12.
突然の轟音に飛び起きたあたしは、音の正体がドアを蹴破った結果である事に気が付く前に、目の前に仁王立ちする黄色いツインテールに驚いた。
「な・・・え?・・・なに・・・え?」
完全にパニックだった。
あたし、なにかした?出発は明日の朝だよ?寝たっていいじゃない。
なんで、そんな形相であたしを睨むのよお。
突然の非常識極まりない訪問に、文句を言おうと口を開こうとした瞬間、突然胸倉を掴まれ有り得ない力で持ち上げられた。
「行くよっ!直ぐ出発だ!さっさと支度をおしっ!」
そう短く告げられると、ベッドの上に放り投げられた。
もんどりうってベッドから転げ落ちたあたしは四つん這いのまま、見上げるとツインテールは部屋から出て行く所だった。
え?え?なに?なにがどうなっているの?行くってどこへ?
呆然としていると、直ぐにアウラが駆け込んで来てあたしを起こしてくれた。
「何がどうなっているの?あんた、援軍を頼みにいったんじゃないの?なんで、メアリーがここに居るのよ。行くって何処へ行くのよ?何であたしが行かなきゃならないのよお?」
とにかく、盛大にパニック真っ最中のあたしは、面食らって居るアウラに矢継ぎ早に質問を投げつけた。
「お嬢、まあ一旦落ち着いて下さいな。あたいも何が何だか分からないんですよ。仲間に繋ぎを付ける為に街に向かおうとしたら、あの姉さんに突然捕まっちまって、お嬢は何処だって」
アウラも困惑した顔をしている。
「ここに案内したら、いきなり どかああんん ですからね。でも、只ならぬ様子ですぜ?お着換えをなさって話を聞きましょうよ」
確かに、ここはアウラの言う通りだな。
あたしは、着替えて身の回りの物だけ持って、階下へ急いだ。
玄関ホールを出ると、そこには何故かあたしの馬車が待っていた。その後ろにも二台ほど馬車が停まっている。
そして、馬車の前には腕組みをしたメアリーが居た。
「遅いっ!」
開口一番がそれかいっ。
「遅いもなにも、アナスタシア様の警護もしないでこんな所で何やっているのよ!一体どういう事なの?」
あたしも、腹に据えかねていたせいで、言葉が攻撃的になっていた。
メアリーは、ぷいっと横を向いたまま吐き捨てる様に一言。
「そのアナ様の警護に行くんだよ!さっさと乗りなっ!」
そう言うとあたしの馬車の御者席に飛び乗った。
後から馬車を覗くと、ジェイにタレスも居るじゃない。アナスタシア様の警護はどうなってるの?
取り敢えず馬車に乗ってジェイに話し掛けた。
「どうなっているの?アナスタシア様の警護は?」
ジェイは、話しずらそうに御者席のメアリーに視線を飛ばした。
つられてメアリーを見ると、馬に鞭を打ちつつこちらに顔も向けずにぼそぼそと話し始めた。
「その、警護対象が居なくなったんだよ」
「えっ!!どういう事?」
「そんなの分って居れば苦労しないわっ!」
ううむ、確かに。
後を見ると、さっき後ろに停まっていた馬車もついてきて居る。あれも仲間だったか。
「で?どこに向かって居るの?」
「取り敢えず、情報を集めながらパンゲアの地方都市アンテを目指す」
「えっ?帝国に?なんで・・・?」
苦虫を潰した様な顔のメアリーに代わってジェイが話し始めた。
「どうやら、アナスタシア様はドラゴンの卵を探しに行かれたものと推測されます」
えっ!?それはあたしの仕事じゃ・・・
「ヴィーヴル氏は、最初にこちらに参られたので御座います。ですが、メアリー様はお断りになりまして。その後お嬢様の所に御連れしたので御座います」
「仕方がないだろう、我々の最優先任務はアナ様の護衛なのだから」
御者席から拗ねた様なメアリーの声がした。
「その直後で御座います、アナスタシア様のお姿が消えましたのは。ですので、卵を探しに行かれた公算が高いとの判断で現在動いております」
「なるほどねぇ、有り得るわねぇ。ねえ、今までいきなり姿を消す事ってあったの?」
「そんな事、有る訳ないでしょ!初めてよ、こんなの」
だからって、あたしにあたらなくたって・・・
「とんだ失態ね・・・」
ボソッと嫌味を言ってみたが、反撃はなかった。
それだけ、心に余裕がないのだろう。
「帝国に行くのはいいんだけど、通行証なくても通れるの?」
馬車の荷台から御者席に身を乗り出して、メアリーの横顔を見上げながら聞いて見た。
「ふん、偽の通行証なんて、いつなにがあってもいい様に常に用意してあるわ。そんなの世間の常識だろうが。執事殿、みんなに渡してやってくれ。商人の一行という事になっているからそのつもりでな」
「商人?」
「そうだ、執事殿は王都の大店の商会の番頭で他の者は護衛と使用人だ。名前は適当に設定してあるから覚えておいてくれよ」
まじまじと通行証を見てみると、うん、確かに本物と区別が出来ないわ。凄い物を作るんだ。ちなみに、あたしの名前は・・・タマ
名前:タマ
タマぁ?なにこれ、なんか知らないんだけど、すごっくむかつく響きなんですけどぉ。
「ねぇ、どういう事?この名前。こんなのって あ うおっ! おうっ!」
何かが幌の上に落ちて来た?いきなり衝撃を受けてあたしは、荷台の中でもんどりうってしまった。
「な なに?何が起こったの?」
むくりと起き上がって、月明りで薄暗い馬車の中を見渡すと・・・!
「あれっ? な なんか一人多い! 一人増えているんだけど? どうして?」
確かに、人影が一人分多い。なんで?
あ、最後部に見慣れない影が?
「申し訳御座いませんが、わたくしの分の通行証を頂けないでしょうか?」
未確認物体が口を開いた。
「ヴィーヴルさん?今、空から落ちて来たの、ヴィーヴルさんだったのぉ?」
「はい、お騒がせ致しまして申し訳ございません。皆様がご出発されました様でしたので、取り急ぎ合流させて頂きました。」
何事もなかったかの様にさらっと言い放つ竜執事さん、取り急ぎって、どこから来たのよ!飛んできたって言うの?あんた何者??
「ちっ!」
そっと舌打ちするメアリー。こりゃあ、ひと悶着ありそう。ワクワクするわぁ。
「言っとくけど、我々の目的はアナ様の保護が第一優先事項だからね。卵はついでだから、忘れないで欲しいわね」
「承知しております」
言い返すでもなく、竜執事さんは、ひょうひょうとしている。得体のしれないお人だわ。
ちなみに、タレスはポチ。ジェイはアール。アウラはバニー。ヴィーヴルはドラコ。メアリーはベイトという登録名になっていた。
なんか、悪意を感じるわ。物凄い悪意を感じるわ。これって完全にいぢめだわ。なんなの?
タマ?そもそもタマって何よ!どこから持って来たのよ、この名前!ほんと、この名前で呼ばれると物凄く馬鹿にされている気分になるんだけど、それってあたしだけ?
文句言ったけど、直している時間が無いから我慢しろだって。ぶう~。人としての尊厳を踏みにじられている気分だわ。
不穏な空気感が漂い馬車の中は重苦しく、月明りの降り注ぐ中、国境に向けてひた走った。
とっても気まずい空気が充満してしまった為、誰も口を開かず寝る事も出来ず、まるで馬車の中はお通夜の様だった。
あたしが拉致されてからひたすら爆走していたけど、空が白み始めてもまだ国境に着かなかった。
重苦しい空気は昨夜のままなので、誰も朝食を食べようとは言えなかった。
そんな中、只ひとりだけ空気が読めない と言うか、空気の色など気にも留めない人が居た。そう、我らがジェイだった。
つねに平常運転の老執事は、もそもそと荷台の前に移動をして御者席に向かって声を掛けた。
「メアリー様、僭越ながら、そろそろ馬を休ませませんと倒れてしまいますが、いかがなされますでしょうか?」
ハッとしたメアリーがこちらを振り向いた。その目は充血しており、疲労が限界に達しているのは傍目にもありありだった。
「わたしとした事が・・・」
そう言うと、速度を落とし始めた。小川のある所で街道を外れて街道から見えない所まで来ると馬車を停めた。
そこは短い牧草の様な草が一面に生えている岸辺だった。
街道との間にある小さな灌木の茂みで街道を行く旅人からは完全に姿を遮蔽されていた。それ以外には周りには障害物は無く、取り敢えず安全と思われる場所だった。
「すまなかった、ここで馬の休憩と水分補給、我々の食事を摂る事にしよう。見張りは交代で行う」
そう言うと、近くにあった小さな木の根元まで歩いて行き腰を下ろした。
あたし達も馬車から降りて背伸びをして腰を伸ばした。さすがに、腰がパキパキだった。
他のメンバーも、思い思いに腰を伸ばしていた。
ダブル執事は、黙々と朝食の支度を始めていたが、息がピッタリだった。執事同士ってそういうものなんだろうか?
あたしはする事が無いので、灌木の茂みに潜り込んで、街道を見張る事にした。
早朝にもかかわらず街道には馬車の往来が結構あった。
歩きの旅人は見られなかった。そう言えば、アナスタシア様はどうやって国境を越えるおつもりだったのだろう?通行証なんて持っておられないだろうに。
しばらく監視をしていると、アウラがパンとベーコンと目玉焼きの朝食を持って来てくれたので、見張りを交代してそれを食べた。
一時間をちょっと過ぎた所で出発する事にした。今度はジェイが御者席に座り、隣にはタレスが警戒の為に座った。後ろに続く二台の馬車には、それぞれ二人づつ乗っていて交代で休む様だ。
いばりんぼのメアリーは、『何かあったら直ぐに起こせ』と言って、座ったまま仮眠に入った。みんなは起こさない様に静かに乗って居る。
そんなこんなで、昼前には小高い丘の上にある国境と言われる場所に到着した。
街道を行くと国境とされる場所には、妙に頑丈な石塀で囲まれたちょっとした要塞の様な街があった。この街が国境となっており国境を越えるにはこの街に入らないとならない仕組みになっていた。その入り口には関所があり頑丈な柵が設置されていて国境を越えようとする全ての旅人はここで一旦止められる事になる。ここには専属の兵士が居り、まずは一人づつ通行証を確認され荷物もくまなく確認される。確認を終えると納税エリアに移動して税を払うのだが、通行税、入国税、入街税と三段階で徴収され通行証に確認の印を押される。さらに、公然と賄賂も要求してきたので合計すると平均的な農民の数年分の稼ぎに相当する為、個人での越境はほぼ不可能と言ってもいいだろう。
その為、ここを通らず森の中を抜けて越境する不法越境者が後を絶たないらしいが、見つかった者は奴隷として強制労働もしくは生首を関所の脇に晒される事となる。
関所の前には、長蛇の列が出来ていた。こんな所をアナスタシア様はどうやって通過したのだろう?本当に通ったのだろうか?
暫く並ぶと、順番が回って来た。
全員の通行証を確認して積み荷を覗き込んでいる。
じっとしていても退屈だから、関所の係員に声を掛けてみた。
「ねえ、そこの兵隊さん。最近通過した人の中ではあたしが一番の美人でしょ?」
声を掛けられた兵士はびっくりしてこちらを見たが、あたしの顔を見るや否や
「けっ!乳臭いガキが朝から何寝惚けている。夕べ通った踊り子の姉さんなんかな、お前の一万倍は美人だったぞ。顔を洗って出直しな!」
「!!!」
それって、、、
「そんな人が本当に居るのぉ?信じられないわねぇ。実際に見てみないと納得が出来ないわね。ねえ、そのお姉さん、どっちに行ったの?まだ、追い付けそうかな?」
「図々しいガキだなぁ、張り合えるって思って居るのか?やめとけ、やめとけ、見たら生きる気力なくするぞ! あはははははは」
「そうだぞ、ありゃあまるで人間じゃあ無いみたいな美しさだったからなぁ」
「恐れ多くて、誰も声もかけられなかったもんなぁ」
「無理やり宿に連れ込もうとしてた奴がいたけど、罰が当たって階段から転げ落ちて大怪我してたっけ。ざまぁみろだぜ わはははは」
「何処に行くって言ってたっけ?」
「確か、フェーベじゃなかったかな?」
「そうだ、そうだ、フェーベで公演するっていってたな。急いで行けば会えるかもなあ」
「いいなぁ、俺もこんな仕事なんてしていないでフェーベに行きたいぜ」
「ありがとう兵隊さん。行ってみるねぇ」
馬車の荷台に引っ込むとメアリーに向かって自慢げに言ってやった。
「情報ゲット!足取り掴んだわよ。フェーベってどこ?」
メアリーは相変わらず苦虫を嚙み潰したような顔だ。
「当初の目的地だったアンテの先だ。ここから馬車で三日半だ」
それだけ言うと黙り込んでしまった。
「あの兵士、踊り子って言ってたよね。旅の芸人一座にでも潜り込んだのかな?」
「そうですね、だとしましたら暫くは逗留するでしょうから追い付けますね」
アウラの声は明るかった。
それからはひたすら街道を東に、ベルクヴェルク山脈の裾に沿って走った。
山裾を通って居るせいか、集落が全く見られない。何でだろうと思ったが、街道の両脇を見たら何となく分かった。
山から降りて来たのだろう、動物の骨があちこちに散乱している。多くはマウンテンウルフだろうか?中にはひと際大きな骨も見受けられる。これは、ジャイアントベアーだろうか、牙や爪は既に持ち去られていて見当たらない。
山から降りて来て、護衛の兵士と渡り合って果てた残骸だろう。こんな物騒な所なので、誰も住まないのだろうな。
早く通り過ぎたいけど、延々と続くのよね、この山裾。どうやって寝るんだろう?メアリーは対策持っているんだろうか?
段々と日が陰って来て暗くなって来た。山で日が遮られるのでどうしても日没が早くなるのはしょうがない。山の上空には何かが群れをなして飛び始めている。その数も時間と共に増えて来ているようだ。
「ねぇ、あれ何?あの、山の上で群れている奴」
アウラに聞いてみた。
「ああ、あれはプレーダーマウスですよ。コウモリ型の魔物です。夕暮れ時になると、ああやって群れを作って飛ぶんです」
「お 襲って来ないの?」
「もちろん襲って来ますよ。でも、とっても弱い魔物なので大丈夫です。木の棒でも撃退出来ますから」
「そうなんだ、よかった」
胸を撫でおろしていると、続いて恐ろしい言葉が出て来た。
「でも、群れるんで鬱陶しい事半端ないですよ。攻撃力は大した事は無いんですけど、たまに悪い病気を持っている奴がいるので要注意ですね。傷口から感染しない様に気を付けて下さいね」
なんで、そんな大事な事をさらっと言える?気を付けてで済む事なの?群れて来るんなら、かすり傷くらい覚悟しなきゃだめなんじゃ?
でも、覚悟出来ないんでしょ?かすったらアウトなんでしょ?どうしようもないじゃああああああん
「ま、よっぽど運が悪く無ければ大丈夫ですよ。病気を持っている奴なんて、滅多にいませんから」
まってよ、あたしうんこの爆撃二回も受けてるんよ?運悪いじゃん。だめじゃん。
「こうもりは任せたっ!」
あたしは、馬車の中に入って毛布に包まった。
もおぉ、何でこんなに運が悪いのに、アナスタシア様の不幸スキルに耐性があるなんて・・・・
え?まさか、あたしの運は最低だから、これ以上悪くならないって事?もしくは、スキルが働いても今更関係が無い位悪いって事ぉ?
うっそおおおおんんんんっ 最低じゃああんんんっ
その時、馬車が急に方向を変えた、そして速度を落とし始めた。周りもなんか、騒がしくなって来た感じがする。
恐る恐る毛布から頭を出して周りを見回した。
すると、上から怒った様な声が降って来た。
「何時まで亀やってるんだい。さっさと宿に入るよっ!来ないんなら置いて行くよ」
あたしは、がばっと毛布から飛び出して、荷台の中で立ち上がった。
おお、たしかに、小さいながら街だ。こんな所に街があったんだ。良かったぁ。
あたしは元気よく馬車から飛び降りた。そこは宿屋の入り口だった。
宿屋の入り口まで、約三メートル。たった三メートルだった。
でも、あたしには、されど三メートルだった。
目の前に開かれているドアに向かって歩き出したその時だった。
「あつっ」
ふいに右足のふくらはぎに痛みを感じた。そして、目の前を転がって壁にぶつかる黒い物体。
振り返ると、馬車の周りでタレス達が剣を振るってプレーダーマウスを退治していた。
再び室内に視線を戻すと壁際に頭を潰されたプレーダーマウスが転がっていた。
路上で切り倒された奴が勢いでこちらに飛ばされてきて・・・・あたしの足にその爪でかすり傷をつけたのだった。
そんな事って あり?
どこまで運が悪いの?あたしって
気が付いたアウラが飛んで来て、傷口を拭いてくれた。
「大丈夫ですよ、傷口を水で流しておけば発症なんてしませんよ。発症する確率なんて富くじに当たる様なもんですから」
しかし、心配した通りその夜しっかり発病した。夜半過ぎから高熱が出て起き上がれなくなってしまった。
ああ、やっぱりあたしの運の悪さって最悪なんだ。高熱でうなされながら途切れ途切れの意識の中、そんな事を考えていた。
アウラは心配して一晩中看病をしてくれたが、翌朝も熱は下がらずこれ以上みんなについて行く事は無理だった。
出発前にメアリー達が寄ってくれたがあまり覚えていなかった。
「例の一座はここには泊まらずに先を行ったらしい。時間が無いから置いて行く。運が良ければ帰りに拾っていく」
そう宣言したメアリーはさっさと行ってしまったらしい。
結局残ってくれたのは、アウラと竜執事の二人だけだった。
あたしは、そのまま昼過ぎまで夢の世界の住人になっていて、その間にアウラは街に出て情報収集をしてくれていた。
途中何度か目が醒めて、水分補給をしたが、その時聞いた竜執事氏の話によると、ここはミラと言う宿場街で、国境からの一番最初の街になるそうだった。
この辺りは夜間魔物が出る為野営が出来ないので、国境を越えて来た旅人は皆ここで休むという。
なので、街のほとんどが宿屋か食料を含む旅の必需品を売る店で占められている。
この街のもう一つの特徴は、街道の分岐点にある事らしい。この街を出ると街道は山裾を東に向かうコースと経済と政治の中枢であるコルドバに向かう北コースに別れる。
メアリー達は、東コースに進んだ様だ。
まだ熱で頭がはっきりしないので、難しい事を考えるのは後にして、今はひたすら寝て体調を戻すのが第一。決して怠けている訳では無い。決して無い。熱が下がらない事には何も出来ないもんね。
なので、もう少し寝るのだ。昨日寝て居ないからいくらでも眠れるわぁ~。うーん、二度寝って最高っ!!
自分の事を世界一の不幸体質だと信じて疑わないシャルロッテだった。
こんな所で毒にやられるのは不幸体質だからだと打ちひしがれていたのだが、ここに来て幸運の女神が手を携えてスキップしながらやって来ているのをシャルロッテは知らなかった。
幸運の第一陣がもう少しでやってこようとしていたが、シャルロッテは知る由もなかった。何故知る由もなかったのかは、知る由もなかった。