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少女の視点

朝から嫌な予感がしていた。


清々しいほどの快晴。

通りを行く人々で商店は賑わい、

ちょくちょく見かけるフロウっぽい輩も

誰も彼も景気が良さよう。


皆一様に笑顔だ。


その事が不快に感じる。


胃に石ころを詰められるような、

肺に無理矢理空気を送られるような、

心臓に縄を掛けられるような、

そんな不快感が募っていく。


いつもはこんなんじゃない。

気にしても仕方ないことは気にしない。

いつからか上手になった処世術。

他人を妬んでも惨めになるだけなのは、もう知っている。


せめて表情には出さないようにしているけど、

これはうまくできているだろうか?


これが失敗していると実に厄介だ。

不愉快そうな態度は余計な問題につながることも、もう知っている。


この街に来てまだ3日。

あたしの容姿は人目を引くようで、

よく通る道沿いの露店商の一部にはすでに顔を覚えられてしまった。

たまに声を掛けられた為、その時はいつも通り返したつもりだけど、

ちゃんと出来ていただろうか。


そうしてしばらく歩き、

いつものように組合事務所に向かう途中でそれは起きた。


歩いてきた方角、背後の南通り側。

そちらがなにやら騒がしい。


いや、騒がしいのはいつも通りだけど、少し種類が違う。

賑わいの中にたまに短い悲鳴のようなものが、

それも段々とこちらに向かってきているような。


何となく予想をつけて、あたしは身構える。

道行く人の中でも耳聡い、あるいは目聡い人は同じ方向に注意を向けつつある。


騒ぎの元が近づいてくる。

どうも何者かが逃げてきているようだ。


人ごみの向こうでまだ姿は全く見えないけど、

ここは捕らえるべきだと判断する。


逃げているのが何者か、どんな事情かは関係ない。

とりあえず捕まえる。

そのあとどうするかはまた考える。

捕まえたものをまた逃がすのは簡単だけど、逃がしたものを捕まえなおすのは難しい。

だから、とりあえず、捕まえる。


短絡的に考え、もうすぐ相手の姿も見えそうな時になって気付いた。

見据える方向、左手の建物の屋上を走ってくる人影に。


身の熟しもそうだけど、

屋上を走って、跳んで、そうまでして追いかけるとか。


どう考えても普通じゃない。


そして彼が追っているのは十中八九、今まさに目の前に現れようとしている逃亡者。

普通じゃない追跡者がいる逃亡者は、果たして普通の相手だろうか?


まずい。

厄介な相手なのかも。


思考が惑い、新たな選択肢が発生する。


逃げた方が?


考える間に事態は動いてしまった。


逃亡者の姿が現れる。

まさかの子供。

またも惑う。


見逃すべき?


判断は遅れ、その間にも少年は目の前。

もはや取りうる手段は一つだった。


「ええい!」


結局、間抜けな掛け声と共にとった行動は、

なんてことのない、

技もない、

というかそもそも考えなしの、

正面からの体当たりだった。

初めまして。まずは読んでいただき、ありがとうございます!


感想・評価などお待ちしていますので、少しでも思うところがあった方は

是非ともよろしくお願いいたします。


また、世界観や用語など、分かりにくいとのお声が一定数あるようでしたら

その辺の解説なんかも掲載しようかと思っております。

もしご要望があればお寄せください。


至らぬ点が多々あるかと思いますが、完結まで続けていけたらと考えていますので、

何卒長い目で見守っていただければ幸いです。

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