040:ちょっと一息 その1
「癒やしが足りない!!!」
バンッと机を叩いた俺に3人がポカンとする。
「私が癒やし系に…なればいい?」
「確かにクレアの笑顔には癒やされるけど、そっちの意味じゃないんだ……」
そもそも俺がこの世界に来た原因は「過労死」だ。
汚れきった魂を浄化する目的で異世界へ送り込まれたはずなのに、気づけば女の子の命を救うため5000万稼ぐだの、王国の危機を救うため悪の野望を蹴散らすだの、全くもって気の休まる日が無い!
自分の意思によって無休で働こうとしたときは、女神様が現れてオーバーワークを警告してくれたのだけど、敵との戦闘や長距離移動など「勤務外の行動」に関しては警告機能が利かないらしく、身体はすごく疲れているのに女神様が現れる気配は1ミリも無い。
商魂がどうとか言っていた話はどこへやら、商売に関係なく倒れるのはオッケーだと言うのなら、何とも本末転倒としか言いようがない。
「休日は昼までゴロゴロして、夕方まで無意味にまとめサイト巡回して、夕飯食いながらオンゲ繋いで、あー、貴重な休みなのに何もしなかったなー、明日から仕事面倒くせーなぁ。会社爆発しねーかなー…とか言って、無意味な一日を過ごしたい!!」
『何言ってるかよく分からないけど、ロクでもないことだということは理解したわ…』
何だか前にも同じコトを言われた気がする。
「つまりクリスくんは、周りに気を遣うことなく、のんびりしたいってコトかな?」
「ご名答! さすが委員長っ」
そんなやり取りをしていると、今まで腕を組んだまま黙っていたセフィルが立ち上がった。
「よし分かった! ずっとクリスに助けられてばっかりだったし、今度は俺たちがお前を助けてやろうじゃないか!」
おおおおおっ!
あのワガママ王子だったセフィルが俺のために……。
嬉しくて泣いてしまいそうだ……。
こうしてセフィル+エマ、クレア+ロザリィによる「クリスを癒やしてあげよう大作戦」がスタートした。




