル勝ちだっ。
ふううううううううううううーーーーっ。
マネージャーとディーラーは
がっくりと床に膝を付き、泣き崩れた。
(ウソだってば)
信じられないようなおまけ話だが、
俺はこの後すぐに席を立ち、
キャッシャー(換金所)のお姉さんに
合計8枚の100ドルチップを渡した。
彼女は「Oh, good luck!」と言いながら
ディーラーと同じように
手際よくチップを2列にして立てた。
するとなんということだ!!
明け方でボンヤリしていたのだろうか、
プロである彼女が数え間違えて
なんとチップを10枚と思い込み、
1000ドルを俺に渡したのだった。
俺はもちろんお金を受け取ると
インケンな目つきでサッとその場を去った。
(俺ってイケナイひとっ)
カジノ初挑戦で5泊で全勝し、
結局52万円ほど儲けた。
この体験でバカな俺は
自分がルーレットにだけは才能があるのだ、
と勝手に信じてしまった。
しかあーーし!
前にもちょっと書いたがギャンブルとは
そんなに甘いものではなかった!!!
この後の数年間でイタリアのヴェネツィアでの
2万円勝ちを除いて、ラスベガスで2回、
ニュージーランドのクライストチャーチと
韓国のソウルで1回ずつ「大敗!!!」。
この52万円の勝ちを帳消しにして
さらに合計200万円以上!!も失ってしまい、
ウシのように「アホ!」の烙印を
オシリに押されることになるのであった。
ワタクシ、もうギャンブルはコリました。
ちゃんちゃん。