8.
近づく者には、人にでも魔物にでも災いが降り注ぐ疫病神と噂される聖女様と、その護衛に抜擢された15歳のじゃじゃ馬少女の織りなす物語です。
聖騎士見習い予定の少女シャルロッテが、ドラゴンをも倒す聖女様の護衛として初めての任に就く所から物語は始まります。
次第に夕闇が迫りつつある山道を三つの人影が草をかき分けながら登っていた。人の行き来が絶えて久しい山へのメインストリートも、今ではけもの道と変わりなかった。
アウラが言うには、最近誰かが踏み分けた形跡があるそうだった。
しばらく走ると、開けた草地に出た。
「血の匂いがする」
立ち止まって周りを見回したアウラがボソッと呟いた。
「け もの のうめき声 する 何匹 も」
タレスも感じた様だった。
「たぶんこの辺りでいいと思うんだけど、どうしようか?とりあえず呼んでみようか」
「アナスタシア様ぁ~っ!!」
「誰か居るぅ~!?」
「うほおおおっ!うほおおおおおおっ!!」
何だそりゃあ・・・。人の言葉で声かけろよぉ。しかし、反応がないわね。ここじゃ無いのかな。
ぉぉぉぉぉぉぃ
「ん?誰か何か言った?」
「おおおおおおおおおおおおおおおおいっ」
今度ははっきりと聞こえた。女性の声だ、どこからだ?
なにげに廃坑と思われる方を見ると、黄色いツインテールがこちらに向かって走って来るのが見えた。
声の発生源っだった。
タレスとアウラも動きを止めて突然現れた少女を凝視している。
「おおいっ、申し訳ないのですが、手を貸して頂けないでしょうか?」
駆け寄って来るや否や、援助の要請だった。
この子はもしかして?
「どうしました?」
見ず知らずの人間にいきなり助けを求める位だ、よっぽどの事態なんだろうし、聞いてあげるのはお約束だもんね。
「連れが、廃坑の中に閉じ込められているのです、ぜひご助力をお願いしたいのですがっ!」
確かに切羽詰まった顔をしている。
「タレス!アウラ!行くよっ!あなた、案内してっ!」
ぱあっと顔色を輝かせた少女は、ツインテールを翻して走り出した。
「こっちですっ!」
後に続いて廃坑に入ると、坑道は直ぐに行き止まりになっており、良く見ると正面の壁は毛皮の壁になっていた。
「な なに これ?どうなっているの?」
呆然と正面の毛むくじゃらの壁を見ていると、はあはあしながらアウラが入って来た。
あらあら、両手に両ひざが泥だらけ。転んだね、やはりこの奥にアナスタシア様がいらっしゃるみたいね。
「おでこにも泥が付いて居るわよ(笑)」
照れ隠しなのか、ふくれた顔でおでこを拭いている姿が可愛かった。
「この奥に連れが閉じ込められているのですが、私ひとりの力ではどうにもならず・・・」
憎々しげに壁の毛をむしりながら説明する少女だったが、どうしても突っ込みたかった。
「これ・・・・・なに?」
あたしの質問に、困った様な表情で聞き返してきた。
「なんだと思います?」
質問に質問で返してきたよ。分からないから聞いてるんじゃない。
「どうやら生き物みたいだけど、あたし、こんなの見た事も聞いた事もないわよ。そもそも、生きているの?こいつ」
「死んでいる様なのだけど、私一人では重すぎて排除できないのです。いい考えはないでしょうか?」
そうだなぁ。
「あ、燃やすのも、爆破するのも駄目ですよ。切り分けて運び出すのも時間が掛かり過ぎるし坑道内が血の海になるから駄目です」
あ、言おうとした事先に全部言われちゃったよ。
じゃあ、人海戦術で引っ張り出せないかなと思ってアウラを見たら目が合った。
やれやれと肩をすくめたアウラは、坑道から出て行 こうとしたが、頭を押さえてうずくまった。
「いっったあぁぁぁい!」
どうやら、天井から石でも落ちて来て頭に直撃したようだ。
「失礼なんだけどあなた、もしかして修道院に雇われた方?」
「あ、はい。使用人として雇われたメアリーと申します。あなた方はどうしてこの様な廃坑に?」
最もな疑問だね。
「あなたを追って来たの。連れってアナスタシア様でしょ?」
「ああ、もしかして、王都から来られると言う使用人の方でしたか」
「はあああああ?使用人だってえぇ?」
「あら、違いましたかしら?セルヴェンテさんが動けなくなったので王都から代わりの使用人の方が来られると聞いておりましたが?」
うぬぬぬぬぬ、いったい父上はどの様に知らせたのよお。よりによって使用人などと。
「確かにあたし達は王都から派遣されて来ました。でもね、間違わないでね、あたし達は使用人なんかじゃないの。アナスタシア様の護衛よ。覚えておいてね」
「はぁ」
「ああ、自己紹介まだだったわね。あたしは、シャルロッテ。リンクシュタット侯爵家の次女で聖騎士見習いよ」
ふふん、どうだ驚いたかぁ。この時、あたしは侯爵家の名前をだした事で鼻高々だった。
「ふむ、まだマーサ様の教えが浸透されていない様ね。うぬぼれが服を着て歩いているわ」
「ん?何か言ったかしら?」
「いいええ、何もぉ。世間知らずのお嬢様が来たもんだ なんて、思っても言って居ないですわよ。おほほほ」
かっちーん!言ってるじゃない、あったま来た。なによ使用人のくせに!
「あなたねぇ、たかが使用人風情が偉そうな事言うわね。平民が侯爵令嬢に向かってそんな口きいてもいいと思っているの?」
この後告げられた言葉にあたしは驚いてしまった。
面倒くさげに頭を掻きながらこの使用人、衝撃発言を連発した。
「やれやれ、ねえタレス、本当にこれが騎士団長閣下の娘なの?」
「え?」
振り返るとタレスが直立不動で立っていた。
え?なんで?
タレスは、必死にこくこくと頷いている。
「マーサ殿も手こずっているじゃじゃ馬だっていう噂は本当なのね。鍛え直してくれって事だったか。まったくもう、どうりで報酬が桁外れだった訳だ」
「え?え?なに?どういう事?あなた、いったい・・・」
何を言って居るのかさっぱり分からないわよ?
「察しの悪い娘ねぇ。騎士団長閣下は、この機会にあなたの事を再教育しようと考えておられるのよ。あなたはこれから私の指揮下に入って貰うわよ。タレス、あなたもね」
「ちょっと待ってよ、何勝手な事言ってるのよ。なんの権限があってあたしに命令するのよ、なんであたしが平民の指揮下に入らなきゃならないのよ!」
「第一に、それが私の仕事だから。第二に、あなた程度の腕前じゃアナスタシア様の護衛は任せられないから。第三に、私の方が身分が上 だ か ら」
「どうしてあんたがあたしよりも身分が上だっていうのよ?それに、腕前だったらあたしの方が上に決まっているでしょ!」
「うだうだ言うのは後にして。援軍が来たみたいだからアナスタシア様の救出を優先するわよ。言いたい事があるになら後でいくらでも聞いてあげるから」
丁度その時、アウラが仲間を十人連れて馬で戻って来たのだった。
ネズミのしっぽと後ろ足にロープを縛り付けて十頭の馬で引いて、それでも坑道から引き出すのには一時間近く掛かった。
すかさずネズミが居なくなった坑道に戻り捜索すると、かなり奥まった所にある小さな横穴でうずくまっているアナスタシア様と少女を発見出来た。
みんな、手も足も顔も泥だらけになっていた。そこそこみんな不幸になったようだった。
「アナスタシア様、お迎えに参りました。遅くなりまして申し訳ありません」
片膝をついて謝罪をするメアリーだった。
「いいえいいえ、良く来てくれました。お手数をおかけします」
真っ暗な坑道内に閉じ込められ、あまつさえ巨大なネズミに追いかけられたのだから取り乱してもおかしくないのだが、その様な疲労感は一切見せず凛としているその姿はまさに聖女そのものであった。妙なスキルが発動しなければ。
アナスタシア様の膝の上で寝ている少女の頬には涙が流れて乾燥した跡がくっきりと残っていた。
「アナスタシア様、王都よりセルヴェンテ様の代わりの使用人が参っております」
「ちょっ!使用人じゃないって・・・」
反論しかけたが、聖女様の一言で続きが言えなくなってしまった。
「まあまあ、わざわざこの様な辺境の地へご足労頂きまして有難うございます。セルヴェンテが動けなくなってしまって困っておりましたの。これもマルティシオン神のお導きなのでしょう。ありがたいことです」
と深々と頭を下げられると、無粋に訂正するのもはばかれてしまったのだった。
応援に来たうさぎの面々は、そのまま巨大ネズミを引っ張って森の中に消えて行った。何度も転びながら。
アナスタシア一行は、日も暮れて真っ暗になった山道を修道院に向かって下って行った。
行きは夢中で走って居たので気が付かなかったが、こうしてゆっくりと歩いてみると真っ暗な上、一面背丈ほどの草が生えていて、一人では歩きたくないなと思った。
修道院では、ジェイが食事の用意をして待って居た。
「お帰りなさいませ、お嬢様。お早いお帰りで。丁度食事のご用意が出来て御座います」
居間と思われる部屋で食事の配膳をしながらジェイが玄関まで出迎えてくれた。
「おお、こちらがアナスタシア様ですな。私は皆様の身の回りのお世話を仰せつかりました、ジョン・Gと申します、ジェイとお呼び下さいませ。どうぞお見知り置きを」
左手を前にして腹部に当て、見事な礼だった。
「アナスタシア・ド・リンデンバームと申します。この度は私共の要望にお答え下さり大変感謝しております。何もありませんが、宜しくお願い致します」
こちらも深々とした見事なお辞儀と所作で、見ていてほうっと見とれてしまった。
「お礼でしたら、わが主であるシャルロッテ様にされますのがよろしいかと」
ジェイに言われてはっと気が付いた。やばいやばい、アナスタシア様に先に挨拶をさせる所だった。
あわててアナスタシア様の元に駆け寄り片膝を床についてその手を取った。
「リンクシュタット侯爵家が次女、シャルロッテ・フォン・リンクシュタットと申します。この度猊下の身辺警護及び身の回りのお世話をさせて頂きます。至らぬ点が多々あるとは思いますが何卒ご容赦下さいませ」
作法と言上はこれでいいんだったよね。ああ、もっと真面目に教わっておけばよかった。
などと思っていたら、アナスタシア様、なんとあたしの目の前にしゃがみ込んであたしの右手をその両手で包み込むではないかっ!
あたしは、心臓が口から飛び出すかと思ったよ。
「シャルロッテ様、はるばる王都から良くおいで下さりました。王都ではどうかは知りませんが、ここでは堅苦しい事は無しでお願い出来ますか?そうですね、歳も近い様ですので姉妹の様に接してくださると嬉しいわ」
そんな事をにこっとしながら言われたら、同性であってもドキドキしちゃうじゃないの。
「お 恐れ多いお言葉で御座います」
あたしとしては、只々ひれ伏すしかなかった。だって、顔を上げたら真っ赤になっているのがばれちゃうもん。絶対に変に思われる。
そのタイミングで嬉しい援護射撃が。
「御取込中申し訳ありません。お食事が冷めてしまいますれば、そろそろ着席して頂けますれば幸いに御座います」
気を利かしたジェイのファインプレーだった。いや、只単に食事が冷めるのが嫌なのかも知れない。いや、きっとそうだ。そうに違いない。
「まあ、素晴らしいわ。こんな豪華なお食事、わたしなどが頂いても宜しいのでしょうか?」
「凄い、こんな食事、見た事ない」
「姉ちゃん、これ食べてもいいの?」
「ばかっ、これは聖女様のお食事だ。あたいら庶民が食べていいわけないだろ」
お姉ちゃんのレナちゃんに叱られて目から涙が溢れ出ている妹のアンナちゃん。可愛そうだけど、見ていて可愛い。
「お嬢様方の分もありますよ。たくさん食べてお帰り下さい。宜しいでしょうか、アナスタシア様」
「もちろんよ。いっぱい食べていってね」
たった今まで、大粒の涙をぼろぼろ流していたアンナちゃん、飛び上がって喜んでいる。子供は素直でないとね。
あれ?レナちゃん、うかない顔してる。どうしたのかな?
「あ あの・・・」
意を決した様に口を開いたレナちゃん、絞り出す様に床を見ながら喋り出した。
「アンナにだけ 食べさせて 欲しい。あたいの分は、、、、持ち帰っても いい?」
あ、そこまで聞いて理解した。家で寝ているお婆ちゃんに持って帰って食べさせてあげたいのね。へぇ、今時感心な子だわ。
「これの事ですな」
ジェイは、台所から包みを一つ持って来た。
「お家で待たれているお婆様に食べさせてあげたいのでしょう?用意しておきましたので、これを持って帰って食べさせてあげて下さい」
ジェイ、やるじゃない。見直したわよ。
「さっ、皆さま、お席について下さいませ。料理が冷めてしまいます」
ジェイの一言で、みんなが席に着いた。
大勢で食事をする事があるのだろうか、長テーブルがあったのでそこで、みんな一緒に食事をする事になった。
久々に落ち着いて食事が出来るわ。丸太に腰かけて焚火を見ながらの食事も楽しいんだけど、やっぱりテーブルで落ち着いて食べたいわよね。
うん、美味しい。あたしは、料理は全然分からないんだけど、このオークの肉を色々な野菜と香草で煮込んだシチュー、最高だわ。パンを浸して食べるといくらでも食べれそう。
何でジェイはあの顔でこんな美味しい料理が作れるんだか不思議だわ。ま、顔で作る訳じゃないんだけどね。
みんな、美味しそうに食べて・・・ん?アウラが渋い顔をして料理を見ている。あまりに美味しいので、納得がいかないのかな?無理も無い、分るよ、その気持ち。
食後、小さな姉妹はお婆ちゃんの待つ家に帰って行った。もちろん、夜間に小さな姉妹だけで帰す訳にもいかないので、メアリーが送って行った。
残ったあたし達は、泥だらけだったのでお風呂タイムとなった。なんと、この修道院は小さい割にしっかりとした浴室が整備されていたので、アナスタシア様、アウラ、メアリー、ジェイの順で入浴する事に、タレスは表で水を浴びると言ってきかなかった。
セルヴェンテさんの腰はアナスタシア様の聖力でも治せないとの事だったので、明日馬車に乗せて街の治療所に連れて行く事になった。
ちなみに、アナスタシア様は三時間もお風呂に入られて居たので、あたしが入ったのは真夜中だった。
翌朝、朝食を摂り一休みをしてから、セルヴェンテさんを馬車に乗せてメアリーとタレスが街に出発した。
修道院には、アナスタシア様とジェイとアウラ、そしてあたしが残った。
アナスタシア様は、朝の礼拝があるのだと言って、聖堂でお祈りをしている。
あたしは、無神論者なので礼拝はパスして、アウラと二人で今後の警護の為の下調べを兼ねて修道院の回りを探索している。
この修道院は、アダマンタイトの採掘で有名なベルクヴェルクの山々の南西の外れにあった第一鉱区と市街地を結ぶ旧街道の通るなだらかな丘の途中にあった。街から第一鉱区に向かう鉱夫や採掘された鉱物を運び出す人々で賑わっていたそうだが、すっかり掘り尽されて三十年前に廃坑となってからは人の往来も絶えてしまったと言う。
当然、人が通らないので道もいつしか草に埋もれてしまい、現在は獣が我が物顔で歩き回っているそうだ。
修道院から前方を見下ろすと、なだらかな丘のはるか先にベルクヴェルクの街が見え、後ろを振り返るとベルクヴェルクの山々がそそり立っていた。
ベルクヴェルクの山は、単一の山ではなく、険しい山々が連なる山脈を形成していて、ここベルクヴェルクはその山脈の西の外れとなっている。
山脈はここから始まり、東に向かって八百キロ程続いていると、地理の授業で習った、、、気がする。眠かったからうろ覚えなんだけどねぇ。
この山脈は、数少ない纏まった山脈なので、奥に行くと空飛ぶトカゲが何種類か住み着いているらしく、その中でも特に大型になる種族はドラゴンと呼ばれて恐れられている。
アナスタシア様が倒したと言われている物は、この大型になるドラゴン種の若い個体で、それでも全長は五メートルを優に超えていたと言う。
なんとも、あの可愛らしいお姿からは想像出来ない『えぐいスキル』だこと。
まあ、人の立ち寄らない絶好の立地ではあると思うのだけど、寂しくはないのかしら。ふと、そう思ってしまう。あたしは賑やかなのが好きだから余計に思うのかもね。
「お嬢、どう思います?この修道院、なだらかな丘の中腹にあるから遮る物が何も無くて、遠くから丸見えですよ。守るには不適当と言わざるを得ないですね」
「そうなのよねぇ、かと言って他の場所に移す訳にもいかないし、困ったわねぇ」
「いっその事、周りを城壁で取り囲みます?うさぎには城壁職人がいますよ?」
「うーん、それって、ここになにか有るって公表している様なもんだしなぁ。きっと、アナスタシア様も嫌がるだろうしねぇ」
「困りましたね」
「困ったわねぇ」
「あ、あれ。馬車が帰って来ましたね」
前方を良く見ると、街の方から見覚えのある馬車が丘を登って来るのが見える。
取り敢えず、探索を中止して修道院へ戻る事にした。
「ただいま戻りました」
アナスタシア様も礼拝が終わったみたいで出迎えに出て来た。
「お疲れ様でした。お手数をお掛けしましたね、それで街の様子はいかがでしたか?」
アナスタシア様も礼拝が終わったみたいで出迎えに出て来た。
「はい、街は何事も無く平和でした。セルヴェンテさんは治療所にお願いして参りましたので大丈夫です」
「まあ良かったわ。有難うございます。お疲れでしょうからお二人ともゆっくり休んでくださいな」
そう言うと、畑の方へと歩いて行った。
あたしも畑の方へ行こうとしたが、メアリーに呼び止められた。
「あんたにも連絡事項があるよ」
「えっ?あたしに?」
「そう、街でうさぎとか言うのに声を掛けられた。城郭都市サリチアが帝国に攻撃されたが、撃退したそうだ。ジョージなんたらは行方不明だそうだ。何だか分からないけど、確かに伝えたからね」
それだけ言うと足早に去って行こうとしたので、こんどはこちらから呼び止めた。
「ちょっと、待ってよ」
「なに?」
「夕べ言ったわよね、あたしじゃ頼りなくて警護を任せられないって」
「ああ、気にしないで。思った事が口から出ちゃっただけだから」
ああっ、人を馬鹿にした様に口元が笑ってる。むかつくぅっ!
「頼りないかどうか、相手してもらおうじゃない!」
「はっ?何言ってるの?私に弱い者いじめしろって言うの?勘弁してよお」
もうっ、許さない!こてんぱんにしてやるわよ。
「アウラ木刀持って来て!」
「おいおい、マジかい?口で言っても分からないタイプか。こりゃあ、体に教えるしかないかね」
好きに言ってなさい!今に吠え面かかせてやるんだから。謝っても許してやらないんだから。
アウラが木刀を二本持って走って来た。
「さあ、木刀を受け取りなさい」
「いらないわ。格下相手に木刀など使ったら世間の笑い者ですもの。私はこの木の枝でいいわよ」
足元に落ちていた包丁程度の長さの棒を拾い上げて、こちらに突き出してきている。どこまでむかつく女だ。
「後悔しなさいっ!」
あたしは剣を上段に構えて突っ込んだ、、、、が、軽くかわされてしまった。
「まあ待ちなさいって。ただ戦ってもつまらないでしょ?どう?昼ごはんを賭けない?負けた方が昼ご飯を作るの」
「承知っ!」
再び、突っ込んで行った。今度は中段の構えで。
「いやああああああああぁぁぁぁぁっ!!」
聖女様は疫病神?
始まりました。
作品を書き始めて3作目となります。
経験値不足の為、どんな内容になるのか心配ではありますが、精一杯書いて参ります。
拙い語彙力で書き上げて参りますので、暖かく見守って下さりますように。