プロローグ 兄の苦悩2
次の日、学園へ向かう◯◯の足取りは重かった
。
「はぁ…いきたくない…」
なぜ急にクラスメートがあんな態度をとったのかわからないのだ。
学園につき、教室に入ったときに異変に気づいた。
俺の机がない…
「おい!なんでまたきてんだよ!昨日消えろって言ったよな。早く死ねよ。」
……。
「なんだよ、俺がなにをしたんだよ!」
「存在がうぜーんだよ!きもいんだよ!」
すると、ある一人のクラスメートの手が輝きだした。
「ライトニングボール!」
クラスメートの手から光の玉が発生し、◯◯に向け飛ばしてきた。
ドンッ!
「ぐぁあっ」
教室の窓が割れ◯◯は校庭にふき飛ばされた。
この世界には魔法があり、初級・中級・上級と上にあがるにつれ取得難易度も上がり、威力も上がる。
上級魔法を使える人はこの世界に数える程度しかいないのが現実だ。
上級魔法を一つ覚えるだけで、国のトップの護衛やギルドマスターなど、引く手あまただ。
そして俺が通っているユーテルエム魔剣学園は魔法と剣を教わる学園で、四年生になるころにはだいたいの生徒が1つか2つは初級魔法をつかえるようになっていた。
ライトニングボールは光の初級魔法で、光の玉を飛ばすといった魔法だ。
使い手にもよるが、今のクラスメートではたいしたダメージはあたえられない。
だが、いわゆる落ちこぼれの◯◯にはライトニングボールですらあたると軽症じゃすまない。
「おい、さすがに魔法はやりすぎじゃねーか?」
「いいんだよ、こんなやつ死ぬべきなんだ」
「うっ…はぁ…はぁ…」
もう死ぬのかな…短い人生だったな…
その後、学園の先生の魔法により一命はとりとめたが、精神的ダメージは計り知れないものとなった。
そして魔法を放った生徒は退学処分となったが、クラスの◯◯に対するイジメは終わらなかった。
なんで俺が…なんで俺なんだ…
そうおもうようになった◯◯は、どんどん病んでいったが、妹であるエリーゼが唯一の心の支えだった。
「おにぃまた傷がある!私がなおすー!」
「ひーる!」
妹はこの時6歳になったばかりだった。
平均的に魔法は8歳から9歳頃から使えるようになる。
4歳から魔法が使えるエリーゼは、所謂天才というやつだ。
「ありがとなエリー」
「ううん、おにぃのためならなんでもするっ!」
そんな日々が12歳になるまで続いた。
「エリー大丈夫かっ!」
「お兄ちゃん…ちょっと失敗しちゃった。」
「ダンジョンでなにがあった。」
ダンジョンとは森などに突如発生し、魔物を産み出す場所だ。
基本的には地下に続いており、下に行けば行くほど強力な魔物がでたりレアなアイテムが手にはいる。
エリーゼはこの街から20㎞程離れた所にあるダンジョンの地下4階まで行ったそうだ。
順調にすすんでいたが、突如身体の動きが悪くなり、そこからは魔物から逃げることもままならず、ボロボロになりながらなんとか帰還できたといったところだ。
「急に身体の動きが悪くなった?」
「うん、何かの魔法をかけられたような気がした。」
「妙だな…少し調べてみるか。」
「お兄ちゃん大丈夫だよ。お兄ちゃんは気にしないで!」
「……。」
妹にも俺は役に立たないと思われているのか…。
そして、エリーゼの兄、◯◯の行方がわからなくなった。